連載:これで解決!マンション暮らしのトラブル

「駐車場・駐輪場」でのトラブルを解決したい!

2024.09.11
「駐車場・駐輪場」でのトラブルを解決したい!

マンションでよくある困った問題をテーマに、その解決方法を紹介していくこの連載。今回は「駐車場・駐輪場」でのトラブルに目を向けたいと思います。

マンションのなかでも、共有部分である駐車場や駐輪場は利用者が多いためトラブルが起きやすいといわれています。「駐車場・駐輪場」でのトラブルに悩まされた経験がある人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、駐車場や駐輪場で起こるトラブルの例と、その対処法について紹介します。

駐車場・駐輪場で起こるトラブルの例

駐車場や駐輪場では様々なトラブルが発生し得る

駐車場や駐輪場で起こるトラブルには、おもに以下のような例があげられます。

【駐車場】無断駐車・迷惑駐車

マンションの駐車場は、契約者が別途使用料を支払って利用するのが一般的です。しかし、住人が来客を「短時間だから」と無断で駐車させたり、契約していない住民が一時的に駐車していたり、なかには全く関係のない外部の人が駐車したりするケースもあります。このような状況で、契約者が駐車できずにトラブルに発展することがあります。
マンションの敷地内は私有地であるため、無断駐車や迷惑駐車に対して警察は基本的に介入しません。そのため、基本的には管理会社に連絡をして対処するかたちになります。

【駐車場】車にキズがついた

狭い駐車場は物損事故が起こりやすい

マンションの駐車場は駐車スペースが狭い場合が多く、ドアの開閉や車の移動時に車が傷つくなど、物損事故がよく発生します。また、遊んでいる子どもや、通行人と車両が接触するなどの人身事故も少なくありません。

【駐輪場】不正駐輪

マンションの駐輪場は居住者や契約者のためのスペースですが、駅や施設の近くにあるマンションでは無断で駐輪されるトラブルがよくあります。新型コロナウイルスの感染拡大以降、感染リスクの低い移動手段として自転車が注目され、自転車ユーザーが増えている昨今。居住者だけでも駐輪スペースが不足しているマンションが多く、外部の人による無断駐輪は大きな問題です。

【駐輪場】盗難

住宅で自転車の盗難被害に遭う場合も考えられる

自転車の盗難もよくあるトラブルの一つです。警視庁発表の東京の犯罪(令和5年版)によると、自転車の盗難は住宅からが最も多いといわれており、特に電動アシスト付き自転車や有名ブランドのロードバイクなど、高級自転車が狙われやすいです。自転車本体だけでなく、部品だけが盗まれるケースもあります。

駐車場・駐輪場で起きたトラブルへの対処法

駐車場や駐輪場でトラブルが起きた際にはどのように対処したら良いでしょうか。

【対処法1】管理会社に相談する

マンションの敷地内は私有地のため、基本的に警察は介入できません。加えて、「自力救済の禁止の原則」により、権利侵害に対して自力での対処は禁止されています。法的な手続きを踏まないと、権利の回復は認められません。

したがって、マンション内でのトラブルでは個人での直接的な対処は避け、まずは管理会社に相談しましょう。

自分が契約をしている駐車場に他人が駐車している場合、万一、相手がわかっていても直接苦情を伝えるのは避けたほうがよいです。隣人トラブルの原因になる可能性があるので、個人間の問題にせず、管理会社を通しましょう。

管理会社の対処の例として、居住者以外の無断駐車に対しては、無断駐車禁止を喚起する看板の設置や車に警告票を挟み込むなどの対応が考えられます。駐輪場のトラブルについても同様の対応が取られるでしょう。また、共用部分の利用ルールの設定や変更、駐輪スペースを拡大するなどが検討される可能性もあります。

【対処法2】警察に相談する

事故の場合は警察に報告が必要

車のドアを開けた際に隣の車に接触してしまったり、人にぶつかったりなど”事故”が発生した場合は、警察に報告をしましょう。物損事故・人身事故があった場合は報告する義務があります。報告を怠ると、道路交通法第72条第1項に基づき、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられる可能性があります。事故と認められた際には、警察に事故証明書の発行を依頼しましょう。

また、自転車が盗難された場合も、速やかに警察に相談し盗難届を提出しましょう。

【対処法3】防犯対策をしっかりと行う

自転車の盗難や車の傷などのトラブルについて、対策を講じておくに越したことはありません。自転車には元から付いている鍵に加えて別途ロックを取り付ける、車のドアの傷を防ぐためのドアガードを設置するなどの対策も有効でしょう。

【対処法4】管理規約でルールを明確化する

【対処法1】で管理会社の対処を紹介しましたが、管理規約を設定しルールを明確化するのも効果的です。具体的には、駐輪場では停める位置の指定や、大型自転車専用のスペースの設置、来客の駐輪や駐車に関するルールを定めることが考えられます。さらに、各住戸で許可される自転車の台数を制限するなど、管理組合が設定したルールを住民に周知することで、統制を取れる可能性があります。問題が続くような場合、設備の改善には費用がかかるため、まずはルールを決め、明確化するのも1つの方法です。

自転車の自宅保管は慎重に

駐輪場でのトラブルへの対処法として、自宅スペースでの保管を考える人もいるかもしれません。しかし、管理規約でエレベーターを使用しての自転車の運搬が禁止されている場合があります。禁止されていないとしても、エレベーターを傷つける、汚す、他の利用者に迷惑をかけるなどトラブルに発展する可能性があります。また、住戸内ではなく、玄関前や共用廊下を利用する場合、そもそも玄関前や共用廊下は共有スペースなので、自転車の保管が認められなかったり、緊急時の避難に支障をきたしたりする場合があるため、確認が必要です。

以上、今回は駐車場・駐輪場に関するトラブルと、その対処法を紹介しました。

無断駐車や事故があった場合は個人で解決しようとせず、管理会社に相談して対処するようにしましょう。場合によってはルールの告知や変更などを検討してもいいかもしれません。

イラスト:カワグチマサミ

あなたのマンションの課題を解決!おすすめサービス!

この記事を誰かに知らせる/自分に送る

この連載について

【連載】これで解決!マンション暮らしのトラブル

複数の世帯が生活を送る分譲マンションでは、共用スペースの使い方やペットの飼育、ゴミ捨て場における利用マナーなど、思いがけないトラブルに遭遇する可能性があります。そこで、本連載『これで解決! マンション暮らしのトラブル』では、マンションでよく起こる困った問題の解決方法をテーマごとにご紹介。トラブル発生の防止や、万が一起こってしまった際の対応マニュアルとしてもご活用ください!

MAGAZINEおすすめ連載

ついにやって来た!大規模修繕
理事会役員超入門
となりの管理組合
マンション管理最前線
これで解決!マンション暮らしのトラブル
APARTMENT LIFE GUIDE BOOK
¥0

無料
ダウンロード

マンション居住者のお悩み解決バイブル!

『マンション暮らしのガイドブック』

最新マンショントレンドや理事会の知識など、
マンションで暮らす人の悩みや疑問を解決するガイドブック。
ここでしか手に入らない情報が盛りだくさん!

※画像はイメージです。実際のガイドブックとは異なる可能性があります。

無料配布中!

このサイトでは、アクセス状況の把握や広告配信などのためにクッキー(Cookie)を使用してしています。このバナーを閉じるか閲覧を継続した場合、クッキーの使用に同意したこととさせていただきます。なお、クッキーの設定や使用の詳細については「プライバシーポリシー」のページをご覧ください。