理事・管理

マンション管理適正評価制度とは? メリットやデメリットを解説

2023.10.06
マンション管理適正評価制度とは? メリットやデメリットを解説

2022年4月にスタートしたマンション管理適正評価制度。定期的にマンションの管理状態について6段階で評価して、インターネットで評価内容を公開する制度です。お住まいのマンションの管理運営をスムーズにして、資産価値の向上につながる可能性もあります。今回は評価項目やメリット・デメリットなど詳しく解説します。

マンション管理適正評価制度とは?

マンション管理適正評価制度5つのカテゴリーに分けた全30項目を6段階で評価

マンション管理適正評価制度とは、マンション管理の状態を数値化して、その結果をインターネット上で公開する仕組みです。建物のソフト面とハード面の両面から全30項目を点数付け。各項目の点数の合計点で、5つのカテゴリーを6段階で評価します。

★★★★★(90〜100点):特に優れている
★★★★☆(70〜89点):優れている
★★★☆☆(50〜69点):良好
★★☆☆☆(20〜49点):改善が必要
★☆☆☆☆(1〜19点):管理に問題があるが、情報開示あり
☆☆☆☆☆(0点以下):管理不全の疑いあり

点数を付けるのは、管理業務主任者またはマンション管理士の資格を持ったプロフェッショナル。客観的な評価基準に基づいて管理状態をチェックします。

マンション管理計画認定制度との違い

マンション管理適正評価制度と混同しやすいのが、マンション管理計画認定制度。名前は似ていますが、認定団体や有効期間が異なります。

・マンション管理計画認定制度:地方公共団体による認定、有効期間5年
・マンション管理適正評価制度:マンション管理業協会による認定、有効期間1年

マンション管理適正評価制度のほうが有効期間が短いため、リアルタイムの管理状態を見てとることができます。また管理適正評価制度は「6段階評価」ですが、管理計画認定制度は「認定or非認定」のどちらかしかありません。

マンション管理適正評価制度で評価される5つのカテゴリー

マンション管理適正評価制度で評価されるのは、次の5つのカテゴリーです。

【カテゴリー1】管理体制

適切な体制を整えて管理が実施されているかをチェック

マンションを良好に管理していくためには、適切なルールや組織が必要です。管理組合の役職や総会の実施状況、管理規約の有無などの基本的なポイントが評価されます。

評価内容の例
・管理者や監事は選任されているか?
・管理組合の総会は年1回以上開催されているか?
・直近5年分の総会議事録が保管されているか?

【カテゴリー2】建築・設備

保守点検や修繕工事の履歴も評価の対象

マンションを長くきれいに使うには、定期的に保守点検や修繕工事をしなければなりません。建築基準法や水道法に則った点検や、過去の修繕履歴などが評価されます。

評価内容の例
・法定点検は実施されているか?報告書は保管されているか?
(エレベーター、貯水槽、消防用設備など)
・総会で承認された長期修繕計画があるか?
・直近5年間の共用部分の修繕履歴情報や竣工図書は保管されているか?

【カテゴリー3】管理組合収支

管理費や修繕積立金を居住者から確実に集め、安定的な財務基盤があることも、管理組合にとって非常に大切なポイントです。そのため各会計や滞納の状況などもチェックされます。

評価内容の例
・管理費会計と修繕積立金会計は分けて経理されているか?
・管理費や修繕積立金の滞納状況は?
・修繕積立金の金額は低すぎないか?

【カテゴリー4】耐震診断関係

建築確認済証の交付年月日が「昭和56年5月31日以前」のマンションは、旧耐震基準で建てられています。耐震性が不十分な可能性があるため、耐震診断の実施状況やその結果、今後の耐震改修の予定なども確認されます。

評価内容の例
・新耐震基準、旧耐震基準のどちらか?
・耐震診断は実施されているか?耐震性に問題はないか?

【カテゴリー5】生活関連

日頃のトラブルや犯罪を防ぎ、災害時に助け合うためにも、住民同士のコミュニティづくりが大切です。そのため消防訓練や居住者名簿などについてもチェックされます。

評価内容の例
・法令上の義務である消防訓練は実施されているか?
・区分所有者および居住者名簿を備えているか?
・災害への8項目の対策はできているか?

マンション管理適正評価制度のメリット

【メリット1】最新の管理状況を“見える化”できる

マンションの住み心地は、立地や間取りだけで決まるものではありません。管理が行き届いていないと生活の質は落ち、ときに建物の老朽化や欠陥につながることもあります。しかし管理状態というのは、一度物件を見ただけではっきりとはわからないものです。

マンション管理適正評価制度を利用すれば、誰が見てもわかりやすい「数字」で管理状況を見える化できます。また有効期間が1年間と短いので、地方自治体によるマンション管理計画認定制度(有効期間5年間)に比べて新しい情報をチェックできるのもメリットです。

【メリット2】管理組合の目標設定をしやすくなる

毎年評価を受ければ具体的な運営方針を立てやすくなる

管理組合によっては、管理状態をより良くしたいけれど、具体的な改善ポイントがわからない場合もあるでしょう。そんなときにもマンション管理適正評価制度が役立ちます。

年1回の健康診断のように管理体制をチェックすることで、今後の改善点が明確に。「この低評価項目を改善しよう」「来年はこの項目でこのランクを目指そう」と具体的な運営方針を立てやすくなります。

【メリット3】市場価値の向上が期待できる

良い評価を受ければ市場価値の向上が期待できる

マンション管理の良し悪しは、売買の意思決定に大きな影響を及ぼします。マンション管理適正評価制度の評価内容はインターネットで公開されるため、良い評価を受ければ購入希望者にも良い印象を与えられるでしょう。売却しようと思ったとき、高く・早く売れるなど有利に働く可能性もあります。

また、適切に建物の点検・修繕を続けることで、劣化スピードが緩やかに。老朽化による資産価値の下落スピードを緩めることにもつながります。

マンション管理適正評価制度のデメリット

マンション管理適正評価制度のデメリットは費用面です。この制度を利用するには、登録料として5,500円(税込)がかかります。また登録料とは別に、管理会社や評価者によって自由に設定される、評価・申請手数料も必要です。

さらに、評価をもとに管理状態を改善しようと思うと、時間や労力がかかります。そもそも評価を受ける必要があるのかという議論が巻き起こる可能性も。不適切な管理が続くことによるデメリットや、評価制度を利用するメリットについて、きちんと区分所有者で共有できるかが大切なポイントになるでしょう。

マンション管理適正評価制度で定期的なチェックを

マンション管理適正評価制度を使うことで、マンションのソフト面・ハード面の双方から現状を見える化できます。各項目に点数が付けられることで課題点もはっきりするので、低評価の項目を一つひとつ改善していくことでより良い管理体制をつくり上げることができるでしょう。適切な管理を続けることで、マンションのリセールバリュー向上にもつながるかもしれません。

この制度に登録するなら、総会の決議が必要です。まずは管理会社等に相談をして、総会決議を経て登録申請を委任しましょう。

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