連載:理事会役員超入門

毎月支払う管理費の使い道とは? 相場や値下げ方法も分かる!

2020.03.16
毎月支払う管理費の使い道とは? 相場や値下げ方法も分かる!

マンションの管理組合は「管理費」を住民から納めてもらいますが、「何に使われるお金なの?」「値下げする方法はないの?」と疑問を持つ人もいるかもしれません。

そこで今回は、管理費のそもそもの使い道や値下げ方法、さらに相場などもあわせて解説していきます。

マンションの日常的な維持・管理に使われるのが「管理費」

毎月支払っている管理費は一般的に、何に使われているのでしょうか。

そこから支払われる費用の多くを占めるのが、管理会社への業務委託費です。マンションでは日常的に共用部分の設備点検や清掃を行う必要がありますが、こういった業務は管理会社に委託することがほとんどです。入り口から玄関までの通路やエントランスホールなどの共用部分の日々の清掃は、一般的には住人の誰かが行うのではなく、管理会社から配属された清掃員が実施しています。

管理会社への支払いが大半を占めるため、管理費=業務委託費と捉える人もいるかもしれません。ですが、そのほかにも共用部分の水道光熱費や損害保険などの費用も管理費に含まれています。

ちなみに管理費と共益費は同じような意味合いで使われることが多く、どちらか一方が徴収される、もしくは「管理費・共益費」と並列して表記されていることがほとんどです。さらに分譲マンションでは、管理費に加えて建物などのある程度大きな規模の修理や修復のために積み立てておく「修繕積立金」も毎月支払う必要があります。なお補足ですが、マンションの購入では建物に消費税はかかりますが、毎月支払っていく管理費や修繕積立金にはかかりません。

管理費の範囲は「標準管理規約」に記載

国土交通省がマンションの維持・管理に関して基本的なルールを示した「マンション標準管理規約」では、以下のような経費を管理費として挙げています。

・管理人件費
・公租公課
・共用設備の保守維持費及び運転費
・備品費、通信費その他の事務費
・共用部分等に係る火災保険料その他の損害保険料
・経常的な補修費
・清掃費、消毒費及びごみ処理費
・委託業務費
・専門的知識を有する者の活用に要する費用
・地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用
・管理組合の運営に要する費用
・その他敷地及び共用部分等の通常の管理に要する費用

また、不動産公正取引協議会連合会による「不動産の公正競争規約」(不動産業界が自主的に定めた不動産広告のルール)において、管理費や下記のように説明されています。

マンションの事務を処理し、設備その他共用部分の維持及び管理をするために必要とされる費用をいい、共用部分の公租公課等を含み、修繕積立金を含まない。

管理費の相場は1〜2万円程度!

記事画像

続いて、管理費の相場も見てみましょう。

国土交通省が行った調査によれば、1戸当たりの管理費の平均は1万5956円/月(2018年)となっています。なお同調査によると戸数の規模別に管理費の平均は異なり、20戸以下の場合の平均が1万9237円/月と最も高いです。つまり規模が小さいマンションほど、比較的管理費の平均が高い傾向にあるといえるでしょう。

さらに築年数によっては、1969年以前に建てられた建物は平均1万341円/月なのに対し、2015年以降では1万9897円/月となっています。一般的に修繕積立金の金額は古いマンションほど修繕する箇所が多くなるために、築浅の物件と比べると上昇する傾向にあります。しかし管理費の場合は、新しいマンションほど管理が必要な付帯設備が増えるために上昇していることが、要因として考えられるでしょう。

修繕積立金については国土交通省が適正価格の目安を定めていますが、管理費は管理会社の権限で比較的自由に金額を設定できるため、明確な適正価格は存在しません。ここまで紹介した数字もあくまでも平均値ですし、当然ですが管理会社のサービス内容などによって各マンションの管理費は異なります。

