理事・管理

マンションを高く売るコツは? 売却の流れや売却時の注意点を解説

2024.10.31
マンションを高く売るコツは? 売却の流れや売却時の注意点を解説

現在住んでいるマンションを、将来は売却する予定でいる人は少なくないでしょう。

売却の際は少しでも高く売りたいものですが、ポイントを押さえておかなければ、売却額が想定していたよりも安い金額になってしまうかもしれません。

この記事では、マンションを高く売るためのコツを解説していきます。いつかマンションを売りに出すときのために、参考にしてください。

マンションを高く売るコツ

【コツその1】売却までのスケジュールに余裕を持たせる

売却までは6ヵ月程度かかるのが一般的なのでそれを見越してスケジュールを立てる

マンションを売りたいのに、売れると想定していた時期を過ぎても買い手がみつからない場合、焦って値下げに踏み切ってしまう人がいます。そのような状況にならないためには、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。

マンションを売りに出してから買い手が見つかるまでには、6ヵ月程度かかるのが一般的。住宅は多くの人にとって「人生で最も大きな買い物」となるため、買い手が時間をかけて検討するのは当然です。

買い手が見つかるまでには時間がかかることを念頭において、スケジュールを組みましょう。

【コツその2】複数の不動産会社の査定額を比較する

不動産会社に査定を依頼する際に、1社しか利用しないのはNGです。

不動産の査定額は、会社によって金額にばらつきがでます。そのため、複数の会社の査定を受けて、それぞれの金額を比較すれば、適切な売出し価格の設定に役立つでしょう。

複数の不動産会社に一括で査定依頼ができる、便利な「不動産一括査定サービス」を利用すると、依頼の手間が少なくすみます。

ただし、一括査定サービスを利用すると、依頼後に複数の不動産会社から、物件の詳細確認や営業の電話がかかってくる場合があるので注意が必要です。

【コツその3】不動産会社に仲介を依頼する

不動産業者に仲介をお願いすれば買い手が見つかりやすくなる

物件の売却を不動産会社に依頼する場合、「仲介」と「買取」の2つの方法があります。「仲介」は、不動産会社を通じて物件の購入希望者を見つける方法です。一方の「買取」は物件を不動産業者に直接買い取ってもらいます。

買取は、仲介と比較して売却までの期間が短くなるメリットがあります。しかし、売却額が仲介よりも安くなってしまう点がデメリットです。買取の場合の売却金額は、本来の相場価格の6〜8割程度が目安とされるため、売主にとってマイナスが大きくなってしまいます。

売却を急ぐ特別な理由がなければ、仲介を選ぶことをオススメします。

【コツその4】売却前に価格相場を調べる

査定を依頼した不動産会社から、相場と大幅に離れた金額を提示される可能性も考えられます。物件の売り出し価格が安すぎれば売主の損失につながり、高すぎると買い手がなかなかみつからない状況になりかねません。

査定額が適正かどうかを判断するためには、売り出し価格を設定する前に、売却額の相場を把握しておく必要があります。

相場を把握するためには、売却を予定している住戸の周辺のマンションの販売価格を複数比較する、といった方法が有効です。

相場の把握には、後述する国土交通省の「不動産情報ライブラリ」などが非常に役立ちます。

【コツその5】値引き前提で価格を設定する

中古マンションの売買では、買い手から値下げ交渉されることが珍しくありません。そこで、あらかじめ値下げ交渉があると見越して、本来の相場価格よりも高めの金額で売り出すテクニックもあります。

実際には、値下げによってようやく相場と同等になる金額であっても、買い手は値下げに成功した達成感から、満足して購入に至る可能性が高くなるでしょう。

もしも、買い手が値下げ交渉をせずに購入に至れば、想定していたよりも高値で売却できることになります。

ただし、本来よりも価格を高めに設定する以上、売買が成立しづらくなる点には注意が必要です。あまりにも金額を高く設定してしまうと、購入希望者がまったく現れなくなるかもしれません。

