理事・管理

マンション管理費の遅延損害金とは? 滞納を防ぐ方法も解説

2023.07.28
マンション管理費の遅延損害金とは? 滞納を防ぐ方法も解説

マンション管理組合の頭を悩ませるもののひとつが、管理費の滞納。平成30年度マンション総合調査では、24.8%もの管理組合が「3カ月以上の滞納者がいる」と回答しています。

そこで今回は、管理費の滞納が起きたときの対処法や、滞納された管理費に対して発生する「遅延損害金」について解説していきます。

遅延損害金は支払い期限を守れなかったときに発生する

支払い期限を守れないと遅延損害金が発生する

遅延損害金とは、金銭を期日までに支払わなかったときに生じる賠償のための金銭です。支払期日の翌日から、遅延分の支払が完了する日までの期間に対して発生します。

クレジットカードの引き落し額が期日までに口座に入っていない場合など、一般に日常的に使われているものにも設定されています。

マンション関連では、ローンや家賃のほか、管理費や駐車場の使用料などに対しても発生することがあります。

延滞利息や遅延利息と呼ばれることもありますが、通常の利息とは別に発生するお金です。期間が長かったり、金額が大きかったりすると、遅延損害金の金額もどんどん大きくなっていきます。

管理費の遅延損害金の利率

遅延損害金は年14.6%が上限

遅延損害金の利率には、法律で定められた上限があります。「消費者契約法」の第9条2号では、消費者金融での借入以外の契約にかかる遅延損害金の上限が「年14.6%」と定められています。たとえ契約書や規約に書いてあったとしても、上限を超える請求分は無効になります。

また、遅延損害金には「法定利率」が設けられています。法定利率とは、民法第404条で定められている利率で、金銭消費貸借契約において当事者間の合意による利率が定めていない場合に適用されます。2020年に改正された民法では、法定利率は3%に設定されました。

管理費を滞納された場合に生じる遅延損害金の利率は、マンションによって異なります。管理費を滞納している区分所有者に対しては、管理規約に記載がある場合は記載通りの利率、記載がない場合は法定利率分の遅延損害金を請求できます。

管理費の滞納があった場合の対処法

【1】管理規約に遅延損害金について明記する

滞納者に対する措置を管理規約でルール化しておくと滞納の防止につながる

管理費の滞納に対して遅延損害金の請求はできますが、そもそも滞納を防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか。

まずは、管理規約に遅延損害金についての記載があるかを確認し、ない場合は規約に追記をしましょう。国土交通省が提示する「標準管理規約(単棟型)」では、第60条に記載があるので、規約を新たに設ける場合は参考にしてください。

滞納者に対する措置を管理規約でルール化しておけば、実際に滞納者が出てしまったときに、後述の解消措置を速やかに取ることができます。

また、滞納に対してペナルティがあることを規約によって示すことで、滞納を抑止する効果も期待ができます。

ペナルティの明示は駐車場使用料の滞納にも有効です。駐車場の管理については、管理規約とは別に細則が設けられていることが多いため、駐車場使用細則に遅延損害金について記載をしておきましょう。

【2】時効の成立を防ぐ

債権者が5年間権利を行使しないと時効が成立してしまう

管理費の滞納は早期に解決したいところ。最も効果的なのは、管理会社の担当者や管理人に訪問してもらい、直接支払いを促すことでしょう。

しかし、督促を行っても解決しないなど、滞納が長期化している場合は時効が成立してしまわないか気を付けながら手続きを行う必要があります。

民法の第166条の記載では、管理組合側(債権者)が5年間のうちに権利を行使しないと、時効により請求ができなくなってしまいます。権利の行使とは、裁判上の請求などの法的な措置を取ることや、滞納者に管理費の一部を支払わせることで「債務がある」と認めてさせることです。

長期化した際に利用したいのが「内容証明郵便」です。内容証明郵便とは、「いつ」「誰から誰あて」に「どんな内容」の書面を差し出したかを郵便局が証明してくれる制度です。文書の内容が真実であるという保証はされませんが、督促状を「送った」ことの証明にはなります。

この制度を利用すると、時効の成立を6カ月遅らせることが可能です。送る際は、用件や支払先を明確にするためにも、管理組合や理事長の名義で送りましょう。

【3】駐車場や駐輪場を解約する

滞納者が駐車場や駐輪場を利用していて、かつ使用料を滞納している場合は、事前に通達のうえで駐車場や駐輪場の解約手続きを取ることも視野に入れます。

管理費等の滞納を理由に解約を行うには、滞納期間などの条件をあらかじめ管理規約で定めておくことが必要です。

解約手続きに入る旨を通達すれば、滞納者に管理組合の姿勢が伝わり、返済に向かう可能性が高まります。

早期解決と事前の抑止が重要

マンションの管理費の支払いを滞納された場合、管理費に加えて遅延損害金の請求ができます。遅延損害金は14.6%を上限に、各マンションの管理規約で定められていることが多い。

滞納者が発生した場合は、管理会社の担当者などに訪問してもらい、直接支払いを促します。早期の解決が望ましいですが、長期化した場合は、内容証明郵便で督促状を送るなど、時効の成立を防ぐことも必要になります。

また、滞納の未然防止も重要です。滞納発生時の遅延損害金の支払いや事務手続きについて、管理規約に細かく記載しておけば、滞納発生時の早期解決だけではなく、他の区分所有者に対する抑止にも効果的といえるでしょう。

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