管理費やローン以外にもある?マンション購入後の維持費用を解説
マンション所有時に必要なのは住宅ローンと管理費だけではありません。
火災保険や固定資産税をはじめ、戸建ての場合はかからない修繕積立金や駐車場使用料なども必要です。
この記事ではマンション購入後にかかる費用について、相場などもふまえて解説します。
マンション購入後の維持費用
1. マンション管理費
マンションの所有者は毎月管理費を支払います。
管理費はマンションの規模や地域によって異なりますが、2018年に実施された国土交通省の調査によると全国的な平均額は月額1万5000円程度です。管理費は快適な住環境維持を目的に、設備や共用部のメンテナンス、管理会社への委託料などに使われます。
マンション全体にかかる管理費を所有者で分担するため、一般的には総戸数が多いほど管理費は安くなる傾向にあります。ただし、タワーマンションなどのハイグレードマンションは充実した共用施設を備えているケースが多く、管理費が高くなりがちです。
また、管理費は各所有者の専有面積に応じて算出されるため、住戸が広い人ほど負担金額は高くなります。
2. 修繕積立金
修繕積立金は将来の修繕に備え毎月計画的に積み立てるお金で、こちらもマンション特有の費用といえます。
修繕積立金は年々値上がりしており、国土交通省の同調査による全国平均は月額1万円から1万5000円程度です。修繕積立金の納付方法は、設定期間中の金額が一定である「均等積立方式」と、年数とともに金額が上がる「段階増額積立方式」の2種類があります。多くのマンションでは段階増額積立方式を採用しているため、築年数が経過するほどに積立金は高くなるのです。
修繕積立金の相場も管理費と同様、マンションの規模や地域によって異なりますが、一般的には総戸数が多いほど修繕積立金は安くなる傾向にあります。
ただし、高層マンションは外壁の修繕時に特殊な足場を必要とするため、修繕積立金も高くなるケースが多いです。
3. 住宅ローン
マンション購入後の支払い内訳のうち、多くの人にとって最も大きい割合を占めるのが住宅ローンです。
住宅ローンは住宅取得専用のローンであり、金融機関によって金利は異なります。
頭金は一般的に物件価格の2割程度が必要であり、頭金の割合が大きいほど住宅ローンの総額は少なくなります。
4. 駐車場・駐輪場使用料
車や自転車を所有している場合は、駐車場・駐輪場使用料も必要です。
駐車場は平置きか機械式かによって大きく金額が変わりますが、月額5000円〜3万円程度、駐輪場は月額1000円未満が一般的な相場です。駐車場使用料はおもに管理費として扱う管理組合が多いです。
ただし、管理費として計上すると駐車場修繕の費用不足に悩むケースも。支払われた駐車場使用料は、駐車場のために使えるよう収支関係の見える化が大切です。
5. 保険料
火災や地震など、万が一に備えた保険料も必要です。特に地震の多い日本においては、地震保険の加入はほぼ必須と考えていいでしょう。地震保険は営利目的ではなく、国民の自助を目的として設けられた制度です。そのため、加入条件が同じであればどの損保会社であっても保険料に差はありません。
なお、地震保険は基本的に単体で加入することはできず、火災保険とセットで加入する必要があります。地震保険は建物の耐震等級や所在地、構造などで相場が大きく変動します。
火災保険料は基本的に年単位で支払います。以前は最長契約期間が10年間でしたが、2022年10月より最長契約期間が5年に短縮されました。これは、近年自然災害の発生が多くなり保険会社が長期の収支予測を立てづらくなったのが原因とされています。
1年契約よりも長期契約のほうが総支払額が安い傾向にあり、更新の手間も少なくなります。1回の支払い負担が大きいデメリットはありますが、コストパフォーマンスを重視するのであれば長期契約がおすすめです。
6. 固定資産税・都市計画税
マンションか戸建てかにかかわらず、不動産所有者は固定資産税と都市計画税の納付義務があります。
マンションにかかる固定資産税の目安は年間10〜30万円程度です。固定資産税は建物と土地にかかる税金であり、土地の評価額はその年によって変動します。一方、建物部分に関しては経年劣化にともない評価額が下がるのが一般的です。
1月1日時点で土地や家屋を所有している場合、その年の4月から6月の間に固定資産税および都市計画税の納付書が届きます。
固定資産税や都市計画税は「固定資産税評価額×標準税率」で算出されます。標準税率は自治体ごとに若干異なりますが、固定資産税の場合は原則1.4%です。都市計画税の税率も自治体ごとに異なりますが、上限は0.3%とされています。
マンション維持費を考えるうえでのポイント
管理費や修繕積立金が値上がりすることがある
マンションを購入するうえで考えなければならないのは、維持費の変動です。
特に、新築分譲時は購入のハードルを下げるために管理費や修繕積立金を低く設定するケースが少なくありません。実際、前述したように修繕積立金の相場は年々値上がりしています。建物の老朽化にともない値上がりする可能性を忘れないようにしましょう。
また、年数がそこまで経っていない場合でも、空き家や滞納などの思わぬトラブルで十分な維持費が確保できず、突然値上がりするケースもあります。
建て替えで負担が増えることがある
築年数が経過し、老朽化が進んだマンションは建て替えが必要なケースも。建て替えを実施する場合、その費用は基本的に所有者が負担します。
建て替え費用はマンションの規模や構造にもよりますが一戸あたり2800万円ほど必要です。購入価格や固定資産税が安い中古物件を購入しても、建て替えで結果的に高くついてしまう可能性を考慮しておきましょう。
住宅ローンや管理費以外のコスト把握が大切
マンション購入後は、住宅ローンや管理費以外にもランニングコストがかかります。その金額は決して安くなく、一般的に年間40万円以上は必要です。駐車場の有無やマンション構造によっては、さらに高くなる可能性もあるでしょう。
マンション購入時は、単純に賃貸物件の家賃と住宅ローンを比較するのではなく、購入後の維持費用も把握することが大切です。また、維持費用金額は一定ではなく、値上がりする可能性を考慮し余裕のある支払計画を立てておくと安心です。