理事・管理

管理組合で借り入れが必要になるのはどんなとき?借り入れ先は?

2022.08.10
管理組合で借り入れが必要になるのはどんなとき?借り入れ先は?

マンションの大規模修繕では、多額の出費が発生します。その際にさまざまな要因で、お金が不足し、借り入れが必要になることがあるかもしれません。

今回は、借り入れが必要になるマンションの特徴や、主な借り入れ先について解説します。

借り入れが必要になるマンションの3つの特徴

【特徴1】修繕積立金の徴収金額が少ない

修繕積立金が安いと資金不足になりやすい

修繕積立金の徴収金額が適正な金額よりも少ないと、いざ大規模修繕を行うとなった際に予算が足りなくなってしまうことも。

国土交通省のマンション総合調査では、修繕積立金の平均金額は1万1243円です。マンションの規模によって月々必要な金額は異なってきますが、平均よりも極端に少額であれば一度積立金の金額を見直してみると良いかもしれません。

また、修繕積立金の金額が適正でも、滞納者が多いと将来的に資金不足に陥ってしまう可能性もあります。滞納が続く場合は、文書での催促などの対策を検討してみましょう。

【特徴2】機械式駐車場がある

機械式駐車場は維持費が高い傾向にある

機械式駐車場は、定期点検や部品交換などのメンテナンス費用が他の共用部分と比べて高くなる傾向にあります。原因としては、部品交換時には、メーカーから部品を直接仕入れるため費用削減が難しい点が挙げられます。そのため、多くのマンションでは、修繕積立金とは別に徴収している駐車場の使用料で費用を賄っていますが、不足してしまうことも。

解決策として、独立系メンテナンス業者に委託先を切り替えるという方法があります。しかし、独立系業者はメーカーに比べて部品の在庫が少ないというデメリットがある点には要注意です。故障対応や修理の際に、すぐに対応できなかったり、メーカーから取り寄せた部品に独立系業者のマージンが上乗せされるため、かえって費用が高額になってしまう可能性があるのです。

さらに、機械式駐車場がないマンションでも、エレベーターのメンテナンスによって修繕費用が嵩んでしまう場合があります。詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひ確認してみてください。

【特徴3】マンションの築年数が古い

マンションの築年数が古くなると修繕にかかる費用が高額になる傾向があります。

マンション総合調査では「長期修繕計画に基づく修繕工事費」の平均は、平成27年以降完成のマンションでは3億5813万円だったのに対し、昭和44年以前に完成したマンションでは5億3295万円でした。

主な原因としては、完成時に使用されている設備の部品が生産終了し、設備そのものを入れ替える必要があるためだと考えられます。

修繕積立金が不足したときの借り入れ先は2種類

修繕積立金が不足してしまった場合は、やむを得ず費用の借り入れが必要になるかもしれません。

この項目では、どこから借り入れられるかを紹介していきます。

【その1】住宅金融支援機構

住宅金融支援機構は、住宅金融市場での安定的な資金供給を支援するための独立行政法人です。

住宅金融支援機構が行っている管理組合対象のローンとしては、「マンション共用部分リフォーム融資」があります。

この制度では、屋上防水や外壁塗装、階段や廊下の補修などの大規模修繕の費用を借り入れることができます。借りられる金額は、150万円×戸数を上限として総工事費用の80%までです。

融資を受ける条件として、「共用部分の工事を実施することや、借り入れの返済に修繕積立金を充当することが総会で決議されている」「管理費や組合費から修繕積立金に充当できないよう管理規約で定められている」などがあります。

特徴としては、マンションの戸数や規模、法人化の有無を問わずに、担保不要かつ低い固定金利で融資を受けられる点が挙げられます。また、マンションすまい・る債を積み立てている場合は、融資金利が年0.2%引き下げられる点もメリットです。

【その2】金融機関

「マンション共用部分リフォーム融資」の条件を満たせない場合は、民間のローン会社やリース会社などの金融機関から借り入れることになります。

金融機関から借り入れる場合は、利率だけではなく信用や規模、業歴を調べて借り入れ先を選ぶようにしましょう。

借り入れにはデメリットもある

借り入れを行うにあたってデメリットがあることを踏まえておく必要があります。

一つ目のデメリットは、修繕積立金の値上げです。借り入れはその場しのぎの資金調達方法に過ぎず、借りた後は返済する必要があります。

住宅金融支援機構の融資では、借り入れの返済に修繕積立金を充てなければならないことから、ほとんどの場合は修繕積立金の値上げが必要になることでしょう。

二つ目のデメリットは、資産価値の低下です。管理組合が借り入れしているという事実は、入居者以外にも影響を及ぼす可能性があります。

購入を検討している人が借り入れ金のあるマンションを避け、新規入居者の獲得が困難になれば、マンションの資産価値の低下につながりかねないのです。

まずは、借り入れをしなくて済むように長期修繕計画を見直して見るのがおすすめです。

修繕積立金が不足した場合の対処法については、以下の記事でも解説しています。

資金が不足した場合は長期修繕計画の見直しを

修繕積立金の借り入れ先としては住宅金融支援機構が一般的ですが、条件を満たしていない場合は民間の金融機関から借り入れすることになります。

ただし注意したいのは、借り入れによる修繕費の解決は、一時的な処置ということ。借り入れすることで、その後の返済のために修繕積立金の値上げが必要になったり、マンションの資産価値が低下する可能性があるというデメリットも考慮しておきましょう。

修繕積立金が不足してしまうマンションは「徴収金額が少ない」「機械式駐車場がある」「マンションの築年数が古い」など修繕費が高くなる特徴がある場合が多いです。

これらの特徴に当てはまっている場合は、一度長期修繕計画に根本的に無理がないかを確認してみましょう。

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