「標準管理規約」はマンション生活の安心に欠かせないルール!
「マンションの総会を欠席したい!」ときに必要な「委任状」とは?
毎年一回を目安に開催される「総会」。基本的にマンションの所有者全員の参加が求められますが、どうしても都合がつかない場合もあるでしょう。そんなときに役に立つのが委任状です。この記事では「委任状ってどんな書類?」「誰に委任すればいい?」といった疑問を解消する内容をお届けします。
そもそも「委任状」って?
委任状とは、区分所有者(マンションの購入者)が総会に参加できない場合、代理の人物に出席を委任する書類です。
総会の開催は、全区分所有者の半数以上が参加するなど必要な出席者の数が決まっています。そのため、参加者がある一定の人数を満たさないと開催できないのです。
しかし、委任状を提出して代理人を立てると本人は出席したとして、参加人数にカウントされます。ですので総会が無事に開催されるためにも、やむを得ず欠席する場合は、委任状を提出するようにしましょう。
「出席通知表」を提出するなら委任状は不要
委任状専用の用紙があるというよりも、総会への「出席通知表」と「議決権行使書」という2項目を記載した形式で配布されることが多いようです。そのため、この2項目から1つを選び、記入して提出することになります。
出席通知表は文字通り、出席の意思を表明するための項目。総会へ直接参加する方は、出席通知表に記載して用紙を提出しましょう。
一方で出席ができない場合、委任状か議決権行使書のいずれかに記入して提出します。
議決権行使書と委任状はどう違う?
「議決権行使書」とは、総会で話し合う予定の議題について、賛否を表明するための書類です。議題ごとに賛成か反対かを選択する欄があり、記入して提出すると、当日欠席であっても投票に参加できます。賛成か反対かどうかも完全にお任せしてしまう「委任状」と比べて、議題に対する自分の意思を伝えられる点がメリットです。
ただ、総会に出席しないことには変わりはないため、当日の説明や参加者の意見を聞かないまま投票しなければならない点はデメリットかもしれません。
委任状も議決権行使書も、総会に参加できない人のための項目。この2つは、原則併用はできないため、どちらか一方のみを選択するようにしましょう。
誰に委任することになるの?
委任状を使い、賛成や反対などの意見を任せることができる相手は、以下のいずれかの人物です。
1. 区分所有者の配偶者、又は一親等の親族
2. 区分所有者の住戸に同居する親族
3. 他の組合員
マンションごとの規約にもよりますが、基本的に「部外者を代理人に選ぶことはできません」。総会はあくまでもマンションを購入した人が参加する場であるためです。
代理人を立てるのは必須? 白紙委任状とは?
代理を務める人物について記載がない委任状は「白紙委任状」と呼ばれます。
通常、委任状には委任を受ける代理人を誰にするか、記載する必要があります。しかし、実情は署名捺印だけを行い、白紙委任状の状態で提出されるケースが多いようです。
代理人を立てないとどうなる?
委任先が不明な白紙委任状。総会ではどのように取り扱われるのでしょうか?
白紙委任状は、代理人の指名がないため本来は無効です。しかし、無効票として扱うと総会開催のために必要な人数を下回り、延期せざるを得なくなってしまいます。
そのため「代理人の指名がない委任状は、議長に委任したとみなす」と、取り決めている組合も多いようです。委任状の用紙に、注意事項として記載されています。
議長に委任した票はどう扱われる?
【扱われ方1】出席者の意見に合わせて投票する
議長に委任された票の扱い方は管理組合によって異なりますが、オーソドックスなのは出席者の投票結果を見て、得票数の多いほうに票を全て投票する方法です。
この方法だと、出席者だけで行った投票の結果が、欠席者の票によって覆されることはありません。
【扱われ方2】出席者の投票数と同じ比率で欠席者の票も振り分ける
出席者が投票した比率に合わせて、欠席者の票を振り分けるこの方法。【扱われ方1】と同様、出席者全体の意見を汲みやすいといえます。
例えば、出席者が20名、欠席者が10名だったとします。
ある議題に対し、出席者の投票数が賛成 : 12票、反対 : 8票であった場合、欠席者の10票も同じ比率である3 : 2 で振り分けます(10票→賛成 : 6票、 反対 : 4票)。
【扱われ方3】議長が投票先を選ぶ
「議長の判断で投票する」方法もあります。
議長へ委任した人が10名いた場合、自分の議決権と合わせて11票分の投票権限を持つに等しくなるわけです。
しかし、そうなると投票の公平性が薄れてしまい、管理組合全体の意思決定が議長の個人的意向で決まってしまうことに。公平性を保つためにも、やはり白紙の委任状は避け、出席できなくとも代理人を立てるようにしましょう。
総会は出席が基本! やむを得ない場合に委任状を
総会は管理組合の運営方針を決定する大切な場。自分の住むマンションに関わることなので、総会に直接出席するのが、やはりベストです。
しかし、やむを得ず欠席しなければならない。そんなときは、代理人を立てたうえで委任状を提出しましょう。