マンション修繕工事で使える助成金や制度は? 東京都を例に解説
国土交通省のマンション総合調査によると、「マンションの長期修繕計画に基づく大規模修繕工事費」の平均は3億9421円。多額の出費ということもあり、工事費が足りなくなってしまうこともあります。
今回は、大規模修繕の予算が不足している場合に受けられる助成金や補助金を解説していきます。
大規模修繕の助成金・補助金
大規模修繕は、国や自治体から補助金や助成金を受けられる場合があります。
助成金や補助金は、一定の条件を満たすことで支給されるお金です。助成金は、基本的に応募条件を満たして申請すれば受け取れるのに対し、補助金は予め枠数が決まっているため、申請しても受け取れない可能性があります。
共通する特徴としては、返済義務がないことが多い点が挙げられます。自分のマンションが、条件に当てはまっている場合は積極的に申請を検討したいですね。
マンション修繕工事で使える助成金
使える助成金や制度は、各自治体ごとで異なります。都道府県だけではなく市区町村にも制度が存在している場合があるので、修繕工事の前にチェックしてみてください。
今回は東京都を例にして、2022年7月地点で利用できる2つの助成制度を解説します。
【1】マンション改良工事助成
マンション改良工事助成とは、分譲マンションの共有部分の外壁塗装や屋上防水、バリアフリー化などを計画的に改良・修繕する管理組合を対象とする制度です。住宅金融支援機構の「マンション共有部分リフォーム融資」の利子補給という形で助成金を受け取ることができます。
対象限度額は、リフォーム融資の予約金額、工事費、または工事費から補助金を差し引いた金額のいずれか最も低い額です。
対象になるのは、都内の耐火構造の分譲マンションの管理組合です。助成金の支給には、マンション管理センターの債務保証を受けるなどの条件が課されています。
利子補給の対象である「マンション共有部分リフォーム融資」は、耐震診断や長期修繕計画の作成のみを実施する場合も受けられます。計画書作成で融資を受ける場合も、助成金を受けることが出来るので、自身のマンションが対象になるかを一度確認してみましょう。
また、2022年度から償還方法が「元利均等月賦償還」になりました。これは月々支払う、元金と利息が一定になる返済方法です。返済額が一定のため、計画が立てやすい利点がある一方、「元金均等返済」よりも借入金残高の減り方が遅く、総返済額が多くなる点には注意が必要です。
【2】防音工事助成制度
防音工事助成制度は、東京都が審査した防音工事費用の4分の3を助成する制度です。
こちらの制度の対象になるのは、以下の条件をいずれも満たしたマンションです。
1. 特別区が定めた「防音構造に関する条例」の適用区域(勘定七号線、環状八号線、中原街道、笹目通り沿いなど)に建っている住宅で、条例が施行された日以前からあるもの
2. 道路交通騒音の大きさが、夜間65デシベル以上、または昼間70デシベル以上ある居室を有するもの
また、同じ所有者による建て替え以外の新築物件や、防音工事助成を受けたことのある物件は対象外となります。
前述した「マンション改良工事助成」よりも対象範囲が狭いため、注意が必要です。
助成金以外の支援制度
金銭の支給だけではなく、講習や相談の受付などを通して管理組合をサポートする助成制度もあります。
今回は、公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターが行っている2つの制度を紹介していきます。
【1】マンション管理アドバイザー制度
マンション管理アドバイザー制度は、管理組合の適切な運営やマンション管理を支援するための制度です。派遣された専門家であるマンション管理士が支援を行います。
管理のポイントや委託の方法、長期修繕計画の作成についての講義を受けるAコースと、実際に相談できるBコースに分かれています。
各コースの詳細や料金については、以下のサイトで紹介されています。
【2】マンション建替え・改修アドバイザー制度
マンション建替え・改修アドバイザー制度は、管理組合にアドバイザーを派遣する制度です。
こちらの制度では、マンションの建て替えや改修の検討に必要なアドバイスや、検討書を元にした説明を受けることができます。
相談内容によってコースが分かれていて、法律や税制、公的支援など全般的なアドバイスを受ける場合はAコース、実際に検討書を作成してもらう場合はBコースになります。
各コースの料金は、以下のサイトで紹介されています。
補助金は申請枠に限りがあるので要注意
大規模修繕の支援制度のうち、助成金は条件を満たしていれば受け取れるのに対し、補助金は枠数の関係で申請するまで受け取れるか分からない場合があります。自身のマンションが受けられる制度がどちらなのかは、申請前に確認したいですね。
また、今回紹介した制度以外に、市区町村が独自に実施している支援制度もあります。まずは自治体のホームページなどで情報収集を行ってみてください。