「水回り」のトラブルを解決したい!
マンションでよくある困った問題をテーマに、その解決方法を紹介していくこの連載。今回は「水回り」のトラブルに目を向けたいと思います。
「水道から水が出にくい」「排水口が詰まってなかなか流れていかない」といった水回りのトラブル。そのままにしておくと、階下への水漏れやマンション全体の配管トラブルも引き起こしかねません。
では、これらの水回りのトラブルはどのように対処すれば良いでしょうか。典型的なトラブル事例について、原因や防止策とともに解説します。
トラブルの原因には3つのタイプがある
水漏れや詰まりなど、水回りで起きるトラブルには大きく3つの原因に分けられます。
①掃除を怠るなど、居住者の過失によるもの
②施工やリフォームでの不備など、工事業者の過失によるもの
③建物や排水管の劣化によるもの
居住者や工事業者の過失が原因で発生したトラブルであれば、その当事者が責任を負い、修理費などを負担します。他の住宅にも水漏れや詰まりが影響してしまった場合には、修理費だけでなく、家具や部屋の汚損に対して賠償義務が生じる場合もあります
排水管の劣化が原因で水漏れや詰まりが発生した場合には、原因となっている欠陥部分の所有者が責任を負うことになります。共用部分に原因があった場合には、区分所有者全員で積み立ててきた修繕費で補います。仮にトラブルが生じた箇所がはっきりと判断出来ない場合や、該当部分が共用部分か専有部分か判断できない場合には、こちらも区分所有者全員に責任があるとされ、共同で費用を負担することになります。
もし自宅の排水管に問題が発生したら、施工不備や劣化が原因の場合もあるため、まずは管理会社に連絡するのが良いでしょう。場合によっては管理会社が修理費を負担してくれます。管理会社を通さずに個人で修理依頼をしてしまうと全額自己負担となってしまう可能性もあるので注意が必要です。
居住者の過失によるトラブルって?
水回りのトラブルには大きく分けて3つの原因があることは先に述べた通りですが、居住者の過失によるトラブルとはどんなものがあるでしょうか。実際に自宅で起こりうるトラブルをご紹介します。
【トラブル1】トイレの水が流れない
水回りのトラブルのなかでも緊急性が高いのがトイレのトラブル。水流が弱くなかなか流れないといった問題のほか、水を流したあと水位があがってきて溢れそうといった問題が起こることもあります。
トイレの水が流れない場合は、まずは何かが詰まってしまっている状態を疑いましょう。トイレットペーパーや排泄物、流せるタイプのお掃除シートなどが原因と考えられる場合には、ラバーカップ(いわゆるスッポン)を使って詰まりを解消します。ラバーカップは排水口に密着させ真空状態を作り、引っ張ったときに強く吸引できるので、これで解決できるケースも多くあります。
ただし、固形物や水に溶けない物など、トイレに流してはいけない物が詰まりの原因だと考えられる場合には、ラバーカップの使用は控えましょう。失敗すると排水口の奥に入ってしまい、被害が広がる可能性もあります。
【トラブル2】キッチンのシンクが詰まる
生ゴミや、食料品の包装紙などの小さなゴミなどを流してしまうと、シンクの詰まりに繋がります。
また、揚げ物などで使用した油をそのまま流すと、排水管に付着した油が冷えて固まり、詰まりを引き起こします。大量の油を流さなかったとしても、フライパンや食器を洗う際に残っている油が流れると、排水管に蓄積されていきます。油はペーパータオルや新聞紙に含ませて可燃ゴミとして捨て、食器類は油を拭き取ってから洗うと良いでしょう。
蛇口やシンク下のパイプから水漏れがある場合には、パッキンの緩みや劣化などが考えられます。緩みがないか確認し、劣化が見られる場合には新しい物に交換しましょう。
【トラブル3】お風呂のお湯が出ない
シャワーや浴槽において、お湯が出ないといったトラブルも珍しくありません。浴室や洗面台では、髪の毛や石けんのカスが原因で詰まりを引き起こし、排水の流れを悪くしている可能性があります。対策として、排水口にゴミが流れないようにネットを取り付けておくのもオススメです。
