大規模修繕を成功させる秘訣は住民アンケート! 作成ポイントを解説
マンションの大規模修繕では工事に先立ち、居住者の視点から建物の劣化や不具合を調べる住民アンケートを行います。今回はアンケートを行う目的や、住民に何を聞くべきなのかを解説します。
大規模修繕前に住民アンケートを行うメリット
住民にしかわからない劣化・不具合を把握できる
大規模修繕では、どこを優先して施工をするべきか調べるために、専門事業者による建物診断も行われます。
しかし、いくらプロが行う調査だからといって、一時的な診断だけではすべての劣化・不具合を把握することは困難です。
そこで、建物診断と合わせて住民アンケートを行うことで、普段生活している人しかわからない改善点を見つけ出し、施工するうえで有益な情報とすることができるのです。
大規模修繕への理解が得られやすい
長く安全に暮らすために欠かせない大規模修繕ですが、管理組合の活動にあまり関わらない住民の中には、工事に対して無関心な方も少なくありません。
しかし、施工はマンションの日々の生活の中で行われるもの。臭いや騒音が発生したり、立ち入り禁止区域を設けたりすることに対して、住民の理解と協力が必要です。
そこで、アンケート調査を実施することによって、大規模修繕を事前に周知するとともに、工事を行う重要性を知ってもらう機会ができるのです。
より満足できる大規模修繕になる
住民の負担する費用が決して少なくない大規模修繕。気になっていた建物の劣化・不具合が工事によって解決されなければ、不満を感じてしまう住民がいるかもしれません。
そこで、アンケートの調査内容を大規模修繕に反映することによって、住民から満足してもらえる結果が見込めるのです。
また、アンケートでは管理組合の集会では言いにくい個人的な要望も得られることがあります。そのため、顕在化していない建物の問題を見つけ出す効果も期待できます。
住民アンケート作成のポイント!
各住戸の不具合を聞く
前述したとおり、アンケートは住民にしかわからない不具合がある箇所を調べるものです。
そのため、まずは各住戸に関して、具体的にどこを改善すべきなのか明らかにできる質問項目としましょう。
最低限、次の箇所について質問で触れるべきでしょう。
・玄関ドア
・窓サッシ
・バルコニー
・電気、給排水設備
供用部の改善箇所も調べる
次に、住民が共同で利用する供用部についても、アンケートで改善すべき場所を聞きましょう。
主な供用部には、次の場所が挙げられます。
・廊下、階段
・エレベーター
・駐車場、駐輪場
・外灯
・ごみ集積所
シンプルな選択方式にする
住民アンケートでは改善すべき箇所のほか、どんな不具合が生じているかも具体的に聞くことが重要です。
回答は基本的に「はい」と「いいえ」の2択で行えるものがいいでしょう。なぜなら、最低限の手間でアンケートに答えることができ、高い回答率が見込めるからです。
加えて、マンションや建築に関する難しい用語をできるだけ使わないことも大切です。
質問例:
●ベランダの排水に不具合がありますか? はい・いいえ
・「はい」とお答えの方について、不具合が発生したのはいつですか? 現在・過去「具体的な時期: 」
必要に応じて自由記入欄も設ける
選択制の回答では調査が難しい項目については、自由記述欄を設けましょう。
記述欄には回答例も記載し、住民が答えやすくすることが望ましいです。
質問例:
●これまでの質問項目以外で改善したほうがいい箇所や、ご要望がありましたらお聞かせください。
・記入例:北側の窓の網戸が閉まりにくくなっているので直してほしい
建物診断とセットで役立てよう
住民アンケートはプロの建物診断でもわからない不具合・劣化状況が把握できるため、活用すれば多くの住民が満足できる大規模修繕とすることができるでしょう。
有益な情報が多く得られるように、質問は住戸・供用部のどこを改善してほしいか具体的に聞けるものとし、2択で簡単に回答できることが望ましいです。
アンケートで工事の重要性を理解してもらい、多くの住民から協力が得られる大規模修繕にしたいですね。