マンション管理費に駐車場代は含まれる? 注意点も解説
マンション駐車場使用料をどう扱うべきか、悩むケースは少なくありません。
マンションの多くが駐車場使用者から集められた駐車場使用料を管理費に組み込んでいますが、駐車場使用者が減ると管理費不足になるなどトラブルにつながるケースも。
この記事では、駐車場使用料を管理費に含めるときの注意点と対策を、国土交通省のガイドラインをもとに解説します。
マンション管理費に駐車場は含まれる?
多くのマンションでは、駐車場使用料は管理費収入として取り扱われます。
マンション管理組合に入るお金は大きく分けて
①管理費
②修繕積立金
③専用使用料(駐車場や1階専用庭など)
があります。
このうち、管理費は購入時に買い手に安さを印象づける目的で、必要以上に安く設定されているケースがあるため注意しなければなりません。安い金額設定のままでは管理費が足りなくなるケースも。その不足分を補うために駐車場などの専用使用料が管理費に組み込まれます。
駐車場の維持や管理にかかわる費用は管理費(一般会計)から、修繕にともなう費用は修繕積立金(特別会計)から支出されます。
駐車場代を管理費に含めた場合の2つの注意点
1. 駐車場使用者が減ったときの管理費不足
先述したとおり、支払われた駐車場使用料は、マンション管理費に組み込まれるのが一般的です。そして、駐車場使用料収入を見越してその分管理費を安く設定しているマンションは少なくありません。
言い換えれば、駐車場使用料がなければ管理費会計が赤字になってしまう可能性があるともいえます。ここで問題になるのが駐車場の使用率が減ったときの管理費不足です。
駐車場使用料は、管理費のように長期的に一定額が必ず入ってくる保証がありません。
駐車場の多くが使用され、充分な収入があるうちは問題ないのですが、車を手放す利用者が増え、使用されない駐車場が増えた場合には管理費不足に直面してしまいます。
2. 駐車場使用の有無による住民同士の不公平感
空きが出ない程度に駐車場が利用されていれば、管理費不足に悩まされずに済むでしょう。しかし、その一方で、駐車場利用者がそれ以外の住民に対して不公平感を持ってしまうかもしれない点に注意が必要です。
駐車場利用者から集めた駐車場代から、駐車場の維持費を差し引いて残った金額は管理費に充てられます。これにより、マンション住民全体が支払う管理費の値下げが可能となるのです。
しかし、この仕組みでは、マンション全体にかかる管理費の一部を車の所有者だけで負担している状況となるため、不公平に感じる駐車場利用者も少なくないでしょう。
では、これらの課題を解決するにはどうしたらいいのでしょうか。
駐車場使用料は「修繕積立金」に含めるべき
収入が使用状況に左右される駐車場使用料を管理費に組み込むと、利用者が減ったときの管理費不足や、将来の修繕費不足につながる原因になります。
これらの課題を解決するために、駐車場使用料を管理費ではなく「修繕積立金」として扱う手があります。国土交通省のガイドライン「標準管理規約29条」でも、「駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕費として積み立てる」とされています。
駐車場に係る費用は、
・毎月かかる維持費やメンテナンス費用
・修繕時にかかる費用
に分けられますが、多くは修繕時にかかる費用です。
駐車場使用料をすべて管理費(一般会計)として計上すると、本来積み立てるべき積立金を毎月消費する状態になってしまうのです。そうすると、不足した修繕積立金を、車を所有しない(駐車場を使用しない)住民からも集めなければなりません。ここでも不公平感が生じてしまうおそれがあります。
駐車場使用料は駐車場のために使えるよう、管理費とは別会計で管理、あるいは国土交通省のガイドラインに則り、修繕積立金として扱うことを検討しましょう。
駐車場代は管理費ではなく修繕費とすることも検討を
車を手放すなどの理由により、駐車場の使用状況はいつ変化してもおかしくありません。管理費の一部として駐車場使用料を充てる方法では、管理費不足につながるおそれがあります。
駐車場使用料を管理費として計上しているマンションが多いのが現状ですが、修繕積立金とすることも検討の価値がありそうです。