管理会社が行う「重要事項説明」はいつ必要?違反事例も解説
マンションの修繕に関する企画・調整や、会計資料の取りまとめなど、管理組合が行うべき業務は多岐にわたります。そんな業務を委託できるのがマンションの管理会社。
ただし委託の際に注意すべきなのが、管理会社の「重要事項説明」という行為です。「重要事項説明って何?」「いつ行われるの?」という方のために、今回は管理会社が行う重要事項説明について解説します。
管理会社の重要事項説明とは
マンションの管理会社による重要事項説明とは、管理会社が管理受託契約の締結などに先立って、管理組合に行わなければならない説明行為です。
なぜ説明義務があるかというと、「マンション管理の適正化の推進に関する法律」という法律で定められているからです。
重要事項説明は、あらかじめ説明に関する書面を交付したうえで、契約範囲や内容について説明することとされています。これにより管理組合は、契約内容を十分承知したうえで契約締結の意思決定をしやすくなるのです。
多くの管理組合員に契約内容を理解してもらうためにも、説明は管理組合の理事長といった「管理者等」だけではなく、原則として「区分所有者等」に対しても行うことが義務付けられています。
そのため管理会社は、こうした説明対象者に集まってもらい「重要事項説明会」を開催する場合があります。
重要事項説明はいつ行う?
重要事項説明会を行う場合、管理会社はその1週間前までに、説明対象者に重要事項説明書と説明会の日時・場所を記載した書面を交付する必要があります。さらにそれらを、マンションの掲示板など見やすい場所に掲示しなければなりません。
加えて、管理組合が総会決議により契約締結の意思決定を行う場合、少なくとも総会前までに重要事項説明を行う必要があります。
説明すべき重要事項は何?
管理会社が説明すべき重要事項は法律と政省令にまとめられており、次の11項目とされています。
①マンション管理業者の商号又は名称、住所、登録番号及び登録年月日
②管理事務の対象となるマンションの所在地に関する事項
③管理事務の対象となるマンションの部分に関する事項
④管理事務の内容及び実施方法(法第76条の規定により管理する財産の管理の方法を含む)
⑤管理事務に要する費用並びにその支払いの時期及び方法
⑥管理事務の一部の再委託に関する事項
⑦保証契約に関する事項
⑧免責に関する事項
⑨契約期間に関する事項
⑩契約の更新に関する事項
⑪契約の解除に関する事項
なお上記は、管理会社の社員であればだれでも説明できるわけではありません。管理会社は「管理業務主任者」という国家資格の保有者に、重要事項説明や説明書への記名・押印をさせる義務があります。
新規契約以外で説明が必要な事例
重要事項説明は、管理受託契約の契約時以外にも行わなければならないケースがあります。それが契約内容の変更時です。
管理受託契約の更新を行う際に、管理組合にとって不利となり得る変更が含まれている場合、管理会社は重要事項説明を行わなければなりません。
例えば、管理受託契約に関する期間延長や費用増額、内容の範囲縮小などがあてはまるでしょう。
説明が一部不要となるケースも
管理受託契約を変更する場合でも、管理組合にとって不利な内容でなければ「区分所有者等」への重要事項説明は不要となります。
例えば先ほどとは反対に、管理受託契約の期間短縮や費用減額、管理委託内容の範囲拡大などが該当するでしょう。
ただしこの場合でも、管理組合の理事長などの「管理者等」への説明は必要となります。
重要事項説明を怠った場合はどうなる?
重要事項の説明義務に違反した管理会社には、監督官庁である国土交通省から監督処分を下されるがあります。違反の程度によって、監督処分の種類は異なります。
例えば、重要事項説明書に虚偽の内容を記載したり、必要な内容が不足していたりすると指示処分という罰則を受ける可能性が。これは比較的軽い処分で、管理会社に対する注意を行うものです。
また、重要事項説明そのものを行わなかったり、重要事項説明書を管理組合に渡さなかったりしたときには、指示処分より重い業務停止処分が決定されるケースもあります。
管理会社に説明義務違反がないか注意
マンションの管理会社は管理受託契約の締結や変更を行う前に、法律・政省令に定められた重要事項を管理組合に説明する義務があります。
そのため管理組合は、管理会社が説明義務違反を犯していないかよく確認しておく必要があるでしょう。
管理業務の外部委託は、マンションの住み心地や資産価値を左右する重要な意思決定。管理組合が契約内容を十分理解し、将来不利となることがないように契約締結をしたいですね。