大規模修繕で設置する仮設足場とは? 種類や費用の求め方を紹介!
大規模修繕の作業効率を上げ、作業員の安全性を確保する仮設足場。その反面、設置には工数がかかり、大規模修繕全体の費用の2割程度を占めるとも言われています。
この記事ではそんな足場の設置にかかる工数や、費用の計算方法、また予算を抑える方法などを紹介していきます。
大規模修繕で必要な仮設足場って一体なに? なぜ必要?
塗装や外壁の修繕など、マンションの外観に関わる大規模修繕を行うとき、必要となるのが仮設足場です。仮説足場を組むことで、高所に手が届くのはもちろん、何人もの作業員が同時に工事に取りかかることができます。
さらに、仮設足場があることで建物の上下を何度も移動することが可能。作業員の安全確保による事故防止や、仮設足場に飛散防止ネットを張ることで塗料の飛び散りを防ぐ目的などもあります。
とはいえ、足場の設置を含む仮設工事の費用は大規模修繕の全総工費の約2割にも及ぶと言われており、比較的高額であることが知られています。
仮設足場設置までの期間は?
30~50戸前後の小規模なマンションでは10日~2週間、100戸を超える大規模なマンションでは2~3週間ほどの設置期間が必要です。さらに仮設足場の解体には、組み立てにかかった期間の3分の1ほどの工期がかかります。
騒音のクレームや日当たりに影響が出る?
修繕工事で必要な足場ですが、設置・解体するときに出る騒音で近隣住民からクレームが来ることもあるようです。工事中に発生するクレームで最も多い原因の一つである騒音ですが、多くが仮設足場を設置するときに出る音だとも言われています。
また、足場で建物を覆うことにより、日当たりや風通しが悪くなったり不審者がマンションに侵入しやすくなったりするため、住民には事前にこうした影響を伝えておいたほうが良いでしょう。
仮設足場の種類は?
マンションの大規模修繕で活用される、主な仮設足場も3つ紹介します。
【1】枠組み足場
最も利用機会が多いと言われる仮設足場です。鉄骨が枠(わく)の形になっているため強度があり、組み立てる工数もあまりかかりません。
ただ、コストが高く、4トントラックで部材を運んできて仮置きしなければならないため、広い敷地が必要となります。
【2】単管足場
鋼管に金具をかみ合わせ、ボルトで締めて組み立てる仮設足場です。設置範囲を柔軟に変えることができるため、狭い場所でも組み立てることができます。
ただ、組み立てに比較的時間がかかり、ほかの仮設足場に比べると安全面にやや不安があるといったデメリットがあります。
【3】ビケ足場(クサビ緊結式足場)
踏み板の先端に凹凸のクサビ金具がついており、組み立てたパイプに引っ掛けて固定するタイプの足場です。
さまざまなサイズの支柱や直線形の部材を組み合わせることができるために組み立ての自由度が高く、複雑な形をしたマンションでの作業に向いています。コンパクトな2トントラックで部材を運ぶことができるため、狭い敷地での作業向きです。
組み立てや解体が簡単で、費用も比較的安く抑えられるのですが、ハンマーで叩いて組み立てるために大きな音が出てしまうという難点はあります。
仮設足場の費用はどうやって計算する?
仮設足場の費用は「足場架面積 × 平米単価 = 足場費用」の計算式で求めることができます。
「足場架面積」とは仮設足場をかける面積のことで「(マンションの外周 + 8m) × 高さ = 足場架面積」で計算できます。例えば、6階建てのマンションの外周が92m、高さが20mの場合は、以下の通りです。
(92m + 8m) × 20 = 2,000㎡
「平米単価」とは1㎡あたりの仮設足場の単価のことで、正確な金額は業者に見積もりを依頼して確認する必要がありますが、だいたい相場は600~1,000円程度です。例えば、平米単価が1,000円の場合、仮設足場の費用は次のようになります。
2,000㎡(足場架面) × 1,000円(平米単価) = 200万円(仮設足場の費用)
業者から見積もりを受け取ったときの金額と、一度比較してみましょう。
足場の設置費用を抑える方法とは?
高額になりがちな足場の設置費用を抑える方法としては、主に以降の4つがあげられます。
【方法1】無足場工法を利用する
無足場工法を利用できる場合、費用を抑えられる可能性があります。
そもそも無足場工法とは、足場を組み立てるのではなくロープやゴンドラを使用する方法です。ロープを使う場合、レスキュー隊のように作業員がロープを通したフルハーネス(墜落制止用器具)を装着し、マンションの屋上から外壁を伝って下降して作業を実施します。
一方でマンションの屋上から吊り下げたゴンドラに作業員が乗り、修繕箇所まで上下左右に移動しながら作業する方法もあります。ロープを使った方法よりも安定しているために作業員の安全性が確保されており、広範囲の修繕が可能です。タワーマンションなど、高層の建物で作業を行う際に用いられることも多いようです。
【方法2】複数の業者から見積もりを依頼する
足場の設置に限らず、修繕工事を行う場合は複数の業者に見積もりを依頼すると、費用を抑えられる可能性があります。
競争原理が働くのはもちろん、各見積もりを比較することで適正価格も把握できるためです。ただし、仮設足場の費用が安くとも、外壁塗装などメインの工事費用が高ければ意味はありませんので、あくまでもトータルでいくらかかるのかを見ておきましょう。
【方法3】修繕をまとめて行う
修繕を複数回に分けるのではなく、まとめて行うことで、足場の設置も一回で済むために費用を抑えられる可能性があります。
【方法4】管理会社への丸投げを避ける
【方法1】とも似た話ですが、管理会社に業者の選定などをお任せすると中間マージンの発生や競争原理が働かないために、足場の設置を含む修繕費用は高額になる可能性があります。
そのため、修繕を行ってくれる施工会社の選定から管理組合主導で行ったほうが、費用を抑えられるかもしれません。
管理組合主導の業者選定で費用を抑える
従業員の安全性を確保したり、高所の作業を効率良く行うために必要な足場。ただ、大規模修繕費用の2割を占めるほどお金がかかる工程でもあるため、予算を抑えるためにも管理組合側で業者の選定から複数社への見積もりを依頼できると良いでしょう。
大規模修繕工事費用を自動見積もりする!
気になる大規模修繕の工事費用。「マンションと暮らす。」を運用するカシワバラ・コーポレーションでは、マンションの概要を入力いただければ、大規模修繕費用を自動でお見積もり。大規模修繕を控えたマンション理事会、大規模修繕委員会の方におすすめのサービスです。