管理費と修繕積立金の相場は1万円前後! 用途ごとに集められる!
マンション管理費・修繕積立金・固定資産税の目安【計算方法付き】
マンションの管理費や修繕積立金は、突然値上がりしてしまうケースも少なくありません。
管理費や修繕積立金の金額はマンションごとに異なります。相場より低すぎる金額設定は、不十分な管理や修繕費用不足の原因にも。管理内容や規模に応じた適正金額の把握が重要です。この記事では、マンションの管理費・修繕積立金・固定資産税の目安や計算方法を、具体例とともに紹介していきます。
【マンション管理費】相場・目安
国土交通省の「マンション総合調査」によると、2018年のマンション管理費の平均は一戸あたり月額1万5000円程度です。
マンション管理費は、入居者の快適な住環境維持を目的に使用されます。
例えば
・エレベーター等設備の保守点検料
・エントランスや廊下など共用部の光熱費
・共用部の清掃費、ごみ処理費
・管理会社への委託費
・管理員の人件費
などの費用は区分所有者から納められた管理費が充てられます。
管理費はマンションごとに管理規約で定められており、一般的には総戸数が多いほど一戸あたりの管理費は安くなる傾向にあります。ただし、エレベーターが複数設置されている高層マンションや、ライブラリーやジムなどの共有施設が充実したマンションは管理費が高くなりがちです。
マンション管理費の計算方法
マンション管理費は、同じ建物であっても所有者ごとに異なります。ここで、管理費の計算方法を見ていきましょう。
マンション管理費は以下の順番で計算します。
①1ヵ月にかかるマンション全体の経費をまとめる
②各住戸における専有面積から共有部分の持分割合を調べる
③「1ヵ月で必要なマンション全体の経費(①)」×「各住戸の持分割合(②)」=負担するマンション管理費
このため、同じマンションでも住戸によって管理費は異なります。
管理員に対する人件費等は、マンションの戸数によって変化しません。そのため、総戸数が多いほど一戸あたりが負担する管理費は安くなる傾向にあります。
【マンション修繕積立金】相場・目安
先述した「マンション統合調査」では、2018年の修繕管理費の相場は月額1万4000円程度となっています。
修繕積立金の相場は年々上昇しており、1999年の同調査では平均7378円でした。20年間で約2倍に膨れ上がっている計算です。
修繕積立金がこのように値上がりした理由は主に3つ考えられます。
①段階増額積立方式のため
修繕積立金の納付方法は、設定期間中の金額が一定である「均等積立方式」と、年数とともに金額が上がる「段階増額積立方式」の2種類があります。多くのマンションでは段階増額積立方式が採用されており、築年数が経過するほどに積立金は値上がりします。
②人件費が上昇したため
高齢化による労働人口の減少、施工職人の不足も修繕費値上げの要因に。人手不足から人件費が上昇したため、価格が修繕費に転嫁されたと考えられます。
③大規模修繕を実施したため
予定外の大規模修繕実施も、修繕積立金の値上げに影響します。とくにバリアフリー対応の工事を実施する場合などは積立金では足りず、値上げせざるを得ないケースもあります。
修繕積立金も管理費と同様、総戸数が増えるにつれて負担金は減るのが一般的です。ただし、総戸数が増えても、20階以上のいわゆるタワーマンションの場合は修繕積立金の相場は高くなります。高層マンションは外壁等の修繕時に特殊な足場を用意する必要があるほか、共用部分も多くなるため、修繕費用がかさむからです。
では、修繕積立金は具体的にどのようにして算出するのでしょうか。
マンション修繕積立金の計算方法
国土交通省の「マンション修繕積立金に関するガイドライン」にもとづくと、マンション修繕積立金は以下のように計算されます。
計画期間全体における修繕積立金の平均額(円/㎡・月)
Z=(A+B+C)÷X÷Y
A:計画期間当初における修繕積立金の残高(円)
B:計画期間全体で集める修繕積立金の総額(円)
C:計画期間全体における専用使用料等からの繰入額の総額(円)
X:マンションの総専有床面積(㎡)
Y:長期修繕計画の計画期間(ヶ月)
Z:計画期間全体における修繕積立金の平均額(円/㎡・月)
修繕積立金額の目安もガイドラインに定められています。修繕積立金が不足すると、将来の適正な修繕のためには値上げは避けられません。上記の計算結果や相場と比較してあまりにも安く設定されている場合は、将来値上げする可能性があると考えておいた方が良いでしょう。
【マンション固定資産税】相場・目安
マンションにかかる固定資産税の目安は10〜30万円程度です。
おさらいではありますが、固定資産税は建物と土地などの不動産に対してかかります。土地部分の固定資産税評価額はその年によって変動しますが、建物部分の評価額に関しては年数が経つほどに下がっていく傾向にあります。「中古物件は固定資産税が安い」といわれるのはこのためです。
マンションの固定資産税額は購入時価格や築年数、専有面積などの要素によって変動します。
なお、マンションでも一戸建てでも土地と建物に対して固定資産税はかかりますが、一般的にはマンションの方が高くなります。これは鉄筋コンクリート造のマンションの方が、木造が一般的である一戸建てよりも建物の耐用年数が長く、減価償却期間も長くなるためです。
マンション固定資産税の計算方法
ここで、マンションの固定資産税額の計算方法を具体的に見ていきましょう。
固定資産税は「固定資産税評価額×標準税率」から算出されます。標準税率は自治体によって異なりますが、多くの自治体が1.4%の設定です。本記事でも、標準税率1.4%にて計算しています。
【専有面積90㎡の新築マンションの場合】
土地の固定資産税評価額3500万円
建物の固定資産税評価額1500万円(新築時)
①築5年以内の固定資産税額
土地:3500万円×1.4%×1/6=8万1667円
建物:1500万円×1.4%×1/2=10万5000円
8万1667円+10万5000円=18万6667円(固定資産税納税額)
土地が200㎡以下のため、土地にかかる固定資産税は1/6に軽減されます。また、新築物件のため初年度から5年目までは建物にかかる固定資産税が1/2になる軽減措置も適用されます。
②築10年時の固定資産税額
土地:3500万円×1.4%×1/6=8万1667円
建物:1500万円×0.7397×1.4%=15万5337円
8万1667円+15万5337=23万7004円(固定資産税納税額)
同じマンションの築10年経過後した場合の計算例です。今回は、東京都の経年減価補正率0.7397をもとに計算しています。
③築20年時の固定資産税
土地:3500万円×1.4%×1/6=8万1667円
建物:1500万円×0.5054×1.4%=10万6134円
8万1667円+10万6134円=18万7801円(固定資産税納税額)
築20年が経過した場合の計算例です。こちらも東京都の経年減価補正率0.5054をもとに計算しています。
一般的に、固定資産税は新築から5年間の軽減措置が適用されなくなった築6年時が最も高く、それ以降は経年減価補正率が上がっていくため徐々に低くなります。
安ければ良いというわけではないので注意が必要
マンションの管理費・修繕積立金・固定資産税は、建物の状況や築年数などによって変動します。
自治体によって決まる固定資産税とは異なり、管理費や修繕積立金の額はマンションごとに定められますが、安ければ良いというわけでもありません。
適切な管理や将来の修繕を実施するために、高すぎず安すぎない「現在の適正金額」を求める必要があります。