オンラインでマンションの総会は開催できる?
昨今、身近になったオンライン会議。場所を選ばず会議に参加することができたりと、便利な仕組みです。
マンションの総会もオンラインで開催できれば、小さい子どもがいる家庭など、今まで総会に参加しづらかった世帯の参加が期待できるかもしれません。
今回はマンションのオンライン総会について、そのやり方を解説します。
オンラインのマンション総会とは?
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、マンションの総会も大きく変わりつつあります。
コロナ禍においては「3密」を避けた「新しい生活様式」への対応が求められており、マンションの総会も例外ではありません。
そんな中、どこにいても参加可能な「新しい総会のスタイル」としてオンライン総会に注目が集まっています。
オンラインでマンション総会を開催するには
区分所有法においては、「管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない」としており、さらに「集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。」ともされています。
しかし、必ずしも、前回の総会開催から1年以内に次の総会を開催し、その事務報告をすることが求められているわけではありません。
また、現在の区分所有法と標準管理規約では、オンライン総会を行う想定がされていません。とはいえ禁止しているわけではないので、現状の規約でオンライン総会は開催可能であると考えられます。総会の場で議決権を行使することも可能です。
オンライン総会の種類
【方法1】全員がオンラインで参加する総会
WEB会議システム等を利用して行う、全員がオンラインで参加する総会です。
オンラインの場合、参加者が好きな場所から参加することができるので、会場を借りる手間や費用が不要になります。開催するためには、参加者全員がWEB会議システムを使用できるデバイス、インターネット環境を持つ必要があります。
【方法2】リアルとオンラインを併用する総会
実際に会場へ来る参加者、オンラインからの参加者、どちらも出席が可能なように、リアルとオンラインを併用して開催する方法です。
ネット環境を持たず、オンラインで参加ができない人や、家庭の事情などで実際に会場に来ることが難しい人も参加できるので、出席率の増加が見込めます。
全員がオンラインで参加する総会のメリット
オンライン総会では、参加者が異なる場所から参加するため、コロナ禍においても感染の心配がなく安全に実施できます。
また、介護や育児などで外出しづらい区分所有者の出席しやすさに繋がります。このことはアフターコロナ時代に突入した後も続く、恒久的なメリットと言えるでしょう。
全員がオンラインで参加する総会のデメリット
一方のデメリットとしては、通信回線が不安定だった場合に映像・音声の遅延やフリーズが発生する可能性があることです。通信に不具合が発生すると審議が中断してしまうので、入念な準備をしておきましょう。
もう1つのデメリットは、高齢者とのITリテラシーに差が生まれやすいことです。高齢者の中には、スマートフォンなどオンライン会議で使用する機器を持っていなかったり、オンライン会議の経験がない人がいるかもしれません。区分所有者に高齢者が多いマンションでは課題になる可能性があります。
オンラインでマンション総会を行う前に決めるべきこと
【確認1】本人確認の方法
オンライン総会は、顔や声を一切出さずに出席することもできます。そのため、第三者によるなりすましが容易にできてしまいます。なりすましを防ぐための対策をしっかりと行っておきましょう。
出席者が少数であれば、氏名および部屋番号を申告してもらうなどの方法で本人確認が可能です。出席者が多数の場合は、WEB会議システム上の専用のパスワードを設け、会議に出席できる人を制限するほか、総会出席通知の提示を求めることで対応できるでしょう。
【確認2】通信回線に不具合が発生したときの対応
総会中に大規模障害等が発生することがあるかもしれません。通信回線に不具合が起きた際の対応を考えておきましょう。
対応方法は、どの位の割合の出席者がオンライン総会へアクセスできないかによって、適切な手段が異なります。
例えば、一部の出席者がアクセスできない場合は、その出席者を欠席にし、再びアクセスできるようになってからは出席扱いとします。すべての出席者がアクセスできない場合には、総会の延期が求められるでしょう。
また、トラブルの際にはオンライン出席者と連絡ができないかもしれません。代わりの連絡手段を事前に決めておくとスムーズでしょう。
オンライン総会の実施の可否はマンションの実情に合わせて決めよう
オンラインでのマンション総会は、現状の規約でも開催することが可能です。
オンライン総会には、すべての参加者がオンラインで参加するパターンと、リアルとオンラインを併用するパターンがあります。どちらもメリット・デメリットがあるので、マンションの実情に合わせて選択しましょう。