理事・管理

不動産管理会社とは何する会社?種類や事業内容、選び方を解説

2023.01.31
不動産管理会社とは何する会社?種類や事業内容、選び方を解説

不動産管理会社とは所有者に代わり、建物の管理やメンテナンス、入居者の募集や契約手続きなどを行う会社です。

マンションの清掃や賃貸物件の管理などは管理委託費を支払って委託するのが一般的ですが、より質の高い委託先を選ぶためにも不動産管理会社についてしっかり抑えておきたいところ。

そこで、今回は不動産管理会社の種類や事業内容、選び方を解説します。

不動産管理会社の業務内容は?

不動産管理会社の主な業務は賃貸物件の管理

不動産管理会社の仕事はマンションや賃貸物件の管理です。おもな業務は設備点検、立ち会い、共用部の清掃、管理費の集金をはじめとする会計事務など。

分譲マンションであれば区分所有者から毎月集める管理費を、賃貸物件などであれば入居者が支払う家賃の数パーセントを手数料として不動産管理会社に支払い、管理を委託します。

なお、不動産の売買や賃貸の契約、取引を行う不動産仲介会社とは異なり、不動産管理会社は宅地建物取引業に該当しません。そのため、宅地建物取引士のような不動産取引法務の専門家を確保しなくても良いとされています。

不動産管理会社の種類は3つ

【1】管理業務のみを行う会社

不動産管理会社には
・管理費や修繕積立金の集金
・各種経費の支払い
・長期修繕計画の策定
・入居者のクレーム対応
・共用部分の清掃やメンテナンス
・設備の保守点検
など、建物の管理業務だけを行う会社もあります。

管理業務を専門に行う会社は知識や経験が豊富な傾向にあり、清掃や保守点検の質の高さに関しても比較的安心できます。また、通常の管理業務だけでなく、適切なメンテナンス計画の提案まで行ってくれる業者も。そのような会社は、入居者とのトラブル発生時にもスムーズな解決に期待できます。

適切な管理が行き届いているマンションは居住者にとっても快適なうえ、建物の資産価値向上にもつながります。物件を貸す場合は、空室率が低くなりやすいので、安定した賃料収入も見込めるようになるでしょう。

【2】仲介業務のみを行う会社

仲介業務のみを行う会社もある

管理業務をオーナーや管理組合が自身で行っている場合や、あるいは別の会社が行っており、仲介業務のみを依頼されている不動産管理会社もあります。

仲介業務の例としては
・入居者の募集
・入居者の審査
・賃貸借契約の手続き
などがあげられます。一般的に、入居後の業務は含まれません。

仲介業務を専門とする管理会社の強みは集客力にあるといえます。特に賃貸物件では、いかに多くの入居希望者に自身の物件を紹介できるかが空室を埋めるポイント。問い合わせが多い管理会社ほど、成約しやすくなります。

【3】管理と仲介業務の両方を行う会社

なかには、前述の管理業務と仲介業務の両方を行う不動産管理会社もあります。

入居者の募集から日々の清掃まで、すべての業務を一つの管理会社に任せられるため、依頼する側の負担は比較的少なくすみます。

また、管理と仲介、両方の業務に携わっている管理会社は、物件の内見時に設備の仕様や清掃頻度、大規模修繕の予定なども詳しく説明できるため、成約率の向上や入居、所有後のトラブル回避効果が見込めます。

不動産管理会社の業務内容は大きく2種類

不動産管理会社の業務は大きく「賃貸管理」と「建物管理」の2つに分けられます。

賃貸管理とはおもに賃貸物件の入居者への対応業務です。具体的には入居者の募集や内見案内の対応、賃貸の新規契約や更新手続き、クレーム対応や退去の立ち会いや退去後の修繕工事の手配などが含まれます。

一方、建物管理は建物の維持管理に関する業務を指します。例えば外壁や共用部のメンテナンス、清掃業務や長期修繕計画の策定などがあります。

ここからはそれぞれの詳しい業務内容について見ていきましょう。

入居者対応を中心とした「賃貸管理」

【1】入居者の募集

空室発生時に入居者を募集する業務です。

多くの不動産管理会社では自社のホームページや不動産検索ポータルサイト、フリーペーパーなどへの掲載や、チラシのポスティングで物件情報を発信し、入居や所有検討者を呼び込みます。