【コツその6】売却費用と税金を調べる

売却手続きで発生する費用もある

売却は得られるお金ばかりに注目しがちですが、売却の手続きを進めるうえで支払わなければならない費用もあるので、注意が必要です。

売却時には、不動産業者へ支払う仲介手数料や契約書に貼る印紙代、所有権移転にかかる手続きを依頼する登記費用、ハウスクリーニングや引っ越し費用などが発生します。

また、マンションを売却して得た利益は、税法上「譲渡所得」として扱われます。譲渡所得は、所得税、住民税、復興特別所得税の課税対象なので、それらの税金を売却で得た金額に応じて納めなければなりません。

区分所有者が毎月管理組合へ支払う管理費と修繕積立金は、住戸の引き渡し前日までは売主、引き渡し当日からは買い主が支払うのが一般的。売却する際は、そこまで含めた金額を計算して、計画を立てましょう。

売却額と売却に付随する費用の差額が、実際に手元に残る金額となるので、事前に計算して物件の売り出し価格を設定しましょう。

【コツその7】価格が高騰したタイミングで売る

価格が上昇しやすいポイントを狙う

物件を売却するタイミングも、物件の価格に影響する重要な要素です。

地域やその時の景気の状況にもよるので、一概にはいえませんが、引っ越しシーズンは価格帯があがりやすいとされています。

引っ越しシーズンは、4月からの新生活に向けて準備する人が多い2〜3月の時期と企業の人事異動が活発に動く9月頃の2回。スケジュールに余裕がある場合は、このいずれかの時期に合わせて売りに出すのもよいでしょう。

また、大規模修繕を実施した直後も価格が上昇しやすいポイントです。工事したての物件は、この先10年以上大規模修繕を実施する必要がないと考えられ、買い手にとって魅力となります。

【コツその8】内覧前に掃除する

購入希望者が内覧にくるときは、事前に住戸内の片付けや清掃をしておきましょう。

本来は購入者にとって魅力ある物件であっても、散らかった室内を目にすると購買意欲が削がれてしまうかもしれません。

自分が新しい住戸へ移り住む場合を考えて、気になるポイントはすべて綺麗にしておきましょう。

内覧で、水回りを細かくチェックする人も少なくありません。水回りに市販の薬剤では落としにくい深刻な汚れがある場合などは、内覧前にハウスクリーニングの実施も検討してください。

【コツその9】インスペクションの実施

インスペクションとは、専門家による建物の検査です。「建物診断」とも呼ばれます。

専門家に依頼するので、当然インスペクションの実施には費用が発生します。しかし、インスペクションをすれば、住宅の状態を正しく把握できるので、買い主がマンションを購入するかどうかを選ぶ際の、安心材料とできる点は大きなメリットです。

売主が認識できていない欠陥がインスペクションによって発覚する場合もあります。このような場合は、売買契約成立後に欠陥が見つかって、買主とトラブルになる様な事態を未然に防ぐ効果もあるでしょう。

【コツその10】売却したら特別控除を申請しよう

居住用の財産を売却すると、「マイホームを売ったときの特例」を利用可能です。この特例により、譲渡所得で得た金額の最大3000万円までを控除できます。

例えば、持ち家の売却によって4000万円得た場合にこの特例を使えば、3000万円まで控除可能です。このとき、各種税金は差額の1000万円に対してかかるので、元の4000万円ベースで課税する場合よりも大幅に納税額を減らせます。

特別控除を利用した場合は、売却した翌年に確定申告が必要です。

マンション売却の流れ

【STEP1】不動産会社に査定を依頼

まずは不動産会社への査定依頼からスタート

まずは不動産会社への査定依頼からスタートです。

査定方法は「匿名査定」「簡易査定」「訪問査定」の大きく3つに分類されます。

「匿名査定」は、WEB上で名前や住所などの個人情報を登録しないまま、敷地面積や築年数などの物件情報やメールアドレスの登録だけで、大まかな金額で査定を受ける方式です。近年では、査定にAIを活用する不動産業者も増えてきました。

「簡易査定」は、匿名査定よりも詳しい情報を元に売却額を算出する方法です。匿名査定は、大まかな所在地だけで、対象となるのがどのマンションかを断定できる情報は入力しません。一方の簡易査定は、実際のマンションのデータをもとに査定するので、より精度が高い方法といえます。

