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違法民泊にはどんな罰則がある? 合法運営に必要な手続きも解説!

2020.07.01
違法民泊にはどんな罰則がある? 合法運営に必要な手続きも解説!

空き家の活用方法として注目される、民泊ビジネス。2018年6月には「民泊新法(住宅宿泊事業法)」が施行され、規制が緩和されるとともに、違法民泊に対する罰則が強化されたことはご存知でしょうか。

今回はそんな違法民泊の罰則内容や、合法的に民泊を運営するための手続き方法などについて紹介していきたいと思います。

民泊は本来3つのケースで許可を得る必要がある

民泊を運営するためには、次の3つのうちいずれかの手続きが必要となります。

・「旅館業法」にもとづく許可
・「特区民泊(国家戦略特区法)」にもとづく認定
・「民泊新法(住宅宿泊事業法)」にもとづく届出

しかしこれらの手続きを踏まず、無許可で運営している民泊は「違法民泊」として扱われてしまいます。

民泊新法の登場で民泊営業のハードルは下がったが……

Airbnb

違法民泊が規制され始めた背景には、外国人観光客の増加とAirbnb(エアビーアンドビー)の世界的ブームが関係しています。

日本政府が観光先進国を目指し、外国人観光客は右肩上がりで増加。既存のホテルや旅館だけでは観光客の受け入れに対応ができず、問題となっていました。

そんな中、新しいビジネスモデルとして注目を集めた「Airbnb」。民泊を貸し出す人と宿泊者をマッチングする、仲介サイトです。Airbnbの登場によって簡単に空き部屋を貸し出せるようになり、民泊ビジネスは一気に拡大しました。

しかしここで一つの問題が。民泊を合法的に運営するには「旅館業法」「特区民泊」にもとづく許可を得るしか選択肢がなく、一般の建物では設備基準や手続きをクリアするハードルが高かったのです。

そのため無許可で運営する「違法民泊」が横行。貸主・借主間や近隣住民とのトラブル、安全衛生面なども問題視されました。

そこで、2018年6月に新たなルールとして施行されたのが「民泊新法」です。一般の建物においても、民泊を運営しやすい環境がつくられました。

しかし民泊営業に必要な手続きのハードルは下がったものの、違法民泊に対する罰則はこれまで以上に厳しくなりました。どういった罰則があるのか、以降で詳しく確認していきましょう。

罰金最大100万円! 違法民泊の罰則内容とは?

では、違法民泊を運営していると、どのような罰則が科されるのでしょうか。

以前の旅館業法による罰金は、3万円が上限でした。しかし民泊新法の改正により、罰金は最大100万円と大幅に引き上げられています。

違法民泊の罰則の内容を、刑罰の重さごとにそれぞれ確認していきましょう。

届出に虚偽があると6ヵ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金

最も重い罰則が科されるのは、「民泊新法にもとづく届出に虚偽があった場合」です。さらに都道府県知事による業務停止・事業廃止の命令を無視した場合においても、6ヵ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に科せられる可能性があります。

住宅宿泊管理業者へ委託しなければ50万円以下の罰金

民泊新法にもとづく民泊の運営では、国土交通大臣の登録を受けた「住宅宿泊管理業者」に管理業務を委託する義務があるのはご存じでしょうか。

しかし住宅宿泊管理業者への委託を行っていない場合は、50万円以下の罰金に課せられる可能性があります。

なお民泊ホスト自身が住宅宿泊管理業者に該当する場合や、貸し出す住戸内に家主も住んでいる場合などは管理業務の委託は必要ありません。

住所の変更届出を行なわないと30万円以下の罰金に

30万円以下の罰金が科されるケースとしては、次の通りです。

・住所や名称などの変更届出をしていない
・自治体への2ヵ月毎の定期報告を怠った、虚偽の報告をした
・自治体からの業務改善命令や報告徴収に応じない
・自治体からの立入検査の拒否や妨害

そのほか個人の死亡や破産などで民泊を廃止したにもかかわらず、自治体に事業廃止の届出を出さなかった場合などは、20万円以下の過料が科される可能性があります。

違法民泊にならないための手続きは3種類!

違法民泊にならないためには、民泊を始める際、必ず定められた手続きを踏まなければなりません。

冒頭でも紹介した通り、民泊の手続きは難易度が高い順に「旅館業法」「特区民泊」「民泊新法」の3つから選べます。それぞれの基準や手続き内容を確認し、自分の民泊運営に合った方法を検討しましょう。

【1】180日以上の民泊運営は「旅館業法」にもとづく許可を得る

民泊新法には「年間営業日数が180日以下」というルールがあり、180日を超えて営業する場合は最も手続きのハードルが高いといわれる旅館業法にもとづく許可を得る必要があります。

許可を得るには、民宿として使う施設の構造設備が基準を満たさなければなりません。詳しくは各自治体の条例で定められていますが、参考までに代表的な基準を紹介しておきます。

・客室の延床面積が33㎡以上(宿泊数10人未満なら「3.3㎡×宿泊者数」以上)
・階層式寝台(いわゆる二段ベッド)は、上段と下段の間がおおむね1m以上
・自治体の定める換気・採光・照明・防湿・排水などの衛生基準
・適当な数や規模の入浴設備・洗面設備・トイレ

このほか、建築基準法や消防法への適合状況、マンションの管理規約の確認なども必要となるでしょう。基準に適合しているかを確認するため、保健所職員などによる立入検査も行われます。

申請の窓口は、都道府県・市・特別区の保健所。申請前に事前相談が必要な自治体も多いため、まずは各自治体の担当窓口に相談してみてはいかがでしょうか。

表

【2】エリアは限定されるが「特区民泊」も日数制限はない

「特区民泊(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)」は、一部の自治体のみで認められている営業方法です。

認められているエリアとしては、主に以下の通り(2020年5月14日時点)
・東京都(大田区)
・千葉県(千葉市)
・新潟県(新潟市)
・大阪府(大阪市・八尾市・寝屋川市)
・福岡県(北九州市)

当初、特区民泊での宿泊日数は最低6泊7日以上と限られていましたが、今では「2泊3日以上」と条件を緩和。民泊新法と異なり、年間営業日数の制限もありません。

外国人客の滞在を想定してつくられた特例のため「外国人しか宿泊できない」と誤解されがちですが、特区民泊にもとづく民泊は日本人でも外国人でも宿泊できます。

表

【3】「民泊新法」にもとづく届出が最もハードルが低い

年間営業日数が180日以内という制限はあるものの、民泊新法にもとづく許可は最もハードルが低く、基本的に都道府県知事へ「住宅宿泊事業届出書」の届出を行うだけで営業可能です。

なお、民泊新法は自宅や空き家などの民泊を前提としており、新築投資用マンションや事業用の物件などを通じた民泊は対象外。さらに前の文で紹介した通り、宿泊中に家主のいない「家主不在型」の民泊は、住宅宿泊管理業者へ管理業務を委託する義務があります。

表

民泊を始めるためには最初に許可・届出を実施しよう!

民泊新法が施行されてから、罰金の額が最大100万円と大幅に引き上げられるなど、違法民泊への取り締まりは厳しくなっています。自宅や空き家などで民泊を始めるときは、違法民泊として罰則を科せられないよう「旅館業法」「特区民泊」「民泊新法」のいずれかにもとづく営業許可を得るようにしましょう。

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