マンションの議事録署名人は誰がなる? 足りないときの対応は?
年に1回は開催することが義務づけられているマンションの総会。決議事項を書面にて記録する「議事録」の作成も必ず行わなければなりません。
議事録の作成にあたっては、議事録署名人によって記載内容を証明する必要があります。
では、議事録署名人とは誰が担うのでしょうか。また、該当する人物がいない場合にはどうすれば良いか解説します。
総会の議事録署名人って? 基本ルールを解説
組合員であれば議事録署名人になれる
マンションの総会では議事録の作成が不可欠と区分所有法により定められています。加えて、議事録には議長と議事録署名人2名の計3名の署名・押印が必要です。
マンションの標準管理規約では「議長および議長の指名する2名の総会に出席した組合員が議事録に署名・押印しなければならない」とあり、総会に出席した組合員であれば議事録署名人になれると明記されています。
一般的には、議案が採用された経緯や結果をよく知っている理事を署名人とするケースが多いようです。
監事は署名人になれない?
監事とはマンションの理事会を監視する役割で、理事とは分けて選任されます。
前述したとおり、総会に出席した区分所有者であれば議事録署名人になれるため、監事がマンション管理組合の組合員かつ総会の出席者であれば、議事録署名人になることは可能です。
なお、総会ではなく理事会の議事録においては、「理事会に参加した理事」が議事録署名人の対象となりますので、理事とは異なる役職の監事が署名人になることはできません。
「記名」は署名として認められない
議長と議事録署名人2名の署名が必要と述べてきましたが、「署名」と「記名」は異なります。
署名とは、自筆で書き記した氏名を指し自署とも呼ばれます。一方で記名とは、パソコンやハンコで印字された氏名や、第三者が書いた氏名を指します。
議事録へは必ず「署名」しましょう。
議事録署名人が足りないときの対処法
多くの場合、議事録署名人には理事が選ばれます。しかし、理事が欠席して署名人を2名選出できない場合には、総会に出席していた理事以外の組合員に依頼するほかありません。
区分所有法によって議長のほかに2名の議事録署名人が必要と定められているため、条件を満たさない場合には適法となりません。
もし、議事録の内容について裁判になった場合、署名・押印が無いために該当の議事録には証拠能力が無いと判断される可能性もあります。有効な議事録を作成するには、出席者が議長を含めて3名以上となるように総会を開く必要があります。
とはいえ、議事録の有効性と決議事項の有効性は異なります。議事録の署名が足りなかったとしても、総会の決議には影響しません。たとえ議決結果に不満がある議事録署名人が署名を拒否したとしても、決議内容は有効です。
書名した議事録は保管する
署名・押印した議事録の原本は、大切に保管します。議事録は、マンション関係者から閲覧の申請があった際に、すみやかに応じなくてはいけません。この時に原本である必要はありませんが、原本の閲覧が請求される可能性もあります。法的手続きや裁判の際には原本の提出が求められることもあるため、丁寧に保管しておきましょう。
また、総会の決議事項はマンションの関係者全員に関わる内容ですので、議事録の配布をもって広く周知させる必要があります。一般的には議事録のコピーを全戸に配布して決議事項を周知します。
総会の議事録署名人には組合員がなる
総会の議事録には議長と議事録署名人2名の署名・押印が必要です。総会に参加した組合員であれば議事録署名人になれますが、多くの場合は理事が選任されます。
署名人数が足りていない議事録は適法とならず、議事録の内容を巡って裁判になった際に、確かな証拠として扱われない可能性もあります。
総会では事前に出席通知表などで出欠席が分かるため、総会前に出席者数が足りないと分かったら、個別に連絡するなどしてなるべく参加してもらえるようにお願いしましょう。
署名・押印した議事録の原本は大切に保管し、関係者からの閲覧請求の際にはすみやかに対応します。
また、総会の決議事項はマンションの住民や関係者全員に関わります。議事録のコピーを配布するなどして、なるべく全員に決議事項を周知しましょう。