大規模修繕

大規模修繕にかかる費用を抑える! 削減のための4つの方法を解説

2024.02.01
大規模修繕にかかる費用を抑える! 削減のための4つの方法を解説

マンションの大規模修繕は管理組合にとって非常に大きな出費をともなう行事です。修繕積立金を準備しているとはいえ、施工の範囲や内容によっては予算に不安が出てくる可能性もあります。

しかし、マンションの築年数や所在地の自治体によっては、助成金や減税などの公的な支援を受けらます。今回は、大規模修繕費用の削減方法を見ていきましょう。

大規模修繕費用の削減方法

4つのコストカット方法を紹介

【1】無足場工法を利用する

多くの場合、マンションの大規模修繕では足場を設置して工事をします。修繕費用のなかでも、足場の設置費用は多くの予算が必要な項目です。

また、設置や撤去に時間を要するため、足場の設置で施工期間が長くなる点も足場付き工法を実施するうえでの悩みどころといえるでしょう。

一方、「無足場工法」なら予算も施工期間も抑えられます。無足場工法とは、ハーネス(安全帯)とロープを使用して、作業員を屋上から吊り下げた状態で修繕作業を行う施工方法です。無足場工法を選択すれば、工事費用を大きくコストダウンできるかもしれません。

ただし、修繕範囲の広さやマンションの形状・規模によっては、無足場工法では修繕ができない場合もあります。そのようなマンションは、やはり足場の設置が必要となるため、設置費用のカットは難しいでしょう。

【2】相見積を取る

複数の業者の費用やサービス内容を比較

複数の業者に見積を依頼し、費用やサービス内容を比較することも重要です。

相見積を取れば、適正な費用感を把握できるうえ、他社の見積額を提示して価格交渉を行うこともできます。なかには、相場よりも大幅に安い価格を提示する業者もいますが、サービス内容に不足がある可能性があるため、価格意外にも施工の実績や評判をチェックしておくと良いでしょう。

【3】管理会社任せにしない

3つ目の方法は、「管理会社に任せきりにしない」です。管理会社に業者の手配や見積をすべて依頼すれば楽に大規模修繕を進められますが、見積額に管理会社への手数料が上乗せされて高額になる場合があります。

大規模修繕の手配や施工は、必ずしも管理会社に依頼しなくても問題ありません。例えば、国土交通省が提示する「標準管理委託契約書」では、「長期修繕計画案の作成や見直し」は業務として定められていますが、大規模修繕工事そのものについては契約の範囲外となっています。

実際の管理会社の業務内容は、自身のマンションの「管理委託契約」の確認が必要ですが、自分たちで見積を取ったり業者を決定するとよいでしょう。

前述した相見積も、管理会社に見積の取得を任せていては手数料を上乗せされてしまうため、意味がありません。管理組合が自ら相見積を取り、外部のコンサルタントなどに精査してもらえば、コストを削減しつつ適切な業者を選択できます。

【4】助成金・補助金を利用する

使える助成金や補助金は積極的に利用

国や自治体で利用できる制度がないかも忘れず確認しましょう。

相談受付やマンション管理士の派遣などだけではなく、管理組合の費用負担を軽減できる助成金や補助金の制度がある可能性も。いずれも返済義務がないため、支給されれば費用負担を大幅に削減可能です。

例えば、東京都中央区には「分譲マンション共用部分改修費用助成」という制度があります。この制度の対象になるのは、築20年以上経過している・住宅として利用しているマンションです。修繕や防災対策工事の設計・工事費用の一部が10年間で最大1000万円助成されます。

助成金は一定の条件を満たせば支給を受けられますが、補助金の支給は応募後審査を通過する必要があるという点は覚えておきましょう。

大規模修繕の翌年度は建物部分の固定資産税が減額される

さらに、大規模修繕工事実施の翌年度に課される税金が減額される場合があります。

「長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに対する固定資産税の減額制度」は、令和5(2023)年度の税制改正で創設された期間限定の特例措置です。この制度を利用すれば、「長寿命化工事」を実施したマンションは、工事が完了した翌年の建物部分の固定資産税が減額されます。長寿命化工事とは、「外壁塗装等工事」「床防水工事」「屋根防水工事」を指します。

減額の割合は6分の1から2分の1で、市町村の条例によって定められています。例えば、東京23区の減額割合は最大の2分の1です。

なお、制度の適用を受けるには、工事完了日から3カ月以内に必要書類を各自治体の税事務所に提出しなければなりません。また、他の改修工事の際に利用できる固定資産税の減額とは併用できない点にも注意しましょう。

この制度は、「マンション長寿命化促進税制」とも呼ばれています。

マンション長寿命化促進税制を活用するための条件は5つ

「マンション長寿命化促進税制」の減額を受けるには5つの条件を満たす必要があります。

(1)築20年以上が経過している
(2)総戸数が10戸以上である
(3)2023年4月1日〜2025年3月31年までに長寿命化工事を全て完了した
(4)管理計画が都道府県等から認定を受けている、または長期修繕計画が一定の基準に適合している
(5)専有部分のうち、人が居住する部分が2分の1以上ある

条件は国土交通省や各自治体のホームページで公開されているので、大規模修繕を検討する段階で事前に確認しましょう。

費用カットと制度の利用が成功の鍵

大規模修繕費用の削減方法にはさまざまなものがありますが、自分たちで相見積を取って管理会社の中間手数料分をカットするのは最も効果的かつ多くのマンションで実行可能です。条件を満たせれば、助成金や補助金を活用し、修繕積立金から支払う金額を減らせる場合もあります。

また、新たに創設された「マンション長寿命化促進減額」で固定資産税を減額し、実質的な負担を減らす方法もあるでしょう。自治体のホームページ等で情報収集を行い、可能な限り費用を抑えて大規模修繕を進めたいですね。

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