理事・管理

マンションの管理方法とは? 委託するときのポイントも解説

2022.12.26
マンションの管理方法とは? 委託するときのポイントも解説

日常的な清掃から設備の保守まで、マンションの管理業務は多岐にわたります。

国土交通省の「マンション総合調査」では、マンションの管理事務をすべて管理会社に委託している管理組合が全体の74.1%を占めています。しかし、管理会社への業務委託にはランニングコストがかかるため、管理組合が自ら管理を行う場合もあるかもしれません。

今回は、3種類のマンション管理方法と、それぞれのメリットや注意点について解説していきます。

マンションの管理方法は3種類ある

マンション管理は3つの方法から選べる

【1】自主管理方式

「自主管理方式」とは、外部の管理会社の力を借りず、管理組合が自らマンションを管理する方式です。

管理組合が共用部分の清掃などを遂行したり、関連業者と大規模修繕工事などの契約を直接結んだりすることで、管理会社に支払う管理委託業務費を削減できる点がメリットです。

また、居住者が協力し合って管理業務を分担するため、ひとりひとりの管理意識が向上しやすい点も魅力として挙げられます。

ただし、行う業務の種類が非常に多いので、自主管理方式は小・中規模で店舗や賃貸部分がないマンションが適しているといえます。

【2】全部委託方式

管理業務を業者に委託

管理組合が直接マンションの管理を行う自主管理方式に対して、すべての業務を管理会社に任せる方式を「全部委託方式」といいます。

全部委託方式最大のメリットは、管理組合の業務負担が大幅に減少する点です。理事会や総会の運営や予算の執行など、管理組合にとって重要な業務は自らが行う必要がありますが、清掃業務や会計業務などは、マンション管理のプロである管理会社に委託できます。

また、管理の品質が管理組合の熱意や居住者の意識に左右されづらい点もメリットです。居住者の数が多く、ライフスタイルが多様で居住者同士の連携が難しい大規模なマンションは、全部委託方式を検討してもよいでしょう。

【3】一部委託方式

一部委託方式とは、管理業務を管理組合が行うものと管理会社に委託するものに分ける方式です。

管理費に割ける予算や管理業務に携われる組合員の人数など、それぞれのマンションの実態に即して委託する業務を選べる点がメリットです。

たとえば、専門的な知識や技術を要する設備の保守・点検や、日常的に行わなければならない受付業務など、管理組合が行うには負担が大きい業務のみを委託し、共用部分の日常清掃は管理組合員が持ち回りで行います。全部委託方式よりも管理会社に委託する業務が少なくなるので、自主管理方式よりも管理組合の業務負担は軽く、全部委託方式よりも予算を削減できるでしょう。

その他のメリットとして、どの業者に委託するかを業務の種別ごとに選定できる点もあります。業務ごとに契約内容を吟味して契約すれば、予算の削減やサービス品質の向上も見込めます。

自主管理方式の注意点

【1】資産価値が下がる可能性がある

設備が劣化して資産価値が下がってしまう可能性も

自主管理方式はすべての業務を管理組合で行う必要があるため、委託費用がかからない一方、居住者ひとりひとりの負担が大きくなります。

また、プロではない管理組合が日常清掃や設備点検などを行うと、マンション共用部分の管理が行き渡らなくなってしまうリスクもあるでしょう。十分に管理がされないと、建物や設備が早く劣化し、安全性が損なわれてしまうかもしれません。マンションが劣化すると資産価値が下がってしまう可能性も。

マンションの資産価値を維持するために、管理業務をどのように徹底していくかを管理組合で話し合うことが必要です。

【2】人材確保が難しい

マンションの管理業務では、設備の保守・点検や修繕だけではなく、会計や法律などの分野に詳しい人材が必要です。

管理組合の役員であるという理由だけで、知識や経験のない人に業務を依頼してしまうと、設備点検などが正しく実施できなくなってしまうリスクがあります。

また、これまで自主管理方式を続けてきたマンションでも、居住者の高齢化などにより人材の確保が難しくなることも。予算だけではなく、人材確保の観点からも、本当に自主管理方式を続けていけるかを検討しましょう。

一部委託・全部委託方式の注意点

【1】ランニングコストが発生する

マンションの管理業務を委託する場合は、管理会社に支払う管理手数料が発生します。管理手数料は管理を委託している間、ずっと発生するランニングコストです。

管理手数料の価格については後述しますが、全部委託方式は一部委託方式と比較して、管理会社に支払う費用も割高になります。

【2】適切に管理されているか把握しにくい

委託方式では、管理会社が主体となってマンションの管理業務を行います。居住者が直接管理に携わらないため、具体的な業務内容や、管理が適切に行われているかを把握しづらい点にも注意が必要です。また、自分達で業務を行わないため、居住者の管理意識も薄れやすいという注意点もあります。

特に全部委託方式の場合は、必要のない管理まで依頼している場合もあるかもしれません。不要な業務の委託を解約すれば、管理手数料を抑えられる可能性もあるため、管理内容は定期的に確認したいですね。

管理委託をする際のチェックポイントは4つ

【1】管理手数料

はじめに管理会社に確認したいのが管理手数料です。

管理手数料の金額は、管理会社によって異なります。管理費の予算に応じて委託先を検討しましょう。

また、マンションの規模によっても管理費は上下します。専属のコンシェルジュがいたり、宅配ロッカーがあったりといったように、サービスや設備が充実したマンションでは管理費が高くなる傾向です。

【2】管理物件の入居率

2つ目のチェックポイントは、管理物件の入居率です。

その管理会社が受託している物件の入居率を見ることで、管理会社の賃貸支援業務の実力を確認できます。入居率が高い物件を多く擁している管理会社は、リーシング能力だけではなく、管理サービスの質も優れていると考えられます。管理物件の入居率から、管理サービスの質を見極めることが可能です。

【3】サービス内容

管理会社へ委託すれば、プロがマンションの管理業務を行ってくれるという点は大きな魅力です。しかし実際のサービス内容や、遂行方法は管理会社によってさまざまであることも。

管理会社によっては、管理組合の業務の一部だけを請け負っていたり、受託業務をさらに外注したりしている場合があります。

一方、設備の異常に対する365日24時間体制での監視など、独自のサービスを提供している管理会社などもあるため、金銭面だけではなくサービス内容の充実度も吟味しましょう。

【4】担当者

管理会社の担当者は、日常的にやり取りを行う「窓口」になります。契約内容によっては、通常業務のやり取り以外にも住民トラブルの仲裁などを依頼することがあるかもしれません。信頼できる担当者であれば、トラブルが発生しても気軽に相談できます。

契約内容の説明や見積を受け取る際のやり取りが主な判断材料になりますが、管理会社の知名度、所在エリアの営業実績などもチェックしておくとより安心ですね。

マンションの状況に合わせた管理方法の選択を

マンションの管理方法は、どれ位の業務を管理会社に委託するかで「自主管理方式」「全部委託方式」「一部委託方式」の3つに分けられます。

自主管理の場合は管理組合が知識のある人材を確保し、マンションの資産価値を維持できるような体制の構築が必須になります。一方、管理会社に委託する場合は、会社ごとのサービス内容や管理手数料の比較が重要です。

それぞれの管理方法に長所と短所があるため、予算や人手などの状況に見合った方式が何かを検討しましょう。

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