マンション理事会でよくあるトラブルは? 対処法を解説!
マンションの管理や運営を行う、理事会。理事どうしの討論や住民からの意見でトラブルに発展することがあります。
「理事の仲が悪い」「住民からクレームが来て困っている」
そんな方に向け、この記事では理事会にまつわるトラブルから対処法までを解説していきます。
理事会トラブルは大きく2つに分けられる
理事会でのトラブルは「理事間」と「住民からのクレーム」の2つに分けられます。
理事間でのトラブルとは?
マンションの区分所有者(購入者)は「管理組合」に参加することが義務づけられています。
そんな管理組合のなかから、代表として数名の理事を選任し、組織されるのが理事会です。ただ、マンションの管理業務全般を主体で行うこともあり、毎月の定例会に参加する必要があるなど、プライベートの時間を拘束されてしまうことも。
そのため「そもそも誰も立候補しない」というトラブルは多いようです。また世代や価値観の異なる人同士が集まるため、「理事どうしで意見が対立する」といったトラブルも起こり得ます。
住民からのクレームによるトラブルとは?
マンションには年齢やライフスタイル、価値観の異なる人が住んでいます。
つまり、いろいろな意見を持つ人がいるということ。「上の階の足音がうるさい」「マンションの修繕費用が高い」といったクレームが、理事会に寄せられるケースも少なくありません。
なかには、あまりにも理不尽な内容を要求してくる、いわゆる「クレーマー」が存在するケースも。とはいえ、要求に対して感情的に言い返してもさらなるトラブルに発展してしまう可能性があるので、できるだけ冷静な対応が求められます。
理事間で起きる3つのトラブル
理事会でのトラブルは、具体的にどういったものがあるか。もう少し詳しく見ていきましょう。
【トラブル1】理事のなり手がいない
不動産情報サイト「ライフルホームズ」の調査によると、「誰も理事をやりたがらない」というのが、理事を選ぶ際に一番問題となっているとのこと。
基本的に理事の選任方法は立候補、推薦、輪番制の3つ。ただ、立候補する人が少ないため、輪番制を採用している管理組合が多いようです。
あるいは、はじめに立候補者を募り、次に推薦で候補者を挙げてもらう。それでも決まらない場合に輪番制をとる、といったケースもあるようです。
【トラブル2】理事が仕事をしない
理事に選任されたにもかかわらず、理事会の仕事をしない人もなかにはいます。
自ら理事長への就任を志願したにもかかわらず、提起された課題に何1つ行動を起こさない人もいるそうです。輪番制などで理事会への参加が本意ではなかったとしても、任命されたにもかかわらず仕事を放棄しては、ほかの理事に迷惑がかかります。
そのように、役割を果たさずトラブルの種となっている理事がいる場合、その人を解任することもできます。区分所有法には「マンションの区分所有者は、規約に定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる」と記載されています。
なお、管理規約によって解任手続きの指定が無い場合、総会で解任の決議をとるのが一般的です。
【トラブル3】理事同士の仲が悪い
各議案を話し合っていくうちに、理事会内で意見が対立することもあるでしょう。あまりに議論が白熱したり語気が強まったりすると、険悪な雰囲気になることも。理事会の運営に支障が出るほど関係性が悪化した場合は、当事者のどちらか又は両方の退任が現実的です。
退任や欠員補充の手続きは、それぞれの管理組合の規則に従って行います。意見が激しく対立しないためにも、運営方針や目的は明確にしておくと良いですね。
住民からのクレームは主に2種類!
一方で住民からのクレームは大きく2種類に分けられます。
【クレーム1】住環境への不満
例えば、「他の住民のゴミ出しのマナーが悪い」「隣人の生活音が気になる」「共用部に私物が放置してある」といったクレーム。受け取ったクレームは理事会で議題に挙げ、対処法を検討することになります。
クレームの内容を細かく理解したい場合、理事会に出席してもらい、話を聞く機会を設けても良いかもしれません。ただ、当事者がいる状態で結論を出そうとすると、公正な判断ができなくなる可能性があります。
そのため当事者が退出した後に、理事のみで話し合い、対策方法を伝えるようにしましょう。
【クレーム2】理不尽なクレーム
住民のなかには、自分勝手な理由でクレームを言ってくる人もいます。
例えば「駐車場の出入り口が狭くて車を傷つけたから修理費を出せ」「共用部にゴミが落ちていたから掃除が行き届いていない。管理会社を変えろ」など。ここまで極端でないとしても、些細な生活音に対してクレームを入れるケースも多いようです。窓の開閉やカバンを置く音にもクレームが入った、という例もあります。
理不尽なクレームをしてくる人は、金銭の要求や、憂さ晴らしを目的としている場合も。そのため、一度クレームを受け入れてしまうと、要求がどんどんエスカレートしてしまいます。
あまりにもクレームがひどい場合、管理会社などにも相談してみましょう。
トラブルを避ける! クレーム対応のポイント
では、住民からクレームが来たら、どのように対応すれば良いのか。簡単にポイントをまとめました。
【ポイント1】冷静に話を聞く
住民からのクレームを、最初から「理不尽なもの」と決めつけないことが大事です。真剣にマンションのことを考え、提案してくれる人もいます。はじめから悪質なクレーマーとして遠ざけてしまうと、かえって反発を招くことにもなりかねません。
相手の意見を頭ごなしに否定したり、「それはできません」と即答したりすることは控えましょう。話を聞いてもらうこと自体が目的の場合、丁寧に接することでクレームが無くなる可能性もあります。
【ポイント2】1人での対応は避ける
クレームを1人で対応すると、お互いに感情的になってしまったり、意見が偏ったりしてしまい、トラブルが大きくなる懸念があります。
また、1人で結論を出すことにリスクもあります。要求を否定すれば、「軽くあしらわれたのではないか」と相手の不満を募らせることになりかねません。要求を受け入れたとしても、実際に対応できるかどうかは理事会で検討しなければ分からない、という場合もあります。
1人では気圧されてしまうような相手でも、話を聞く理事会側の人数が多い状況であれば、冷静に対応できるのではないでしょうか。
問題のある理事は解任も視野に
理事会にまつわるトラブルは、「理事間でのトラブル」と「住人からのクレーム」の2つに分けられます。
理事間でのトラブルは主に「誰も理事をやりたがらない」ということ。立候補する人が少ないため、輪番制にしている管理組合が多いようです。ほかにも、理事が仕事を放棄している、理事どうしで揉めている、といったトラブルがあります。理事に問題がある場合、解任も検討しましょう。
また、住民のなかには理不尽な要求をしてくる人もいます。ただ、クレームを行う住民すべてが、悪質とは限りません。まずは冷静に話を聞くことが大切。その際、1人での対応は避け、複数名で相手の話を聞くようにしましょう。