連載:これで解決!マンション暮らしのトラブル

「DIY」のトラブルを解決したい!

2023.01.17
「DIY」のトラブルを解決したい!

マンションでよくある困った問題をテーマに、その解決方法を紹介していくこの連載。今回は「DIY」のトラブルに目を向けたいと思います。

リフォームまで大がかりな工事や作業がいらず、簡単に部屋の雰囲気を変えられるDIY。休日の趣味として楽しむ人もいるでしょう。

しかし、分譲マンションといえど自己判断で手を加えてはいけない部分があったり、思っている以上に大きな音が出てしまったりする可能性も。

そこで今回は、DIYに関連するトラブルとその対処法について紹介します。

DIYなら手軽に部屋の雰囲気を変えられる

自分自身で何かを作るDIY

DIYは「Do It Yourself」の略で、「自分自身で何かを作る」という意味があります。同じ意味を持つ「日曜大工」という言葉は、休日に趣味でする簡単な大工作業を指します。

ちょっとした植物や小物を飾る棚やキッチンのカウンターテーブルを作ったり、壁紙やフロアマットの張り替えもDIYにあたります。

とくに、室内の面積を多く占める壁や床は、色味や質感を変えるだけで部屋の雰囲気をガラリと変えてくれます。簡単に貼れるシールタイプのものや、100円ショップで手軽に手に入るものもあるため、専門知識や体力がなくてもできるDIYの一つです。

分譲マンションでも起こるDIYのトラブル

簡単にできる作業も多いDIYですが、トラブルとなってしまう可能性もあります。ここでは、マンションでDIYをする際に注意したいトラブル例を紹介します。

【トラブル1】変えてはいけない部分のDIY

リフォームだけでなくDIYにおいても、居住者が任意に変更できるのは「専有部分」に限ります。廊下やエントランス、駐車場のような「共用部分」は、住民の一存で作り替えられない決まりとなっています。

一見すると専有部分にみえるベランダも共有部分にあたるため、分譲マンションであってもDIYはできないと考えてよいでしょう。

共用部分にあたる箇所はマンションの管理規約で定められています。国土交通省の定める「マンション標準管理規約」に則ると、下記のような箇所が共用部分にあたります。

・躯体(建物の構造部分)
・玄関扉(外側)
・窓枠、窓ガラス

管理規約を確認する、もしくは事前に管理会社に問い合わせるなどしてDIYの可否を判断しましょう。

【トラブル2】作業中の騒音

騒音トラブルが発生しないように要注意

ハンマーやドリルを使用する作業は、家庭で行うDIYであっても大きな音が発生します。「リフォームのような大がかりな工事ではないし……」と思っていても、振動が階下の住民に響く可能性は考えられます。

音の出にくいラバー素材の工具を使う、早朝や夜中の作業は避けるといった工夫が必要です。

【トラブル3】ゴミの分別・処理

マンションのゴミ捨て場は共用部分にあたるため、不適切な捨て方をしてしまうと住民間のトラブルに発展してしまう可能性もあります。

例えば、木材を購入して椅子や棚を作った場合、切り離した木片がゴミとなるかもしれません。木くずやウッドチップ(木材を砕いた資材)であれば燃えるゴミの日に出せますが、一定サイズ以上のものは粗大ゴミとして扱われるケースが多いようです。

粗大ゴミはマンションのゴミ捨て場ではなく、事前に自治体に申し込みをして引き取りにきてもらうなどの対応が必要になります。対象となる範囲や料金は、あらかじめ住んでいる地域の分別ルールを確認しておきましょう。

また、スプレー缶塗料の処理にも注意が必要です。噴射材に用いられているガスが引火してしまうといった危険性もあります。

スプレー缶を捨てる際は火気を避け、十分に換気が出来ている場所でなるべく中身を空にしたうえで、自治体の処理方法に従いましょう。

内容別! DIYの注意点

具体的な作業ごとに注意したいポイントをまとめました。

【1】壁紙

壁や床、建具の色で部屋の雰囲気は大きく左右されます。例えば、打ちっぱなしのコンクリートの壁で、柔らかいナチュラルな部屋作りは難しいでしょう。

裏がシールになっていてハサミで切れる壁紙シールなら、簡単に好みの空間にできるのでおすすめです。レンガや木目、織物調など、さまざまな種類のプリント壁紙も販売されています。

