民泊の問題点を教えて! 新たに制定された民泊新法の弱点とは?
2018年6月から民泊新法が制定され、民泊営業のハードルは下がったかのように思います。しかし民泊の届出や営業については、まだまだ問題点があるよう。そんなわけでこの記事では、民泊の問題点をいくつか採り上げてみました。
民泊に関する4つの問題点
さっそくですが、以降で問題点を4つにまとめてみました。
【問題点1】手続きのハードルがまだまだ高い
民泊新法制定後も手続き上のハードルもまだまだ高く、特に難しいとされるのは消防法令に適合しているかどうかのチェックです。
ホテルや旅館と同じような基準で、自動火災報知器や避難誘導灯などの導入が必須。大型のマンションなどで民泊を行いたい場合、同フロアのほかの部屋にまで配線工事が必要となってしまうケースもあるようです。自治体によって条例が異なるため、準備する書類が変わってくる点も、手続きのハードルを高くしている原因の1つと言われています。
さらに観光庁では民泊営業を始めるにあたって、保健所や役所への事前相談も勧めており、どうしてもオンラインだけで手続きを完結させることは難しいよう。観光庁が実施した「規制改革推進会議」によれば、オンラインではなく窓口へ足を運ぶ人は8割近くにのぼったといいます。
【問題点2】日数制限があるため採算が取れない
民泊を運営するためには、家賃や施設の改修、管理といったさまざまな点でコストがかかるでしょう。各自治体ごとに存在する厳しい設備条件をクリアするための費用なども踏まえると、年間180日の営業しか認められていない現状の制度では、収益性が疑問視されています。
ほかにも利用者滞在時のための多言語ガイド作成や、宿泊者名簿の作成といった手間や労力も加味すると、まだまだ民泊運営のハードルは高いといえそうです。
【問題点3】利用者と近隣住民のトラブル
これは民泊全般で言えることですが、外国人と日本人では文化や生活習慣が大きく違うため、特にゴミ出しや騒音といった部分で近隣住民とのトラブルに繋がることもあります。
ゴミ捨てのルールを宿泊者に守ってもらうためにも、民泊を運営する側は自治体が定めるゴミの分別や収集ルールをきちんと理解しておかなくてはいけません。また騒音に関しては、一度に宿泊できる人数の制限を設けるなどして、複数人が同じ場所に集中しないようなルールも検討していきましょう。
なおこれは近隣住民とのトラブルではありませんが、炊飯器など海外の方にとってあまり馴染みのない家電製品は使い方が分からず、破損させてしまう可能性もあります。民泊運営にあたっては設備の使い方や注意点を確認できるよう、宿泊者が使用する言語に合わせて説明文なども記載しておくと良さそうですね。
そのほか外国人にまつわるトラブルで言うと、部屋の備品として設置していたティッシュや使わなかった紙コップを勝手に持ち帰ってしまうケースも考えられます。ホテルのアメニティと異なり、持ち帰りはNGである旨を記載した注意文などを記載しておき、必要以上の備品は設置しないような配慮を行いましょう。
【問題点4】借りている住戸を無断で民泊として利用する
これは問題点というよりも個人が気をつけておくべきことかもしれませんが、賃貸として借りている住戸を大家さんなどの確認なしに民泊として提供することはできません。これは、民法で禁止されています。
また分譲マンションのように購入した住戸であっても、管理規約で禁止されているのであれば、民泊を行うことはできません。
なお、お住まいのマンションで民泊を禁止したいのであれば、管理規約上で明確化することが望ましいといえます。ただ民泊の禁止を定めるために管理規約を変更するとなると、総会で「区分所有者数の4分の3以上」かつ「議決権の4分の3以上」の賛成が必要。総会で決議を行う手間はかかるものの、もし民泊の禁止を明確化したい場合は、一度検討してみましょう。
問題点はあるものの手続きのハードルが下がったのは事実
今回紹介したように民泊新法にはまだまだ問題点があるものの、従来の旅館業法と比べると基本的には届出だけで済むため、民泊運営のハードルが下がったのは事実です。
「届出が複雑でわからない!」という方は、改めて観光庁が提供する「民泊制度コールセンター」や各自治体の相談窓口を利用して、詳細な情報を聞いてみましょう。