電気設備の対応はプロに任せよう! 共用ブレーカーの注意点を解説
マンションには各住戸に設置されているブレーカー以外に、共用部分の電気系統の安全装置「共用ブレーカー」があります。
共用ブレーカーが落ちてしまうとマンション全体の電気の使用に影響が出る場合がありますが、素人判断でブレーカーを戻してしまえば火災などの重大な事故の原因になりかねません。
今回の記事では、共用ブレーカーが落ちた場合の電気使用への影響や、対処の方法について説明していきます。
共用ブレーカーが落ちるとテレビやインターネットが不調になる場合がある
マンション共用部分の照明やコンセントなどの設備は、共用分電盤を介して供給される電気で稼働しています。
分電盤は使用する箇所へ向けて電気の分配を行う設備です。分電盤の内部には安全ブレーカーや漏電ブレーカーが収められており、それぞれ使い過ぎや漏電による事故が発生しないように、異常が起きたら自動で電気を切る機能を持っています。
そのためブレーカーが落ちた際には、分電盤から電気を分配されていた電気系統が使用不能になるかもしれません。具体的な電気機器の例には、廊下の照明やテレビ、インターネットが挙げられます。また、給水ポンプが停止して断水が起こったり、オートロックが作動しなくなったりする場合もあるので注意が必要です。
もしも、それらの機器の使用に不具合を感じるのであれば、共用ブレーカーが落ちている可能性が考えられます。
落ちた原因がわかるまでブレーカーを戻さない
ブレーカーが落ちた時は、まずは原因の特定を優先させましょう。
原因が解決しないままブレーカーを戻すと、再び同じ理由で落ちるかもしれません。また、問題を抱えた状態で電気を使用し続けていくと、設備の故障や発火が起きる可能性も出てきます。
電気設備の取扱いは予期せぬ危険を招く場合もあるので、知識がなければ素人判断で対処するのは厳禁です。異常が発生したら、必ず専門業者に依頼して原因の特定と対処をお願いしましょう。
ブレーカーが落ちるなら老朽化の可能性大!
共用ブレーカーが落ちるのは、設備の老朽化が原因となっているケースが多いようです。
共用分電盤内に格納されている照明のタイマーや、マグネットスイッチという電気制御を行う機器は、10~15年以上使用していると故障が発生しやすくなるとされているので、10年以上取り替えていなければ注意が必要です。
それ以外にも、雨漏りが原因となっている場合も考えられます。雨漏りで廊下の照明装置の内部に水が溜まり、それが漏電を引き起こす原因となっているという事例もあるようです。
自家用電気工作物の保全には電気主任技術者が必要
安全な利用のために専門家の助けが必要な電気設備は、共用ブレーカーだけではありません。
電気事業の健全な発達や公共の安全を保つために制定されている電気事業法では、「自家用電気工作物」に分類される設備を所有するマンションに対して、設備の保安を義務づけています。
自家用電気工作物に該当するのは、「電力会社から600V以上の電圧で受電する設備」や「一定出力以上の発電が可能な設備」などです。
設備の所有者であるマンション管理組合は、予防保全計画を定めた保安規程を作成し、経済産業省へ提出することが求められます。また、安全な利用を監督する立場として、電気主任技術者を選任して国に届出なければなりません。
自家用電気工作物の運用には、毎月、もしくは隔月に1回の月次点検と、年に1回の年次点検の2種類の法令点検の実施も必要です。定期点検の実施にも、電気主任技術者の選任か外部業者への委託が必須となります。
自家用電気工作物は、誤った扱いをすれば、周辺地域を巻き込んだ大幅な停電波及事故の発生にもつながり得るので、確認漏れが出ないようにしっかりと保安業務を行いましょう。
電気設備は専門家に任せよう!
日常的に利用する電気ですが、設備や装置を正しく使用するための深い知識を持つ人はあまりいません。電気のトラブルが起きた際に、誤った方法で対処すれば、停電や火災などの重大な事故の原因となる可能性も考えられます。
設備に不調がみられる場合には、手間を惜しまず専門家に依頼し、正しく対処してもらいましょう。対応が必要な時にすぐに連絡できるように、あらかじめ頼りになる専門業者を見つけておくのがポイントです。