3つめの「訪問査定」は、不動産会社の担当者が売却希望の物件に来訪し、実際の建物や住戸内の様子を確認したうえで査定する方法です。3つの中で最も現実に即した査定額が出る方法といえるでしょう。

ただし、他の方法と比較すると、不動産会社スタッフとの日程調整などの手間が大きくなります。そのため、匿名査定や簡易査定の査定額から数社を厳選し、そのうえで訪問査定を依頼する、といった使い分けが有効です。

なお、不動産会社によっては対応していない査定方法もあるので、注意しましょう。

【STEP2】不動産会社と媒介契約を結んで売り出す

次に、不動産会社との媒介契約を進めます。媒介契約とは、売主と不動産会社の間で交わされる、物件の売買についての取り決めです。契約の内容は、売却活動の条件や制約した場合に不動産会社に支払う媒介手数料の金額設定などがあります。

媒介契約は「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類に分類されます。

「一般媒介契約」は、複数の不動産会社と契約できる点が特徴です。ほかの契約方法と比べて売主の自由度が高い点が魅力といえるでしょう。

「専任媒介契約」は利用者が最も多い契約方式です。複数の業者と契約ができる一般媒介契約とは異なり、専任媒介契約では1社の不動産会社とだけ契約を結びます。契約内容に複数の会社との契約を禁じる内容が含まれるため、2社以上と契約すると契約違反となってしまいます。

専任媒介契約を締結すると、不動産会社は7日間以内に売主の物件をレインズ(不動産会社が物件の情報交換をするためのネットワークシステム)へ登録しなければなりません。レインズに登録することで、購入希望者をスピーディーに見つけられる可能性が高まります。なお、一般媒介契約では不動産会社にレインズへの登録義務はありません。

3つめが「専属専任媒介契約」です。この方式でも専任媒介契約と同じく、売主は1社の不動産会社としか契約を結べません。そのため、専任媒介に近い制度と考えられますが、専属専任媒介契約では、専属媒介契約で認められている自己発見取引が不可となっています。

自己発見取引とは、売主が自力で物件の購入希望者を見つけて個人間で売買する手法です。専属専任媒介契約では、たとえ売主が自分で購入希望者をみつけたとしても、不動産会社を仲介して売買しなければならず、仲介費用が発生します。そのため、もっとも自由度が低い方式といえるでしょう。

ただし、専任媒介契約では、7日間以内であるレインズへの登録が5日間以内とされていたり、専任媒介契約では売主への進捗状況の報告義務が2週間に1回以上の頻度であるところ、専属専任媒介契約では1週間に1回となっているなど、売主へのサポートが手厚い方式となっています。

いずれの契約方法を選んでも、不動産会社が売却に向けた活動をスタートしていくので、契約後は購入希望者が現れるまで待つことになります。

【STEP3】購入希望者の内覧

成約にいたるまでに内覧を5〜10件実施するのが目安

不動産会社による宣伝活動によって、実際に購入希望者が現れたら、次は内覧です。内覧での印象は購入するかどうかを大きく左右するので、できる限り良い印象を残せるように心掛けてください。

「普段から室内を丁寧に掃除している」という人でなければ、内覧前にはなるべく住戸内の清掃や整理整頓をしておきましょう。たとえ、物件を購入して入居する際には、備え付けの設備以外の物品はすべて運び出されるとわかっていても、掃除が行き届いていない、散らかった室内を見ると悪い印象が残ってしまうかもしれません。

実際に成約にいたるまでには、内覧を5〜10件実施するのが目安とされています。

【STEP4】売買契約を結んで引き渡し

内覧したうえで購入を希望する人がいれば、価格や条件の交渉を進めましょう。双方が同意できる形に落ち着けば、正式に売買契約を結びます。

契約締結は、売主と買主のほか、不動産会社の担当者が集まって行われるのが一般的です。

不動産会社の担当者による重要事項説明や契約条件を最終確認して、問題がなければ契約書に署名捺印をします。

マンションを高く売るための注意点

【注意点1】信頼できる不動産会社を選ぶ

不動産業者の良し悪しは、スムーズな売却や希望価格での売却ができるかに大きく影響します。

悪質な会社の場合、とにかく早く成約したいがために、査定額を本来の水準から低く設定しようとする業者もあるそうです。そのため、なるべく高く売るためにも、不動産会社の選択は安易に決めではいけません。

