「ゴミの分別」のトラブルを解決したい!
マンションでよくある困った問題をテーマに、その解決方法を紹介していくこの連載。今回は「ゴミの分別」のトラブルに目を向けたいと思います。
マンションのゴミ捨て場は複数の住民が利用するため、マナーを守れない住民がいるとマンション全体に迷惑がかかってしまいます。
特にゴミの分別は地域やマンションによってルールが異なることもあり、知らずに誤ったゴミ出しをしてしまっていることもあるでしょう。
そこで今回は、ゴミの分別に関連するトラブルと、正しい分別方法について紹介します。
間違ったゴミ出しで起こるトラブル
自治体によってルールが異なっていたり、分別内容が細分化されていたりとゴミ出しを面倒に感じることもあるでしょう。しかし、正しい処理をしなければトラブルに発展してしまう可能性も。どんな事態が考えられるか解説します。
【トラブル1】悪臭や虫・鳥害
当日の朝にゴミ出しを推奨されているにもかかわらず、前日の夜にゴミを出した場合、カラスなどが集まってしまい、ゴミを荒らされる可能性があります。
また、回収日ではない日に生ゴミを出してしまうと、臭いや虫が発生してしまうため、指定の日時は守るようにしたいですね。
最近では、24時間ゴミ出しができるマンションも増えていますが、いつでもゴミ出し可能だからといって生ゴミを放置していると、屋内のゴミ捨て場であっても悪臭や虫が発生してしまうかもしれません。
【トラブル2】治安や景観の悪化
「割れ窓理論」といって、窓ガラスが割れたままの建物は誰も気にしていない(管理されていない)と思われ、さらに窓が割られ、やがて街全体の環境が悪化する、という犯罪理論があります。
ゴミ出しの日時を守らない人や不法投棄をする人が増えると、「自分も気にしなくていいや」と思う人が現れ、ゴミ捨て場の治安は加速度的に悪くなってしまいます。
ゴミ捨て場以外の共用部分や通路にまでゴミが落ちてしまうようになれば、当然建物の景観も悪化し、ひいてはマンションの資産価値の低下にもつながってしまうでしょう。
【トラブル3】カメラで監視される
多くの地域で粗大ゴミの回収は有料での申し込み制となっていますが、もしマンション内に不法投棄してしまうと、誰が出したものかわからないために管理組合が費用を払って処分しているケースがあります。
上記のように不適切なゴミ出しが確認されたため、違反者を特定する目的で監視カメラを設置するようになったマンションもあります。しかし、あまりにも監視が徹底されてしまうと、住みにくいマンションになってしまうかもしれません。
快適な生活を送るには、住民間でマナーを守ることが欠かせません。
【トラブル4】建物内の清掃が不十分になる
正しい分別が行われないと、回収が行われない場合もあります。その際、マンションによっては清掃業務を担う管理員が分別作業を行うケースもあります。
本来なら建物内の日常的な清掃を行うはずの時間を割くことになるため、そのしわ寄せを受けて共用部分の清掃が不十分になる可能性もあります。
なお、ゴミは所有権を放棄したものとみなされるため、中身を確認すること自体に法律的には問題ありません。とはいえ、確認する側もされる側も決して気持ちの良いものではないので、やはり正しく分別を行いたいところです。
【トラブル5】発火やケガなどの事故
ゴミ収集車では、一度になるべく多くのゴミを集めるため、ゴミを圧縮して運搬しています。ガスボンベやスプレー缶、ライターなどは、中身が入ったまま捨ててしまうと、圧縮時に発火してしまう危険性があるため、中身を使い切ってから捨てましょう。
また、刃物などの明らかに鋭利なモノではなくても、焼き鳥などの串や木の枝といった先の尖ったモノはマンションの管理員やゴミの収集作業員がケガをしてしまう原因にもなります。
危険物は自治体の案内に従って適切に処理するとともに、中身の見える透明なゴミ袋を使って思わぬ事故が起こらないよう工夫することが大切です。
注意したいゴミの捨て方
ここでは、トラブルを起こしてしまう可能性のあるゴミと、その処理の仕方について紹介します。
【1】生ゴミ
臭いや害虫の原因となる生ゴミは、なるべく水分を切って捨てましょう。三角コーナーや排水口に溜めず、新聞紙などに置いて乾かしておくとよいですね。
水分が残っている場合、袋に亀裂が入ると液体が漏れ出てしまう可能性があるため、袋を2重にしておくとより安心です。
最近では、生ゴミを乾燥させて捨てやすくしたり、肥料に変えられたりする家庭用の生ゴミ処理機も販売されています。家庭菜園などに活用したい人は検討してみてもよいかもしれません。
【2】発火する可能性のあるゴミ
トラブル例として紹介したとおり、スプレー缶やライターは発火の可能性がある危険物です。
例えばスプレー缶は、ガス抜きキャップがある場合はそれを利用し、ない場合には不要な布類に吹き付け、布類はよく乾かしてから可燃ゴミとして捨てましょう。なお、火気のない屋外で処理を行ってください。
以前はガス抜きキャップがない場合、缶に「穴をあける」処理が一般的とされていました。しかし、屋内で穴を空けたことによる事故を防ぐため、穴を空けずに捨てる方針の自治体が多くなっています。必ず自治体の案内を確認してから処理を行いましょう。
【3】鋭利な部分があるゴミ
中に鋭利なモノが入っていると知らない作業員がケガをしてしまう可能性があります。竹串などは先を折り、新聞紙で包んで出しましょう。割れたガラスや刃物を捨てる場合にも、尖った部分が突出しないよう新聞紙で包みます。
なお、中身が見えない状態だと、袋を掴んだときに刺さってしまうかもしれません。外袋に「キケン」と警告する内容や「刃物」「ガラス」と内容物を書いた張り紙をしておくと安全です。
【4】リサイクルできるゴミ
乾電池やリチウムイオン電池も発火する可能性があるため捨て方には注意が必要ですが、これらはリサイクルされて別の製品に生まれ変わる資源でもあります。
例えば、充電できないタイプの乾電池やボタン電池は、おもちゃや時計、補聴器などの製造に用いられます。充電式のリチウムイオン電池などは、家電やゲーム機、電動自転車に生まれ変わります。
捨てる際は、ビニールテープなどで通電部分を覆い、絶縁処理をしてから電器店やホームセンターなどの『産廃排出協力店』に持ち込みます。なお、解体してしまうと回収されないだけでなく、事故の原因となる可能性があるため注意しましょう。
以上、今回はゴミの分別に関するトラブルと、その対処法を紹介しました。
適切な分別が行われないと悪臭や清掃の不行き届きの原因となり、住環境を損ねてしまいます。住みやすいマンションを維持するためにも、マナーを守ってゴミを捨てたいですね
また、発火やケガといった事故を防ぐためにも、自治体の分別ルールはよく確認しておきましょう。
イラスト:カワグチマサミ
この連載について
【連載】これで解決!マンション暮らしのトラブル
複数の世帯が生活を送る分譲マンションでは、共用スペースの使い方やペットの飼育、ゴミ捨て場における利用マナーなど、思いがけないトラブルに遭遇する可能性があります。そこで、本連載『これで解決! マンション暮らしのトラブル』では、マンションでよく起こる困った問題の解決方法をテーマごとにご紹介。トラブル発生の防止や、万が一起こってしまった際の対応マニュアルとしてもご活用ください!