なお管理費は、国土交通省が定める「マンション標準管理規約(マンションの維持・管理に関して基本的なルールを示したもの)」内で「管理費などの金額については各所有者の共有持分(全住戸の専有面積に対して自分が所有する専有面積の割合)に応じて算出するもの」と記載されている通り、基本的に部屋の床面積の割合に応じて金額が上下します。

管理費が下がる可能性もある

前述した通り、管理費の大半は管理業務を代行してくれる管理会社への支払いとなります。そのため管理費を抑えたいのであれば、まずは業務委託費が下げられないかどうかから、考えていきたいところ。業務委託費を下げるには、主に以下で紹介する2つの方法が考えられます。

【方法1】管理代行から自主管理へと移行する

とくに新築マンションの場合は、日常的な清掃や設備の点検は購入時にすでに定められている管理会社が行うことが当たり前となっており、管理組合もそういった現状を当然のように受け入れていることでしょう。そのため、管理会社が本当に必要かどうかというそもそもの疑問が、頭に浮かびにくい現状があります。

しかし業務委託費を抑えたいのであれば、管理会社に日々の業務を代行してもらうのではなく自主管理に移行するのも方法の1つです。自主管理とは文字通り、管理会社に委託せず、管理組合が主体となって日常的な設備点検、また必要に応じて清掃を専門に行う業者などに直接依頼する方法です。

管理会社に支払うお金が減る分、管理費を低く抑えることができます。また管理組合のなかには、管理会社にペットを飼うことを禁止されたことをきっかけに、自主管理に移行し、小動物を飼う人も飼わない人も納得するルールを独自に作ったうえでペットと暮らせるマンションにしたという例などもあります。このように自主管理に移行することで、管理会社のルールに縛られることなく、住民が納得するルールを自ら作り上げていくことも不可能ではありません。

【方法2】管理会社の変更や契約の見直しを行う

一方で自主管理は、理事会役員への負担が過度に重くなることも考えなければなりません。そこで管理会社に業務を委託することは前提として、現在の管理会社を他社に変更する、もしくは一部の管理業務のみを委託するなどの方法もあるでしょう。新築時から委託する管理会社が決まっており、そもそも他の管理会社と比較したことがない場合がほとんどだと思いますが、管理会社の変更によって業務委託費を軽減できる可能性もあります。

なお管理会社の変更や、業務の一部のみを委託するなどの契約の見直しについては、管理組合単独での実施が難しい場合、外部のコンサルタントに依頼をするのも1つの方法です。

管理費が抑えにくい物件もある

管理方法や契約の見直しを行ったとしても、管理費があまり抑えられない可能性があります。

エレベーターが必要な高層マンションなどでは必然的に維持費がかかってくるため、管理費を抑えるには限界があるでしょう。

また、戸数の少ないマンションでは、戸数の多いマンションと同程度の管理であっても、1人あたりの負担する管理費が高くなってしまいます。

マンション所有者は管理費の支払いが義務づけられている

ここまで使い道や費用を下げる方法について例を紹介してきましたが、なかには管理費の滞納に頭を悩ませる理事会の方もいるのではないでしょうか。

事実、国土交通省の調査によると、外部役員に依頼した業務として53.6%が「管理費などの滞納対策」と答えている現状があります。この割合は「理事会や総会の開催・運営」「長期修繕計画の作成・見直し」に次いで多い数値です。

そもそも管理費については、前述したマンション標準管理規約のなかで、区分所有者はマンションの管理・維持に用いる経費として必ず納めなければならないことが義務づけられています。つまり支払いの拒否は、できません。もし日頃支払っている管理費に不満があるのなら、きちんと収めたうえで、管理会社や理事長などに相談しましょう。

管理費があることで日常の暮らしが良くなる

マンションでは、当然ですがエントランスやエレベーターなどの共用部分を使って、自分が所有する専有部に帰っていきます。つまり多くの人が、専有部だけではなく共用部分も日常の暮らしに密接に関わっているはずです。管理費は、そんな共用部分を快適に保つための費用であること理解し、定期的に使い道が適切であるかどうか確認していきましょう。

イラスト:大野文彰

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