マンション管理組合の総会議事録サンプルを紹介!予備知識も解説
総会で話し合われた内容を記録する目的で作成される議事録。総会の議事録の作成は区分所有法によって定められており、従わない場合には罰則を受けることも。この記事では総会議事録作成時の注意点を議事録のサンプルと併せてご紹介をしていきます。
作成前に知っておきたい総会議事録4つの予備知識
議事録の作成義務は議長にある
マンション標準管理規約では、議事録の作成は総会の議長が行うものであると定められています。通常であれば総会の議長は理事長が務めますので、多くの場合は理事長に作成義務があるといえるでしょう。しかし、理事長以外の区分所有者の発案によって総会の招集が行われた場合は異なります。この場合には、招集者の内の1人が議長となるため、その人物が議事録作成義務を負うこととなります。
形式上は議長の義務とされている議事録の作成ですが、実際には管理組合の担当者が下書きを作成し、議長が確認・修正を行う流れが多いようです。この場合であっても、議事録の作成責任者はあくまで議長。管理会社任せにせずに、実際の総会の内容と齟齬がない様にチェックを行いましょう。
議事録は配布する前提で作成する
続いては総会での質疑応答についてです。質疑応答内容の記録については区分所有法や管理規約による定めはありません。総会で行われたすべての質疑応答を議事録に書き記していたら、いたずらに文字数が増えて読みづらくなってしまうため、不要な箇所は省略しても問題ないでしょう。ただし、採決に影響を及ぼす重要な質疑応答の部分については、後々確認ができるよう、しっかりと議事録に記しておくと安心です。
完成した議事録は、各区分所有者の元へコピーの配布を行うことが一般的です。そのため議事録を作成する時には、個人情報の記載や個人が特定できる書き方をしないように注意しましょう。
議論内容は録音しておく
総会で決議された内容について後から不平不満が出されることもなかにはあるようです。後になって「言った、言わない」で揉めるようなトラブルを防ぐためにも、総会の議論はレコーダーなどを使って録音するようにしましょう。録音する際には、総会の冒頭で会の様子を記録する目的でレコーダーを使用することについて参加者から了承を得ることもお忘れなく。
不正な議事録は罰則を受ける可能性も
ここまで読んで、議事録の作成を面倒に感じる人も多くいらっしゃるかも知れません。しかし、面倒だからといって議事録を投げやりに作成するのは危険です。「区分所有法・第三章 罰則」では議事録の作成を怠った場合や、虚偽の記載をした場合には20万円以下の過料に処されることが定められています。たとえ面倒に感じても、罰則の対象にならないためにも気を引き締めて取り組みましょう。
総会議事録への記載事項
それでは、実際に議事録に記載する内容について紹介していきましょう。
一般的な議事録には以下の項目を記載します。
・日時(令和〇年〇月〇〇日)
・開催場所(管理室・集会室など)
・組合員総数と議決権総数
・出席組合員数と議決権総数
・議長(理事長)の開会宣言
・議案の説明 と質疑応答内容
・議案の採決の結果
・議長(理事長)の閉会宣言
組合員総数と議決権総数は数が異なる場合があるので分けて記載します。
例えば、議決権を各住戸につき1票とする場合、1人で複数の住戸を所有している人がいる場合に組合員と議決権の数に相違が生じるためです。
総会議事録のサンプル
開会宣言以降の部分の書き方は以下のサンプルを参考にしてください。
【例】
・議長(理事長)の開会宣言
総会開始の予定時間となり、議長である〇〇理事長から開会宣言がなされた。議長から出席状況の報告がされ、管理規約第〇条〇項により、本総会が無事成立したと報告された。
・議案の説明 と質疑応答内容
議長より、地下駐車場の使用細則の追加について説明がされた。
(説明内容を記載)
ご審議の上、ご承認をお願い致します。
議長による説明の後に質疑応答がされた。
質疑応答の内容は以下の通りである。
(質疑応答の内容を記載)
・議案の採決の結果
本議案の採決結果は以下の通りとなり、出席組合員の議決権の過半数の賛成により承認された。
賛成〇〇票(出席者数〇〇票・委任状及び議決権行使書数〇〇票)
反対〇〇票(出席者数〇〇票・委任状及び議決権行使書数〇〇票)
(無効票〇〇票)
【決議事項】
別紙議案書に記載されているとおり、地下駐車場の使用細則への条文追加を承認する。
・議長(理事長)の閉会宣言
以上、本総会の議案の審議が終了したため、●●時に議長によって閉会宣言がされた。
議長と議事録署名人の署名も必須
議事録の末尾には議長と議事録署名人2名の計3名による署名と捺印が必要となります。議事録署名人とは、議事録の内容に事実と相違がないことを保障する人物です。議事録署名人の選出方法は管理組合毎に異なっており、出席者の中から議長が2名を選ぶ方法や、理事の中から2名とする場合など様々な方式があります。
作成した総会議事録は再確認しよう
大多数の管理組合では議事録の下書き作成を管理会社に委託しています。しかし、下書きの修正や追記を行うのは議長の仕事。万が一、審議結果についての間違いや、記載漏れがあった場合、責任を負うのは議長です。
また、管理会社の担当者によっては、管理会社にとって不利な内容を下書きに記さない可能性が考えられます。議長本人はもちろん、管理組合が不利益を被ることがないためにも、管理会社任せにせずに議長がしっかりとチェックを行うことが大切です。
トラブルにならないためにも不備のない議事録を心掛けよう
書面に不備があれば思わぬトラブルを招きかねない議事録。今後、議長として議事録の作成を行うことがあれば、今回紹介したポイントを意識して不備のない議事録作成を心掛けましょう。