ネットの口コミ情報を調べたり、複数の不動産会社に査定依頼して、査定額を比較するなどして、信頼できる不動産会社をみつけましょう。

【注意点2】適正価格より高く設定しすぎない

売主の本音として、少しでも高く売りたい気持ちがあるのが通常ですが、相場よりも著しく高い金額設定をしてしまうと、なかなか買い手が見つからなくなるでしょう。

そのため、相場の把握が非常に重要です。相場を知るためには、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」が役立ちます。エリアを指定して調べると、その近隣の物件の取引金額や面積などの情報がわかるので、物件の金額感が簡単に把握できるでしょう。

レインズは不動産業者専用のサービスですが、不動産情報ライブラリは誰でも利用可能なので、一度売却を希望する物件周辺の相場を調べてみましょう。

【注意点3】購入希望者が審査に通るとは限らない

注意したいのが、契約を結んだ購入希望者が、住宅ローンの審査に落ちるパターンです。

住宅ローン審査に通らなかった場合、購入希望者は、違約金などのペナルティなしで売買契約を解除できます。

そのため、内覧後の条件交渉をする段階で、不動産業者を通じて購入希望者の勤務先などの情報を確認して貰いましょう。

マンションを高く売りやすい業者の特徴

大手の不動産会社

大手の不動産会社は、そもそも知名度が高く、広告費用に大金を投入できることもあって、多くの購入希望者がチェックします。多くの人の目にとまれば、早期に内覧希望者が現れる可能性が高くなるでしょう。

また、社内マニュアルや研修制度が用意されているなど、社員教育が行き届いているため、担当者に一定水準以上の対応力を期待できます。

ただし、顧客数が多く、抱えている案件数が多いため、細やかなサポートや急ぎの対応ができない場合があるかもしれません。

地域密着型の不動産会社

地域密着型の会社は、対象エリアの顧客のニーズを熟知しています。

長く続いている会社であれば、独自の人脈などのネットワークを駆使して、効率的に購入希望者をみつけられる可能性もあるでしょう。

ただし、小規模であるため、たとえ地域住民であってもそこまで認知されていない場合もあるかもしれません。

ポイントを押さえれば高値での売却は可能

今回の記事では、マンションを高く売るポイントを紹介しました。

この記事で紹介したポイントを押さえれば、相場よりも安い金額で売却してしまうような事態の発生を回避することにつながります。

売却価格においても、売却までのスピードにしても、契約する不動産会社によって結果が大きく左右されるので、契約する不動産業者の選定は慎重に進めてください。

また、物件に致命的な問題がある場合は、相場での売却ができなかったり、売却希望時期になっても購入希望者が現れなかったりする場合もあるので注意しましょう。

あなたのマンションの課題を解決!おすすめサービス!

この記事を誰かに知らせる/自分に送る

MAGAZINEおすすめ連載

ついにやって来た!大規模修繕
理事会役員超入門
となりの管理組合
マンション管理最前線
これで解決!マンション暮らしのトラブル
APARTMENT LIFE GUIDE BOOK
¥0

無料
ダウンロード

マンション居住者のお悩み解決バイブル!

『マンション暮らしのガイドブック』

最新マンショントレンドや理事会の知識など、
マンションで暮らす人の悩みや疑問を解決するガイドブック。
ここでしか手に入らない情報が盛りだくさん!

※画像はイメージです。実際のガイドブックとは異なる可能性があります。

無料配布中!

このサイトでは、アクセス状況の把握や広告配信などのためにクッキー(Cookie)を使用してしています。このバナーを閉じるか閲覧を継続した場合、クッキーの使用に同意したこととさせていただきます。なお、クッキーの設定や使用の詳細については「プライバシーポリシー」のページをご覧ください。