理事・管理

管理組合の活動は法人税課税の対象となる場合がある! 具体例で説明

2022.09.27
管理組合の活動は法人税課税の対象となる場合がある! 具体例で説明

マンション管理組合は、自分達が住むマンションの維持管理を目的とした活動を行う団体で、一般的には収益を目的とした事業を行いません。しかし、管理組合の在り方は多様化が進んでおり、活動によって収益を得るマンションが増えてきています。

収益があると、管理組合であっても法人税の課税対象となる場合があるので注意が必要です。この記事では、管理組合の活動が収益事業とみなされて、法人税課税の対象となるケースについて解説します。

管理組合の収益事業には法人税が課せられる

人格のない社団等には法人税が課せられる

法人化していないマンション管理組合は法人格を持ちません。法人税法では、一定の目的を持って活動する団体の内、法人格を持たないものを「人格のない社団等」として定義しており、管理組合もこの1つに分類されます。

人格のない社団等は法人税法の適用を受けるため、法人化していない管理組合も法人税の課税対象です。

ただし、法人税は共済的事業に対しては課税されません。共催的事業とは、共通する利益のために複数名がお金を出し合って行う事業です。

複数の区分所有者が、管理費や修繕積立金という形で資金を捻出し実施する一般的な管理組合の管理業務は、共済的な事業とみなされます。そのため、通常のマンション管理業務のみを行っているのであれば法人税課税の適用外です。

法人税が課せられるのは、管理組合が収益事業を行っている場合のみ。収益事業とは、法人税法が規定する34種類の事業に該当するもので、なおかつ、事業のための場所を設けて継続的に行われるものを指します。管理組合であっても、マンション外部の人を対象として、組合に収入が発生する行為を行えばと収益事業に該当する場合があり、法人税等の申告義務が発生するので要注意です。

ちなみに、法人化している管理組合は、法人税法では公益法人等の1つとみなされておりますので法人税法の適用を受けます。

マンションで収益事業とみなされやすい3つの具体例を紹介

【収益事業1 】不動産貸付業

負担金などの名目で金品を受け取っていれば不動産貸付業に該当する

不動産貸付業とは広告掲載などの目的ために、店舗や建造物の屋上、壁面などの一画を外部の者に使用させる行為です。

マンション敷地内に広告看板や自動販売機、電柱、携帯電話の基地局などを設置している場合、設置主から場所代や負担金といった名目で金品を受け取っていれば、不動産貸付業として収益事業に該当します。

【収益事業2 】共用部や備品の貸出収入

近年では、住民が利用するためのマンション内のラウンジや会議室などの施設、卓球台などの設備を外部へ向けて貸し出しを行うマンションが増えてきています。

この時、貸し出した相手から施設や設備の使用料金を受け取る場合には、不動産貸付業や物品貸付業に該当するため、法人税の課税対象です。

【収益事業3 】駐車場の貸出収入

自動車を所有しない世帯の増加により、駐車場の空きスペースが発生したマンションでは、住民が利用するための駐車場を住民以外の人へ向けて有料で貸し出しているケースもあります。

住民から集める駐車場料金は収益事業とみなされませんが、住民以外を対象に貸し出しを行う場合は駐車場業という収益事業となります。

収益事業に該当しないケース2選

1. 定期的ではないイベントによる収入

マンションでバザーやチャリティーといったイベントを開催した際に、管理組合が収益を得る場合があります。この時、収益につながったからといって、必ずしも収益事業に該当するわけではありません。

注目するべきポイントは、イベントが「継続的に行われるか」という点です。

イベントが定期的かつ大規模に開催されていて、管理組合が収入を得ている場合は、法人税法が定める「物品販売業」に該当するため課税対象となります。

一般的には、開催が年間2、3回程度の少ない回数であれば、「継続的」とはみなされないようです。

2. 電気代相当額の受け取りは収益事業とはみなされない

携帯電話基地局や自販機を設置していると、設置した事業者から電気代相当の金額をが支払われるケースがあります。

この費用は、基地局や自販機を稼働させるために必要となる金額を、事業者に代わって管理組合が立て替えを行い、後から事業者から返済を受けているとみなされるため、収益事業に該当しません。

ただし、月々事業者から支払われる金額が、実際掛かった電気代を大きく上回るのであれば、収益事業として扱われる場合があるので注意が必要です。

管理組合に利益が出ているなら収益事業の可能性大

管理組合の活動によって得ている金銭が収益事業に該当するかどうかの判断が難しい時は、その収益に区分所有者同士の共済的な性質があるものか、それともマンション管理組合に利益をもたらすものかを考えましょう。

前述の通り、区分所有者の共通の利益のために行われる共済的な事業であれば収益事業とはなりません。共済的な事業とされるためには、受け取った収入が区分所有者に分配されずに管理費や修繕積立金に充当される必要があります。

一方で外部から収入を得ており、管理組合に利益が出ているものについては収益事業とみなされる可能性も。収益事業に該当する業務で得た収益が、無申告のまま税務調査によって発覚すると罰金が科せられる場合もあるので注意が必要です。

わからない場合は税理士に相談するのもひとつの手

マンション管理組合も、収益事業に該当する活動を行えば法人税の課税対象となります。特に、不動産貸付業と駐車場の貸出収入は、管理組合の活動の中で収益事業に該当しやすいようです。

もしも、マンションで行っている活動が収益事業に該当するのか、共済的事業となるのかの判断ができない場合には、税理士に相談するなどして明確にしておくと良いでしょう。

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