マンション総会の議決権行使書とは?メリット・デメリットを紹介
マンションの総会は年に1回の開催が義務付けられており、原則として区分所有者全員の参加が求められます。
しかし、予定があって出席できない方も少なくないはず。そんな時、「議決権行使書」を提出すれば、賛成反対の意志を表明し、決議に参加することができます。
そこで、この記事では議決権行使書のメリット・デメリットとともに、欠席時に代理人を立てる「委任状」との違いについて解説します。
マンション総会の議決権行使書とは?
議決権とは、決議に参加し票を入れられる権利のこと。マンションの総会であれば、管理組合員全員に認められているものです。
総会を欠席すると本来は賛否どちらにも票を入れることはできません。しかし、議決権行使書では議事に対して前もって賛否を選択することができるため、投票の権利(議決権)を行使することができます。
なお、詳しくは後ほどご説明しますが、欠席時に代理人を立てる「委任状」もあります。これは本人に代わって代理人が議決権を行使するもので、議決権行使書と併用することはできません。
仮に、議決権行使書と委任状の両方が提出されてしまった場合には、組合員の意思をより尊重した議決権行使書が優先されます。
議決権行使書を利用するメリット
議決権行使書を利用するメリットは、総会に出席できなくても意見を述べることができる点にあります。
仕事や家庭の都合でどうしても出席できない方でも賛否を表明できますし、総会の運営側としても、欠席が多く総会が成り立たないという懸念を払拭することができますね。
また、委任状のように代理人を立てるわけではなく、あくまで組合員自身の意見を主張できるため、代理人の意見と食い違ってしまう懸念が生じないこともメリットの一つです。
議決権行使書を利用するデメリット
議決権行使書を利用する際には注意すべき点もあります。
例えば、総会において議事に対する説明不足や懸念点が判明した場合、参加者がその場で賛否を変更する可能性があります。しかし、事前に議決権行使書を提出している欠席者は、その場で意見を変更することができません。
さらに、上記のような場合、出席者には反対意見が多く、欠席者が提出した議決権行使書では賛成が上回るなど、出席者と欠席者で意見が割れる可能性もあります。
区分所有法や標準管理規約では、出席者と欠席者の意見が食い違った場合の規定はありませんが、出席者に反対が多いにもかかわらず単純な票数で賛成にしてしまうわけにもいきませんよね。
不十分な説明により出席者が反対しているということは、議決権行使書を提出した欠席者も、その場にいれば反対していた可能性が高いと言えます。
もし、総会の場で新たな説明が必要になったり懸念が生じたりしたら、対象の議事については決議を保留し、次の総会もしくは臨時総会であらためて採決をとるのも一つの手です。
議決権行使書と委任状はどう違う?
前述の通り、欠席時の対応については委任状の提出も考えられますが、議決権行使書との違いをあらためて説明します。
委任状とは、欠席する組合員の代わりに代理人をたて、その代理人に議決権を行使してもらうものです。あくまで代理人に意見を一任するということになりますので、必ずしも意見が一致するとは限りません。
また、「白紙委任状」といって代理人を立てずに白紙で提出すると、多くの場合、議長が代理人として議決権を行使することになっています。
その点、議決権行使書は組合員本人の意志を表明することになるので、代理人と意見が食い違うことがありません。組合員自ら議事に対する賛否の意思を表明し議決権を行使するには、委任状ではなく議決権行使書の提出が必要になります。
議決権行使書を出さなかったらどうなる?
議決権行使書を提出しなくても、ペナルティなどはありません。総会を欠席し議決権行使書も提出しない場合には、無効票となるのが一般的です。
無効票は賛否のどちらにも属しませんが、一般的には全区分所有者の4分の3以上が賛成しなければ議事が承認されません。つまり、無効票が多くなると、反対する人がいなくても賛成数が足りずに否決されます。
また、無効票が増えると、総会に出席した一部の人の意見が通りやすい状況となってしまいます。そうなると、議長や理事会、管理組合の意見が反映されやすくなるということは覚えておきましょう。
賛否の選択肢にチェックせずに議決権行使書を提出した場合には、「賛成票」として扱うよう規定している管理組合もあります。議決権行使書を提出する際は、各議事に対して賛成しても良いかどうか、責任を持って確認する必要があります。
議決権行使書はなるべく記入して提出する
総会を欠席する場合、議決権行使書を提出することで議事に対する賛否を表明することができます。委任状と違い、代理人の意見に委ねるのではなく、組合員本人の意見を伝えることができる点がメリットです。
ただし、総会の場で議事に対する説明不足や懸念点が判明しても意見を変えることができません。出席者と欠席者で意見が割れてしまう懸念もあります。
議決権行使書を提出しないことによるペナルティはありませんが、無効票として扱われてしまうことで、一部の出席者の意見が通りやすい状況となることは注意しましょう。
また、白紙で提出した場合には、全ての議案に賛成したものと見なされるケースが多いため、賛成しても良いかどうかしっかりと判断し、特別な理由がない限りは記入して提出するよう心がけたいですね。