連載:これで解決!マンション暮らしのトラブル

「宅配トラブル」のトラブルを解決したい!

2025.02.03
「宅配トラブル」のトラブルを解決したい!

マンションでよくある困った問題をテーマに、その解決方法を紹介していくこの連載。今回は「宅配トラブル」のトラブルに目を向けたいと思います。

ネットショッピングの普及が進み、宅配ボックスや置き配など、荷物の受け取りに関する便利なサービスが広がっています。しかし、それにともない宅配に関するトラブルも増加しています。

今回は、マンションで起こりがちな宅配トラブルの実例と、その対処法について解説します。

宅配トラブルの例

【トラブル1】宅配ボックスが埋まっている

ボックスが埋まっていて利用できない場合も

宅配ボックスは荷物受け取りの手間を省く便利な設備ですが、利用者が多いマンションでは、常にボックスが埋まっていて利用できないというトラブルが発生します。

宅配ボックスの利用状況が悪化する主な原因として、住民が荷物が届いた旨の通知を受け取った後も長期間ボックスを占有しているケースがあげられます。また、大型商品や冷蔵品対応のボックスは数が限られているため、これらの荷物が複数届くとすぐに埋まってしまう点にも注意が必要です。

宅配ボックスが常にいっぱいで使えない状態が続くと、配達員は住民が受け取るまで再配達するか、送付元まで荷物を戻す必要が生じます。これにより配達員だけでなく、物流業界全体の負担も大きくなるでしょう。

【トラブル2】宅配ボックスの鍵が開かない

宅配ボックスには施錠方法で分類すると、「機械式(ダイヤル式)」と「コンピュータ式」の2種類があります。

ダイヤル式の場合、配達員が荷物をボックスに入れた際、任意の暗証番号をダイヤルで設定します。番号を記載した配達通知書を受取人の郵便ポストに投函し、受取人は通知書を確認してダイヤルを合わせて荷物を取り出すだけ。仕組みはシンプルで、特別な鍵も必要ありません。暗証番号を他人に伝えれば住人以外でも荷物の受け取りが可能です。

コンピュータ式の場合、利用者の認証に専用のICカードが必要な場合もあり、ダイヤル式よりも防犯性が高いという特徴があります。

一方で、鍵が開かないというトラブルが発生する可能性もあります。主な原因としては、鍵の故障や住民が暗証番号を忘れるケース、システムエラーなどがあげられます。

こうしたトラブルが起きると、荷物を受け取れないだけでなく、次に利用したい配達員や他の住民にも影響を及ぼすでしょう。特に修理が必要な場合には業者の手配が必要となり、その間、宅配ボックスの利用が制限される可能性があります。

【トラブル3】「置き配」の荷物がなくなった

置き配は盗難被害に遭う可能性がある

近年、配達員が玄関前や指定の場所に荷物を置いておく「置き配」の利用者が増えています。

置き配は利便性が高いサービスですが、マンション内のセキュリティ状況や荷物を置く場所の条件によっては、盗難に遭う可能性があります。特に、不特定多数が出入りする共用部分に置かれた荷物は、盗難被害のリスクが高まるでしょう。

さらに、雨水や風による荷物の破損など、置き配の環境に起因するトラブルも少なくありません。

宅配トラブルへの対処法

宅配トラブルが起きた際にはどのように対処したら良いでしょうか。

【対処法1】管理会社に連絡をする

共用部分の問題はまず管理会社に相談を

問題が起こったら、まずは管理会社に連絡をしましょう。

荷物の盗難の可能性があっても、自分で犯人探しをしてしまうと住民トラブルに発展する可能性があります。

配達ボックスが開かないといったトラブルも、共用部分の問題のため、管理会社に連絡して判断を仰ぐようにしましょう。

【対処法2】管理規約でルールを明確化する

宅配ボックスや置き配を利用する際のルールを明確にし、トラブルを未然に防ぐ方法があります。

例えば、「荷物を受け取ったら速やかにボックスを空ける」「ボックスの使用期間制限を設ける」「置き配は指定場所のみに限る」などの具体的なガイドラインを管理規約として設定し、住民に周知しましょう。

住民から宅配トラブルに関する意見を集めるのも有効です。マンションの改善に主体的に参加すると問題意識が高まり、トラブル防止に対する協力が得られやすくなります。

【対処法3】機能性の高い宅配ボックスを導入する

電子ロック付き宅配ボックスなら防犯リスクを低減できる

セキュリティ機能の高い宅配ボックスの導入の検討をしてみましょう。

電子ロック付きといった防犯機能を強化したタイプの宅配ボックスの導入は、宅配に関するセキュリティの向上につながり、トラブル低減にもなります。さらに、容量の大きい宅配ボックスや冷蔵・冷凍機能を備えたモデルを導入すれば、多様な荷物にも対応可能です。

高機能の設備導入は初期費用がかかるものの、マンション全体の利便性や安全性、快適性を向上させる可能性があります。導入に際し、補助金が適用されるケースもあるため、確認してみましょう。

個人用宅配ボックスを住戸の前に置くのはNGの可能性

共用の宅配ボックスが常に埋まっている、故障が多いなどのマンションでは、個人用宅配ボックスの設置を検討する方もいるかもしれませんが、注意が必要です。分譲マンションでは、玄関の外側は専有スペースではなく、共用スペースに該当します。あくまでも共用部分のため、個人の自由な使用はできません。

また、大型マンションなどでよく見られる玄関ドア前の専用ポーチについても同様に注意が必要です。一見すると個人の空間のように見えますが、管理規約で「荷物を置いてはいけない」と定められている可能性もあります。規約違反とならないよう、まずはマンションの管理規約を確認してみましょう。

もし、どうしても共用部分に私物を置きたい場合は、管理会社や管理組合に相談してみましょう。事前に許可を得られれば、トラブルの防止に繋がります。

以上、今回は宅配に関するトラブルと、その対処法を紹介しました。

分譲マンションにおける宅配トラブルは、住民全体の協力と適切な管理があれば未然に防げる可能性があります。管理規約の明確化や設備の整備、防犯対策を徹底し安心して利用できる環境を整えましょう。

イラスト:カワグチマサミ

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この連載について

【連載】これで解決!マンション暮らしのトラブル

複数の世帯が生活を送る分譲マンションでは、共用スペースの使い方やペットの飼育、ゴミ捨て場における利用マナーなど、思いがけないトラブルに遭遇する可能性があります。そこで、本連載『これで解決! マンション暮らしのトラブル』では、マンションでよく起こる困った問題の解決方法をテーマごとにご紹介。トラブル発生の防止や、万が一起こってしまった際の対応マニュアルとしてもご活用ください!

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