連載:これで解決!マンション暮らしのトラブル

「ガーデニング・家庭菜園」のトラブルを解決したい!

2023.07.31
「ガーデニング・家庭菜園」のトラブルを解決したい!

マンションでよくある困った問題をテーマに、その解決方法を紹介していくこの連載。今回は「ガーデニング・家庭菜園」のトラブルに目を向けたいと思います。

コロナ禍でおうち時間が増え、ガーデニングや家庭菜園を始めた人も多いのではないでしょうか。食品の値上がりもあり、節約のために野菜を育てている人もいるかもしれません。

ただし、マンションのベランダは「共用部分」とされており、好きなだけ私物を置いていいわけではありません。ルールを守らずにガーデニングや家庭菜園を始めてしまうと、思わぬトラブルに発生する可能性も。

そこで今回は、ベランダでのガーデニングや家庭菜園に関するトラブルとその対処法について紹介します。

そもそもマンションのベランダは「共用部分」

分譲マンションは、自宅部分を指す「専有部分」とエントランスや廊下などを指す「共用部分」に分かれています。

ベランダは区分所有者が自由に使える「専有部分」のように思えますが、区分所有法では「共用部分」、つまりマンション全体の所有物であると定められています。

ガーデニングや家庭菜園の可否については、各マンションの管理規約で定められていることが多いため、あらかじめ確認しておく必要があるでしょう。

ちなみに、国土交通省の定める「マンション標準管理規約」では、ベランダや駐車場、玄関ドアについては「専有使用部分」とされています。これはあくまでも「特定の区分所有者が専有的に利用ができる権利のある部分」であり、個人の所有物とできるわけではありません。

避難の際に利用する可能性があるベランダや、マンションの景観を左右する玄関ドアなどは、原則として区分所有者の自由には扱えないのです。

ガーデニング・家庭菜園で起こるトラブル

では、マンションでガーデニングや家庭菜園をした場合に起こり得るトラブルを見ていきましょう。

【トラブル1】葉がはみ出している、水がかかる

育てた植物の枝葉や撒いた水が、隣や階下のベランダにまで及んでしまうと、近隣トラブルになる可能性があります。お隣からはみ出した枝葉や、お隣が撒いた水が、干していた衣服や布団にかかってしまったら、困りますよね。

ベランダはマンションの共用部分ではありますが、各住民が個人的に使用できるプライベートな空間でもあるため、利用には気遣いが必要です。

【トラブル2】虫が来てしまう

家庭菜園を行っている人のなかには、「せっかくなので無農薬で野菜を育てたい」などと考える人もいるでしょう。しかし、適切な対策をとらないでいると、虫が集まってくることもあります。

対処法として植物や虫の種類によっても異なりますが、適度に剪定を行い、虫の隠れる場所を減らすなどの必要があります。

せっかく育てた植物がダメになってしまうだけでなく、近隣住民からの苦情につながる可能性もあるので、こまめな手入れや虫対策をしましょう。

【トラブル3】避難経路を妨げる

そもそもベランダが「共用部分」として定められている理由として、避難経路の確保があげられます。

隣の家との仕切りや、避難はしごのある部分に「ここに物を置かないでください」といった表示があることも多いでしょう。すぐに移動できないようなプランターなどを置いてしまうと、自分自身の安全だけではなく、ほかの住民の安全も脅かしてしまう恐れがあります。

植物に限らず、避難経路上にはなるべく物を置かないようにしましょう。

トラブルへの対処法

【対処法1】あらかじめ管理規約を確認する

前述のとおり、ベランダは法律上「共用部分」ではありますが、一般的には区分所有者が専有的に使用できる部分とされており、避難経路を阻害しない範囲で物や植物を置く分には禁止されていないケースが多いと考えられます。

ただし、マンションによっては、ガーデニングや家庭菜園に関する細則が設けられている場合もあります。

例えば、公益財団法人マンション管理センター「中高層共同住宅使用細則モデル」では、下記のように記載されています。

第11条 バルコニー等の専用使用権者は、バルコニー及び屋上テラスにおいて、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一 煉瓦、モルタル、コンクリート及び多量の土砂による花壇等(芝生を含む。)の設置又は造成

上記の場合、持ち運び可能な鉢植え程度では規約に触れないと考えられますが、マンションによってはさらに制限が設けられている可能性もあるため、確認しておく必要があります。

【対処法2】近隣に影響の少ない植物を選ぶ

トラブル例としても紹介したように、虫の発生は近隣に迷惑をかけてしまいます。腐葉土のような有機質の土は虫に好まれるため、避けたほうがよいかもしれません。購入時にお店に確認してみるのも手です。

また、虫が苦手な成分や香りを含むペパーミントやラベンダーは、虫除けとして効果があるといわれています。

枯れた花や葉が近隣のベランダに飛散してしまうのを避ける意味では、葉の落ちにくい観葉植物もおすすめです。ガジュマルやサンスベリアは虫がつきにくいほか、初心者でも育てやすいとされています。

【対処法3】こまめに掃除・管理する

植物の状態を維持するのはもちろん、近隣トラブルを避けるためにもこまめな手入れが必要です。

虫除けとしては、スプレータイプの殺虫剤や吊しておくだけの防虫剤が手軽に取り入れやすい対策といえます。

ただし、それだけでは十分とはいえません。葉や水が近隣にはみ出すのを避けるには、鉢の受け皿やベランダの排水口に水がたまらないように注意するとともに、枯れてきた葉や花は適宜摘み取るように心がけましょう。

以上、今回は家庭菜園に関するトラブルと、その対処法を紹介しました。

一般的に、ベランダでのガーデニングや家庭菜園は禁止されてはいませんが、マンションによっては独自のルールが設けられている可能性もあるため注意しましょう。制限がなかったとしても、避難経路の確保と近隣への配慮を忘れずに楽しみたいところです。

イラスト:カワグチマサミ

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この連載について

【連載】これで解決!マンション暮らしのトラブル

複数の世帯が生活を送る分譲マンションでは、共用スペースの使い方やペットの飼育、ゴミ捨て場における利用マナーなど、思いがけないトラブルに遭遇する可能性があります。そこで、本連載『これで解決! マンション暮らしのトラブル』では、マンションでよく起こる困った問題の解決方法をテーマごとにご紹介。トラブル発生の防止や、万が一起こってしまった際の対応マニュアルとしてもご活用ください!

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