ドアクローザーは一般的には共用部分! 修理費用についても解説
多くのマンションの住戸では、玄関ドアの内側にドアクローザーが設置されています。専有部分である住戸側に位置しながらも、ドアクローザーは共用部分に分類されるケースが多いようです。
今回の記事では、玄関ドアが共用部分か専有部分なのかという点や、修理や交換の費用負担は誰が行うのかについて解説していきます。
マンション標準管理規約ではドアクローザーは共用部分として扱われる
ドアクローザーとは、ドア内側の上段部分に設置される金属製のアームがついた装置です。玄関のドアに付けられている場合が多く、ドアがゆっくりと閉まるように速さを調整する機能を持っています。 ドアクローザーは住戸の内側に面しているため、専有部分だと思われがちですが、実は共用部分に分類されるのをご存じでしょうか?
マンションにおける各住戸の玄関ドアは、外側は共用部分の廊下に面していますが、内側は個人の住戸内にあるため、管理組合と区分所有者、どちらに管理する責任があるのか曖昧になりやすい部分です。
マンション標準管理規約では、「玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする」と記載されており、1枚のドアでも部位によって共用部分と専有部分に分けて解釈可能であるとわかります。
標準管理規約で専有部分に指定されていない、ドア本体や外側の塗装、ドアノブ、ドアチェーンやドアクローザーなどは、すべて共用部分とするのが一般的です。
ドアクローザーの修理費用は各住戸の持ち主が負担するのが基本
ドアクローザーが共用部分として扱われるのであれば、故障した時の修理費用は管理組合が支払うのでしょうか?
ドアクローザーのように共用部分に該当するものであっても、使用者が特定の区分所有者のみに限定されるものは「専用使用部分」と呼ばれます。
原則として専用使用部分は、設備の使用者が個人の責任で管理する対象です。そのため、ドアクローザーの日常の手入れや修繕は住戸の所有者が行う必要があり、故障した場合には自己負担で修理しなければなりません。
ただし、マンションの劣化への対応として、全住戸の玄関ドアの交換を管理組合主導で実施する場合には、交換費用は修繕積立金から支払われます。
曖昧な箇所は管理規約に明記してトラブルを避ける
ここまで、ドアクローザーが故障したときには各住戸の区分所有者の責任で修理することが一般的であると説明してきました。
しかし、実際にはマンションの共用部分と専有部分をどこで分けるのかについて、区分所有法では具体的な定めを設けていません。これは、マンションによって形状がさまざまであるので、法律で一律の基準を設けることが困難なためです。
玄関のドアのように、区域の分類が難しい箇所は、破損が発生した際に責任の所在が曖昧にりやすい部分です。そのため、修理費用を巡ってトラブルが発生しやすいといえます。
そのような事態を避けるためにも、区域の解釈が分かれやすいと考えられる部分は、共用部分と専有部分のいずれに該当するのかをあらかじめ決めたうえで、管理規約に明記しておくと効果的です。
万が一修理費用の支払いについて不満を出されたとしても、管理規約でしっかりと明文化されていれば、明確な根拠となるので納得を得やすくなります。
分類が難しければ標準管理規約を参考にする
今回は玄関ドア各部位の区分けについて解説してきました。
各住戸の玄関ドアは、共用部分と専有部分の境目となるため、解釈が曖昧になりやすい箇所。トラブルを避ける為にも、しっかりと各部位の区分けを管理規約に明記しておくのが重要です。
どのように分類したら良いのか判断が難しい場合には、標準管理規約を参考に「共用部分」とするのが良いでしょう。