マンションの修繕工事請負契約約款とは?契約書とは何が違うの?
大規模修繕の工事請負契約書のなかには「マンション修繕工事請負契約約款」を利用して作成されるものがあります。
「約款にはどんな役割があるの?」「そもそも契約書との違いがわからない……」と思う方もいるかもしれません。そこで今回はマンションの修繕工事請負契約約款とは何なのか解説します。
マンション修繕工事請負契約約款とは?
民間の新築工事における請負契約では、契約書に表記しきれない詳細な契約項目をまとめた工事請負契約約款が利用されることがあります。
工事請負契約約款には様々な機関が制定したものがありますが、工事内容・請負金額・工期などの工事ごとに異なる個別的な情報以外はほとんど変わりません。
しかしマンションの修繕に当たっては利便性を考えて、一般的な約款とは異なる『マンション修繕工事請負契約約款』を利用して契約書式を作成し、管理組合と施工会社の間で使われることがあります。
その理由は、マンションの修繕工事では新築工事とは異なる工程が数多くあるからです。そのため、マンション修繕工事請負契約約款においてはマンションの共有部分である外壁塗装、屋上防水、給排水管更新などの修繕工事特有の実情が反映されます。
約款の書式を入手するには?
マンション修繕工事請負契約約款は、建築関連7団体選出の委員で構成された民間(七会)連合協定工事請負契約約款委員会が制定しました。
書式は基本的に無料で入手することができず、委員会の構成団体が運営する事務局などで購入することになります。
内容は2020年4月に一部改正されたので、以前の約款をもとにしていた場合は新しいものへの変更が必要です。
契約書と約款の違い
ここでは混同しやすい契約書と約款の違いについて説明します。
【契約書】は当事者同士が話し合いで決めたことをいつでも確認できるように、契約内容を記したものです。「言った、言わない」といったトラブルを避けるために、文書として残しておきます。
一方で【約款】は不特定多数との取引のためにあらかじめ作られた定型の契約条項です。大量の取引をするなかで、個々の契約内容を細かく記していては手続きが煩雑になってしまいます。そのため、約款を使い個々の取引に使用します。
契約書と約款は基本的に異なるものですが、約款を契約内容とすることに合意したときなどには、約款も契約書と同じ意味を持つことになります。
約款にしっかり目を通していなかったとしても、契約書と同じ効力を持ってしまうことがあるので、契約の際には注意しましょう。
約款は最新版を使用しているか確認
約款は不特定多数との取引を行うときのための契約条項のことであり、マンションの修繕工事を行うときには利便性を考えて専用の約款を利用することがあります。
約款の書式は基本的に、民間(七会)連合協定工事請負契約約款委員会の構成団体から購入可能です。内容は2020年4月に一部改定されたので、約款を確認する際には最新版を使用しているかどうかチェックしてみましょう。