また、成約時には仲介手数料として家賃の0.5〜1ヵ月分を管理会社に支払うケースが一般的です。

【2】内見案内対応

【7】修繕工事の手配

ホームページからの問い合わせや実際に来店してきた入居検討者と連絡を取り合い、物件の内見案内を行う業務です。

入居検討者に対する住戸の設備や仕様なども、基本的には内見時に管理会社が行います。そのため、普段から管理業務を行っている会社のほうが詳しい説明対応が期待できます。

【3】賃貸契約関係の手続き(新規・更新)

入居が正式に決まった場合は「重要事項説明」と「賃貸借契約書」を締結します。重要事項説明とは契約の前に物件や取引条件に関する事項を書面で説明する作業で、法律によって実施が定められています。説明内容は電気、ガスに関する事項や契約条件などです。

また、事前に入居者の支払い能力や犯罪に関わりがないかなどの審査も行います。

賃貸住宅の契約期間が満了した場合、契約者に更新の意思があれば契約更新業務も行います。なお、賃貸住宅の契約期間は平均2年程度となっています。

【4】家賃集金

入居者から家賃を回収したり、滞納者がいる場合は家賃を支払うよう催促したりするのも不動産管理会社の業務の一部です。

特に家賃の催促はトラブルになりやすいため、交渉の上手な不動産管理会社を選びたいところです。

また、もし入居者が家賃保証会社を利用している場合、オーナーは万が一家賃の滞納があったとしても、代わりに保証会社から家賃の支払いを受けることができます。

【5】クレーム対応

入居者からのクレーム対応も不動産管理会社の業務に含まれます。

近隣住民や隣人の出す騒音や異臭、ゴミの出し方といったトラブルや、老朽化による漏水、蛍光灯の故障といった設備の不具合など、クレームの内容はさまざま。対応を誤ると事態が悪化してしまう恐れもあります。

スムーズに問題解決してもらうためにも、なるべくクレーム対応に慣れている管理会社を選択したほうが無難といえます。

【6】退去立ち会い、精算

入居者が退去する際の立ち会いや、敷金の精算なども依頼可能です。

一般的に、原状回復の費用などは敷金からまかなわれ、残額があれば入居者に返還、逆に不足があった場合は修繕費用の請求を行います。

原状回復の範囲や、それにともない敷金をどれくらい返還するかは、入居者との間でトラブルになりやすい部分。手続きを円滑に進めるためにも、適切に対応してもらう必要があります。

なお、原状回復の費用負担のあり方については、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にてまとめています。基本的にはこの内容に沿った対応を行ってもらうといいでしょう。

【7】修繕工事の手配

退去後には壁紙やフローリングの張り替えなどといった修繕工事が発生します。

空室状態を避けるためにも、修繕工事はなるべく早く行う必要があります。また、修繕費用を予算内に抑えることも大切。修繕工事は適切なタイミング、適切な業者に依頼することがポイントです。手間はかかりますが、より費用を抑えたいのであれば依頼者が自ら業者を探し、管理会社に提案するという手もあります。

なお、修繕工事の手配は建物管理の会社が行うケースもあります。

建物のメンテナンスや清掃を行う「建物管理」

【1】建物の維持管理(メンテナンス)

外壁や屋上、共用廊下、エントランス、駐車場、庭などは建物の資産価値に直結する部分といえます。そのため、これらの日常的なメンテナンスは建物管理のなかでも重要な業務です。

基本的には該当箇所を見回り、電灯が切れていないか、壁のひび割れがないかなどをチェック。電灯交換など簡易的な作業であれば対応し、大がかりな修繕が必要な場合は大規模修繕計画にも反映します。

また、庭の植物の剪定や除草なども日常的なメンテナンスの範囲に含まれます。

【2】設備の維持管理

スプリンクラーや火災報知器といった消防用設備、エレベーターや貯水槽などの点検も管理会社の業務範囲です。

なお、設備点検は法律によって実施が義務づけられている「法定点検」と、不動産管理会社が自主的に行う「任意点検」の2つに分けられます。

法定点検とは居住者の安全な暮らしを守るために定められている点検で、
・消防用設備の点検
・有効容量の合計が10平方メートルを超える貯水槽や高架水槽の検査
・浄化水槽の定期的な保守点検、清掃、水質検査
・エレベーターの安全検査
などが含まれます。なかには火災報知器の点検など、入居者の立ち会いが必要となる作業もあります。

