「区分所有法」って? 個人で所有できる建物の範囲は決まっている!
マンションのベランダは共用部分に含まれる?トラブル事例も紹介
マンションの各住戸に付属しているベランダは、それぞれの住民が好きなように使用していいと思っている方が多いかもしれません。
しかしベランダは、居室ほど自由には使えないことをご存じでしょうか。使い方次第では管理会社から注意されたり、近隣住民とトラブルになってしまったりする恐れがあります。
そんな事態を避けるためにも、ベランダにどのような制約があるのか知っておきましょう。
マンションのベランダは共用部分に含まれる?
区分所有法においてマンションの住戸は、特定の区分所有者だけが活用できる「専有部分」として扱われています。
対照的に、廊下など住民が共同して利用する場所が「共用部分」です。プライベートなスペースだと思われがちなベランダも、実は共用部分として扱われています。
ただしほかの共用部とは異なり、ベランダには「専用使用権」が付属しています。
専用使用権は、一部の共用部分に対して特定の区分所有者だけが利用できる権利のことです。専有使用権があることで、区分所有者はベランダを自己用として使うことが可能となります。
ベランダの利用には一定の制約が
専有使用権があるからといって、ベランダは居室ほど自由に使えるわけではありません。
前述したとおり、ベランダは災害時の避難経路としても利用されるため、避難の邪魔になるような物品を置くことはできません。避難経路とすることは消防法によって定められているので、法律遵守のために必要な制約となります。
このようなケース以外にも、マンションの運営に差し障りがあると判断されてしまう用途はいくつも考えられます。
もしもベランダの使い方で不明点があれば、マンション管理規約を確認したり、使い方の可否について総会で決める必要があるでしょう。
ベランダでよくあるトラブル3選
タバコを吸う
ベランダでの喫煙は、近隣住民とのトラブルに発展する恐れがあります。タバコから立ち昇る煙や匂いが、近隣住民の生活に悪影響を及ぼすことが考えられるためです。
2012年にはベランダでの喫煙について、不快に感じた近隣住民から損害賠償命令訴訟が提起された事例があります。同訴訟では、実際に損害賠償義務が認められました。
水が溜まる
マンションのベランダでは、排水溝の詰まりにも気をつけなければなりません。排水性能が低下して雨水が溢れることで、下階に流出してしまう可能性があるからです。
排水溝は少量の雨水を排出する程度の性能しかないため、掃除のために大量の水を流した場合にも同様の事態が起こり得ます。
そのため、詰まりの原因となる土砂や木の葉、洗濯物などからの糸くず、髪の毛、かびなどは日常的に取り除くことが大切です。
布団を干す
マンションの住民のなかには、建物の景観を損ねるとの理由から、ベランダで布団を干すことを望ましくないと考えている人もいます。
また、布団など重量のある洗濯物が落下した場合は、下にいる人間に危害を及ぼす可能性もあるでしょう。
以上のことから、管理規約においてベランダで布団を干すことを禁止しているマンションもあります。
ベランダでの近隣トラブル対処法
理事会に相談
ベランダの利用で近隣住民とトラブルになった場合、まずはマンション管理組合の理事会に相談することをおすすめします。
なぜなら、第三者の中立的な意見をもとに話し合いを進められるからです。当事者同士で感情的に話し合いをして、議論が平行線をたどってしまう可能性が低くなります。
また、当事者同士が直接顔を合わせる必要もなくなるので、関係が悪化する恐れもある程度なくなるでしょう。
当事者で話し合う
理事会が相談に対応してくれない場合、当事者同士での話し合いで解決しなければいけません。
まずは管理規約をチェックして、トラブルの対処方法についてルールで明確化されていないか確認しましょう。
規約によって解決できない場合、今度は現実的な解決策を相手方に提示する必要があります。
例えば、相手方のベランダでの喫煙が問題となっている場合、タバコを吸う時間帯をあらかじめ決めてもらうといった対策が考えられるでしょう。
その時間帯は居室の窓を閉めたり布団を干さなかったりすれば、タバコの煙もある程度気にならなくなります。
トラブルには冷静な対応を
マンションのベランダは原則、共用部分であり、入居者には「専有使用権」が認められています。
専有使用権があるからこそ、喫煙などのトラブルに発展することも少なくありません。
トラブルとなった場合は、理事会に仲裁をしてもらったり、管理規約や妥協案をもとに話し合いをしたりするなど、冷静な対応を心がけましょう。