理事・管理

マンションでも地震保険に加入は必要? 加入の基準や補償内容を解説

2024.04.01
マンションでも地震保険に加入は必要? 加入の基準や補償内容を解説

地震への備えのひとつとして考えておきたい地震保険。マンション住まいの場合、地震保険はどのような仕組みになっているか、ご存知でしょうか。

今回は、マンションの地震保険について解説します。マンションの地震保険は一戸建てと異なる点があるため、加入前の参考にしてください。

地震保険とは?

地震の損害に対する保険

地震保険とは、地震による被害に備える保険です。火災保険とセットで契約する仕組みになっており、地震保険単独では加入できません。

地震保険は、国が関与しながら運営されています。そのため、どこの保険会社で加入しても保険料や補償内容が変わらないという大きな特徴があります。

地震保険で補償される損害

地震保険で補償されるのは、地震や噴火だけではありません。地震や噴火によって起こった津波で、建物や家財が損壊したり流されてしまった場合も補償の対象です。

また通常の火災は火災保険で対応しますが、地震によって火災が起きた場合は火災保険の補償対象外。地震による火災で家が焼けてしまった場合に備えたいなら、地震保険への加入を検討しましょう。

マンションの地震保険の補償対象とは

マンションで地震保険の補償対象となるのは「共用部分・専有部分・家財」の3つです。それぞれの加入者と補償範囲を見ていきましょう。

【1】共用部分

共用部分の地震保険は管理組合で加入する

共用部分とは、マンションの住民が全員で共有して使用する部分のことを指します。具体的には、エレベーター・階段・外廊下・エントランスホール・外壁などです。

共用部分の地震保険には、マンション住民ではなくマンションの管理組合が加入するのが一般的です。
ただし、地震保険は任意のため、加入していないマンションもあるかもしれません。ご自身がお住まいのマンションの共用部分が地震保険に入っているかどうかは、管理組合に問い合わせてみましょう。

【2】専有部分

専有部分とは、マンションの住民が住んでいる個々の部屋で、部屋に住んでいる人だけが使用できる部分を指します。具体的には、部屋の壁や床・天井・壁紙などが専有部分です。ただし火災報知機は共用部分に当たります。

マンションの専有部分の地震保険は、それぞれの部屋に住む各世帯が契約します。

【3】家財

マンションの各部屋で所有している、動かせるものを家財と言います。具体的には、家具・家電・寝具・衣類・調理器具・食器・生活に使うものは家財に分けられます。

動かせる家財であっても、1個が30万円以上の価値がある貴金属・宝石・骨董・有価証券・印紙・自動車などは補償の対象外となるため注意しましょう。ただし地震保険に「特約」という任意の契約をつけることで、補償対象にできる場合もあります。

家財の地震保険は、専有部分と同様に、各世帯が加入します。

マンションで地震保険への加入を決める4つの判断基準

【判断基準1】新耐震基準 or 旧耐震基準

耐震性の高いマンションに住んでいる場合、地震による被害のリスクが抑えられるため、地震保険への加入の重要度は低くなるでしょう。

建築基準法における耐震基準は、1981年6月を境に大きく改正されています。

・新耐震基準(1981年6月1日〜):大規模地震で倒壊しない
・旧耐震基準(〜1981年5月31日):中規模地震で倒壊しない

1981年5月31日以前に建築確認申請を通過した旧耐震の建物では、地震で被害を受けるリスクが上がるので要注意。地震保険への加入する必要性がより高くなるでしょう。

【判断基準2】耐震等級1・2・3

新耐震基準のなかでも、さらに耐震等級1・2・3の3段階に分けられます。

耐震等級1:建築基準法の最低限のレベル
耐震等級2:建築基準法の1.25倍
耐震等級3:建築基準法の1.5倍

最も地震リスクが低いのは、耐震等級3の認定を受けているマンション現行の基準法における耐震性能の1.5倍以上の強さを持っています。場合によっては、被害のリスクが小さいため、地震保険に加入しないと判断されることもあるでしょう。

【判断基準3】地域の地震リスク

地震リスクの確認はハザードマップの活用が有効

建物だけでなく、マンションが建っている地域の地震リスクも確認しておきましょう。

参考になるのが、国立研究開発法人 防災科学技術研究所の「地震ハザードカルテ」です。検索ボックスにマンションの住所を入れるか、地図をクリックすると、今後30年・50年の間に地震が起こる確率を見ることができます。

また地震だけでなく、津波・高潮発生時の浸水の深さも確認しておきましょう。国土交通省による「ハザードマップポータルサイト」などが参考になります。

【判断基準4】資産の状況

手持ちの資産の状況によっても、地震保険に加入すべきかどうかが変わります。

共用部分が地震による被害を受けると、多額の修繕費用が必要になることもあります。修繕積立金が不足すれば一時金などを集める必要になりますが、住民の合意形成がスムーズに得られるかは分かりません。地震保険を付帯しておけば、再建の計画も立てやすくなるでしょう。

専有部分や家財については、国から世帯ごとに支援金も受けられますが、それだけでは修繕費や仮住まいの確保などの費用が足りないことも。地震保険があれば、生活の支えになるでしょう。

マンションの地震保険の加入率は専有部分が7割超!

マンションの地震保険の加入率は専有部分が7割超!

地震保険付帯率とは、火災保険を契約した際に地震保険をセットで加入した割合のことです。

2021年度のマンション専有部分への地震保険付帯率は74.9%で、年々上昇傾向であることが分かります。

マンション共用部分については、専有部分と同様に上昇しているものの、割合としては5割弱の水準です。

マンションの専有部分の地震保険加入と共に、共用部分の地震保険への加入の確認も必要です。

マンションの地震保険で保険金はいくら受け取れる?

地震によりお住まいのマンション・家財に被害が出た場合、保険金は以下の4段階の被害程度によって保険金が支払われます。

マンションの地震保険で保険金はいくら受け取れる?

保険金額の上限は建物5,000万円、家財1,000万円。例えば「建物1,000万円・家財500万円」で契約していた場合、建物について小半損の認定を受ければ「1,000×30%=300万円」の保険金が支払われます。家財が時価の60%以上の損害を受けると、大半損にあたり「500万円×60%=30万円」が支払われる計算です。

なおマンションが地震被害を受けた場合、一棟全体の損害状況によりの損害認定が行われます。もし専有部分の被害が建物全体よりも大きい場合は、専有部分について個別に認定されます。家財については、専有部分ごとに認定が行われます。

地震への備えにマンションの地震保険への加入を検討しよう

地震の多い日本に住んでいる私たちは、普段から地震をはじめとする災害への備えが大切です。地震によって大切な住まいがなくなってしまうリスクも考えて、地震保険に加入しておくことは大きなメリットと言えます。

現在マンションにお住まいの場合、専有部分の地震保険加入はもちろん、加入率が低い共用部分の地震保険についても管理組合に問い合わせておくと安心です。マンションの地震保険への判断基準を元に、地震保険への加入を検討してください。

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