特に浴室はキッチンや洗面所よりも湿度が高く、カビや細菌の繁殖によってヘドロが発生することもあります。ヘドロが発生すると余計にゴミが詰まりやすくなりますし、異臭の原因にもなります。こまめに換気することで湿度を下げるとカビや細菌の繁殖を抑えることができます。
業者に修理を依頼する
自宅で水回りのトラブルが生じたら、まずは応急処置として水道の元栓、止水栓を閉めましょう。家庭で出たゴミが原因で詰まっていると考えられる場合やパッキンが原因と考えられる場合には自分で対処することも可能です。
一方、原因が分からなかったり水漏れの被害が甚大であったりと、自分で対処できないと判断した場合には業者に依頼することになります。管理会社に連絡し「修理の費用は誰が負担するか」「管理会社で契約している業者があるか」を確認します。
管理会社からは業者を紹介してもらえず、自分で業者に連絡することもあるでしょう。そういった場合、なるべく複数の業者から相見積もりをとることをおすすめします。緊急性が高いからと1社にしか見積もりを依頼していないと、思わぬ高額な請求をされることもあります。落ち着いて、複数社に連絡を取りましょう。
また、見積もりが無料でできるかどうかも確認しておきたいポイント。場合によっては点検費や出張費として修理代以外の費用も請求される可能性があります。まずはホームページを確認し、見積もりや出張確認が無料の業者に依頼すると、必要以上に費用がかさむことを防げます。
なお修理費用の相場は、パッキンの交換程度で済めば5,000円〜1万円程度。部品が劣化しているなどで交換が必要な場合、簡単な部品の交換なら1万円程度、配管や複雑な部品の交換になると1~3万円程度の費用がかかります。見積もり時点であまりにも高額な請求をされた際には内訳を聞き、納得できた業者に依頼することが大切です。
水漏れ・詰まりを起こさないために
水回りのトラブルは自宅の問題にとどまらず、他の住民の迷惑になったり、思わぬ賠償請求を受けたりすることになりかねません。そこで、水漏れや詰まりを起こさないために日頃からできることを見ていきましょう。
【対策1】水に溶けにくい物や固形物は流さない
トイレットペーパーと違いティッシュペーパーは水に溶けにくいため、排水管に詰まってしまう恐れがあります。また、トイレットペーパーも完全に水に溶けるわけではなく、吸水することで細かくちぎれていくため、一度に大量に流してしまうと細かくなる前に詰まってしまいます。
先述の通り、食べ物の残りや石けんの欠片などの固形物も排水管の詰まりを引き起こし、様々なトラブルの要因となります。手で掴める大きさであれば、可燃ゴミとして処理しましょう。
【対策2】こまめに掃除をする
キッチンであれば生ゴミ、洗面台や浴室であれば髪の毛が溜まりやすくなります。大きな異物を流さなくても、日々蓄積されていくと、カビや細菌の繁殖も相まって詰まりやすくなります。
排水口にはネットをかけておくなどして直接ゴミを流さないようにし、ゴミ出しの日に合わせて週2回を目安に取り替えられると良いですね。
以上、今回は水回りをテーマに、トラブルとその対処法を紹介してきました。
水回りの違和感は放っておくと近隣の住民の方にも水漏れの影響が及び、修理代金や賠償金を請求される恐れもあります。
排水管がつまらないように日頃からこまめに掃除をすることが大切ですが、もしトラブルが起きてしまった場合には応急処置として水道の元栓、止水栓を止め、管理会社に連絡しましょう。
この連載について
【連載】これで解決!マンション暮らしのトラブル
複数の世帯が生活を送る分譲マンションでは、共用スペースの使い方やペットの飼育、ゴミ捨て場における利用マナーなど、思いがけないトラブルに遭遇する可能性があります。そこで、本連載『これで解決! マンション暮らしのトラブル』では、マンションでよく起こる困った問題の解決方法をテーマごとにご紹介。トラブル発生の防止や、万が一起こってしまった際の対応マニュアルとしてもご活用ください!