【3】清掃

日々の清掃は建物の美観を維持し、入居者の快適な暮らしと建物の資産価値を守る大切な業務のひとつです。

なお、清掃業務は頻度によって「日常清掃業務」と「定期清掃業務」に分けられます。日常清掃業務は1〜2日に一度行う掃き掃除など。定期清掃業務は高圧洗浄機などを用いて月に1〜2度行う清掃を指します。それぞれの清掃の頻度は不動産管理会社によって異なります。

【4】長期修繕計画の策定

住民が毎月支払う修繕積立金額を計算するために必要な「長期修繕計画」の策定や見直しも不動産管理会社に委託できます。必要な修繕がされていない建物は劣化が早く、入居者の身の危険や空室リスクにもつながります。

また、長期修繕計画は25〜30年以上という長いスパンで考えるため、定期的、かつ適切な見直しも欠かせません。不動産管理会社によっては計画の見直しが修繕周期の修正にのみ留まるケースもあるため、なるべく親身に修繕計画を考えてくれる会社を選びたいところです。

信頼できる不動産管理会社の見分け方4選

【1】集客力がある

不動産管理会社の判断基準の一つに、集客力があげられます。

特に賃貸経営では管理会社の集客力が、物件の入居率に大きく影響します。管理会社を訪れる人が多ければ、物件を紹介できる機会も多くなり、部屋が埋まる可能性が高まります。反対に、なかなか物件を紹介できないと空き部屋が増え、ローンや税金の支払いが滞ってしまう恐れもあるのです。

管理会社の集客率は、各社が公表している「平均空室期間」と「入居率」も参考になります。平均空室期間はその管理会社が所有する物件が空室だった期間、入居率は管理会社が所有する不動産の戸数に対する入居者の割合を指します。

平均空室期間が短く、入居率が高いほど、早く空室を埋めてくれることが期待できるのです。

【2】経営状態が安定している

経営状態が安定しているかどうかも、信頼できる不動産会社の目安となります。

不動産管理会社に業務委託する場合、家賃や大規模修繕の費用などは一時的に管理会社が預かります。もし経営不振から管理会社が倒産してしまった場合、その後の管理が行われないだけでなく、預けたお金が戻ってこない恐れも。

依頼する前に各社が公表している決算書などを通じて、財務状況や経営状況をしたほうが無難といえるでしょう。もし個人での調査が難しい場合は、信用調査会社などに調査を依頼するのも一つの手です。

【3】地域の知識が豊富

建物のある地域の情報に詳しいかどうかもポイント。

例えば、入居希望者を募集する場合、物件近くの店舗や公共施設の有無、駅へのアクセスといった情報があるとより多くの集客が見込めます。また、建物の修繕を外注する場合にも、品質の高い地元工務店を紹介してもらえるかもしれません。

近隣情報に詳しいかどうかは、管理会社の本支店がその地域にあるかどうかが目安の一つとなります。

【4】トラブル対応の事例がある

騒音や異臭、設備の不具合といったトラブルへの対応は、当人同士で行うと事態が悪化する恐れもあるため、なるべく第三者にお願いしたいところ。不動産管理会社に依頼できればオーナーや管理組合にかかる負担を大きく減らせるでしょう。

トラブル対応を依頼できるかどうかは、実際に問い合わせるほか、トラブル対応事例やコールセンターの有無で確認可能です。

不動産管理会社によっては過去のトラブル事例とその対応を公開している場合があり、実績が多いほど、問題のスムーズな解決が期待できます。

建物の管理は不動産管理会社に一任できる!

不動産管理会社のおもな業務は管理全般。入居者の募集といった「賃貸管理」や建物のメンテナンスなどを含む「建物管理」と、個人には手間のかかる業務を委託することができます。

建物の管理のみを行うか、仲介のみを行うか、あるいはその両方を行うかによって3つの種類に分けることができますが、より負担を減らしたいのであれば管理と仲介の両方を委託できる管理会社を選びたいところです。

また、入居者の募集や日々の清掃は、家賃収入を確保し、建物の資産価値を守る重要な業務。信頼できる不動産会社を選ぶためにも、集客力や依頼できる業務内容についてあらかじめ調べておくといいでしょう。

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