すでに貼られている壁紙のうえから自分でペースト状の壁材を塗れる商品は、楽しみながらDIYをしたい人にぴったりです。

注意したいのは、シールタイプは貼りやすい分接着力が弱く、剥がす際に元の下地部分も剥がれてしまう可能性があるという点です。

将来的にリフォームや売却を検討している場合には、修繕費用がかさんでしまうかもしれません。

【2】フロアタイル

張り替えができない場合はシートを貼る方法もある

壁紙と同じく、床も部屋の印象を左右する部分です。

ただし、フローリングはマンションによって遮音等級など一定の基準が定められている場合があります。その場合、張り替えはできないため、上からフロアマットやシートを貼る方法をとりましょう。

床の上に敷くだけのフロアマットは100円ショップでも売られていますし、事前に部屋のサイズに合わせた床材を注文することも可能なので、今ある床を傷つけないほうが無難です。

【3】棚・椅子

理想的な大きさ、色味の棚や椅子が見つからないなら、DIYしてみるのも一つの手です。必要な工具や材料の大きさがまとめられているウェブサイトもあります。お手本があると、子どもと一緒に作る場合でも安心ですね。

注意したいのは、やはり騒音です。例えば、電動のドライバー(インパクトドライバー)の騒音レベルは80db程度あります。

これは地下鉄の車内やパチンコ店の店内などと同じ程度のうるささです。もちろん、部屋を隔てればその分伝わる音も小さくなりますが、思っているよりも音が響く可能性は大きいです。

早朝や夜遅い時間の作業は控えるとともに、静音の工具などを検討してみてもよいでしょう。

騒音のレベルについては下記の記事も参考にしてみてください。

【4】キッチン・トイレ・浴室

築年数の経った物件では、キッチンや浴室のタイルのデザインがどうしても古い印象を与えてしまうことがあります。デザイン性のあるタイルシールを上から貼るだけでも、雰囲気を変えられるでしょう。

トイレのDIYでは、手洗い部分を残してタンクを隠す「タンクレス風トイレ」とするのが、生活感をなくしてお洒落な空間にできると人気です。

また、キッチンはリビングから見えるケースが多いため、部屋全体の印象にも関わります。キッチンカウンターを作って、収納や作業スペースを増やしたり、ちょっとした飲食スペースとしたりするのもよいかもしれません。

水回りのDIYで注意したいのは、水道管や蛇口(水栓)の増設は基本的にできないという点です。蛇口部分の取り替えであればDIYもできますが、有資格者しかできない工事もあります。

また、不適切な工事を自分で行ってしまうと、水漏れなどのトラブルにつながるかもしれません。ほかの住民にも迷惑をかけてしまう可能性があるので、作業可能な範囲は事前に確認しておきましょう。

以上、今回はDIYに関するトラブルと、その対処法を紹介しました。

手軽に部屋の雰囲気を変えられ、趣味としても人気のあるDIYですが、マンションの共用部分を勝手に作り変えることはできません。また、騒音やゴミの分別でトラブルにならないよう、使う工具や木片の処理方法も事前に確認したいところ。

DIY初心者なら、工具が必要なくゴミが出にくい作業から始めてみるのがよいかもしれませんね。

イラスト:カワグチマサミ

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この連載について

【連載】これで解決!マンション暮らしのトラブル

複数の世帯が生活を送る分譲マンションでは、共用スペースの使い方やペットの飼育、ゴミ捨て場における利用マナーなど、思いがけないトラブルに遭遇する可能性があります。そこで、本連載『これで解決! マンション暮らしのトラブル』では、マンションでよく起こる困った問題の解決方法をテーマごとにご紹介。トラブル発生の防止や、万が一起こってしまった際の対応マニュアルとしてもご活用ください!

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