連載:これで解決!マンション暮らしのトラブル

「音漏れ」のトラブルを解決したい!

2023.02.24
「音漏れ」のトラブルを解決したい!

マンションでよくある困った問題をテーマに、その解決方法を紹介していくこの連載。今回は「音漏れ」のトラブルに目を向けたいと思います。

マンションにおいて最も発生しやすいトラブルの1つが騒音です。足音や扉の閉まる音などの生活音でもトラブルに発展するケースがあります。自分では大きな音を立てていないつもりなのに、クレームが来てしまったなんてことも。

そこで今回は、自宅の音が近隣に漏れていないか心配な人に向けて、音漏れに関連するトラブルと対処法について紹介します。

音漏れで起こるトラブル例

騒音はマンションで起きやすいトラブル

もし、自宅から音が漏れている場合、どんなトラブルへと発展する可能性があるでしょうか。

【トラブル1】隣人との関係悪化

最近では、引っ越しの際に近隣への挨拶をしない人も増えており、住民間での交流がある人はわずか3割程度と、隣人との関わりが希薄になってきています。

普段関わりを持つ機会がないからこそ、関係構築に気を遣う意識も薄れてきているといえそうです。

とはいえ、集合住宅では住民との関係性が生活の質に影響する場合も少なくありません。騒音を理由に、仕返しとして嫌がらせを受ける可能性もあるでしょう。

例えば、ポストにゴミを入れられたり、監視されたり、根も葉もない悪口を言いふらされるといったケースもあります。

精神的苦痛のために引っ越しを余儀なくされてしまうといった事態にもなりかねません。

【トラブル2】損害賠償請求

近隣住民の生活が脅かされるほどの騒音を発生させてしまっている場合には、損害賠償責任が問われる可能性もあります。

「マンションで生活する以上この程度は受け入れるべき」とされる騒音の程度は「受認限度」といわれ、この限度を超えているかどうかが1つの指標となります。加えて、騒音のレベルや発生状況、頻度、地域環境、法律や条例をもとに損害賠償が適用されるかどうか判断されるようです。

実際に、子どもの足音やペットの鳴き声で損害賠償が命じられた事例があります。

隣の部屋ではどのくらい音が聞こえている?

では、音はどの程度近隣にまで聞こえているでしょうか。

気になる騒音レベルは50db以上

50デシベルを超えるなら要注意

騒音の程度ははデシベル(db)という単位で表されます。20〜40デシベルは静かと感じるレベル、50〜60デシベルは普通、70〜80デシベルになるとうるさいと感じ、90デジベルは極めてうるさいと感じるレベルになります。

隣との距離や壁の厚さにもよる

環境庁「騒音に係る環境基準について」では騒音の基準が設けられており、住宅地では昼間は55デシベル、夜間は45デシベルを越えると騒音とされます。睡眠に影響を与えない騒音レベルは35〜40デジベル程度です。

例えば、洗濯機や掃除機は65デシベル程度の音が出るため、深夜では騒音と感じる可能性が高いでしょう。話し声は60デシベル、怒鳴り声は90デシベル程度にもなります。

隣との距離や壁の厚さにもよる

当然ですが、音の発生源から離れるほど小さく聞こえますよね。2m離れると、6デシベルほど値が下がるとされています。
また、木造アパートでは音が聞こえやすいというように、壁の素材も影響します。コンクリート造であっても、軽い素材の軽量気泡コンクリート(ALC)は比較的音が聞こえやすくなります。

なお、壁の遮音性にはDr値という等級が定められており、例えばDr値が65(D-65)の場合は65デシベル程度の音を遮ることが可能です。100デシベルの音は、35デシベル程度に聞こえるというわけです。

集合住宅においては、D-55が特級で最も遮音性が高く、D-50が1級、D-45が2級、D-40が3級で最低限の基準となっています。同じコンクリート造の建物であれば、壁が厚くなるほどDr値も高くなります。

音漏れを防ぐ方法

【対処法1】静音の家電を使う

家電は静音性能も意識したい

もちろん、静かな時間帯に掃除機や洗濯機といった音の大きい家電を使用するのは避けたいところですが、なるべく静音性能のある家電を使うのもトラブルを避ける1つの方法です。

また、稼働音だけではなく、洗濯機であれば振動音、掃除機であれば壁にぶつかる音は思っている以上に響くもの。洗濯機の下にゴム製のかさ上げ台を置いて振動を防いだり、掃除機の先端をブラシノズルに替えたりといった対策も有効になるでしょう。

【対処法2】遮音マットを使う

部屋を防音・遮音仕様にできるマットやシートも発売されています。工事を必要としない貼り付けるだけのタイプであっても、65デシベル程度の音を45デシベル程度まで下げることも可能です。

階下への音を55デシベルから45デシベル程度まで抑えられる、並べるだけのタイルカーペットもあります。

壁やタイルならお部屋の雰囲気を変えることもできるため、お洒落に音漏れ対策ができますね。

以上、今回は音漏れに関するトラブルと、その対処法を紹介しました。

自分では気をつけているつもりでも、実は隣家にまで音が聞こえていたというケースは考えられます。トラブルを避け、住みよいマンションの環境を保つためには、住民どうしがお互いに家電の利用時間や足音、話し声の大きさに配慮する心遣いが大切です。
イラスト:カワグチマサミ

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この連載について

【連載】これで解決!マンション暮らしのトラブル

複数の世帯が生活を送る分譲マンションでは、共用スペースの使い方やペットの飼育、ゴミ捨て場における利用マナーなど、思いがけないトラブルに遭遇する可能性があります。そこで、本連載『これで解決! マンション暮らしのトラブル』では、マンションでよく起こる困った問題の解決方法をテーマごとにご紹介。トラブル発生の防止や、万が一起こってしまった際の対応マニュアルとしてもご活用ください!

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