
主な侵入ルートはベランダ! 窃盗犯を防ぐ防犯装置や対策は?

空き巣などの住宅を狙った窃盗が、にわかに増えつつあります。
警察庁「住まいる防犯110番」によると、2002年以降は減少傾向にあった侵入窃盗の認知件数が、2023年は前年比でプラス11.3%と増加に転じました。一日あたりの発生件数は約48件と、多くの住宅が被害を受けているようです。
犯罪被害に遭わないためには、防犯装置などの活用が効果を発揮します。たくさんの種類がある防犯装置ですが、それぞれどのような効果を持つかみていきましょう。
「窓」の「ガラス破り」による窃盗被害は多い

警察庁のデータでは、共同住宅における窃盗犯の侵入ルートのうち、「窓」が占める割合は、「表出入り口」に次いで多い結果となっています。3階建て以下の低層住宅における窓からの侵入は38.9%、4階建て以上では24.3%という報告もあり、低層住宅ほど窃盗犯に窓から侵入されるケースが多い傾向です。
ちなみに、窃盗犯が家屋に侵入する手口は「無締り(むじまり)」を狙った犯行が1位でしたが、「ガラス破り」による被害も多いため、鍵を締めていても安心できません。マンションの防犯対策では、窓ガラスを割られないよう強化するか、ベランダへの侵入そのものを防ぐ必要があるでしょう。
防犯対策として有効な防犯装置
犯行抑止から犯人特定まで役立つ「防犯カメラ」

マンションの防犯対策は、「犯人の発見」か「進入口の防犯性強化」を目的にしたもの、大きく2つにわかれます。
犯人の発見を目的とした防犯対策のなかで、一般的に利用されているのが防犯カメラです。犯行時に犯人を特定するだけでなく、視認性の高い場所に設置すれば、それを見た窃盗犯が犯行を諦めるケースがあるようです。このため、ダミーのカメラを設置するだけでも、一定の防犯効果があるとされています。
なお、マンションでの窃盗の多くは夜に行われるため、ベランダに設置する際は、暗視カメラを設置すると良いでしょう。防犯カメラは窃盗犯に破壊されないように、高い場所への設置が望ましいとされています。
「センサーライト」で不審者をいち早く発見!

センサーライトは人の熱や動作を検知し、自動的にライトを点灯する装置です。侵入者を照らすことで、その存在を家主や近くにいる人に知らせることが可能です。家主に反応して点灯した際も、夜間に足下が見えやすくなるメリットがあります。
センサーライトをベランダなどの屋外に設置する際は、防水仕様の製品を選ぶと良いでしょう。乾電池式のものを選べば、電源の位置を気にする必要がなくなるため、設置場所を選択する自由度があがります。
なお、防犯用のセンサーライトのなかには、カメラや警報機能を搭載しているものもあります。
窓に「防犯フィルム」を貼って防犯性UP!
進入口の防犯性を高めるには、窃盗犯に窓ガラスを破られないように強度を高める、ベランダへの侵入自体を防ぐなど、さまざまな方法があります。
窓ガラスの強度を安価に上げたいなら、後付けで今ある窓に施工できる防犯フィルムがおすすめです。ハンマーなどを叩き付けても簡単には破れず、窃盗犯の侵入を防ぎます。割れたガラスの飛散を防止する効果もあるため、台風などが原因の飛来物から住居を守る効果も期待できるでしょう。
なお、防犯フィルムは施工業者が正しく貼り付けないと、本来の性能を発揮しない可能性があります。定められた性能・施工法を満たした防犯フィルムにはCPマークが貼られるので、窃盗犯に防犯性の高さをアピールするためにも、業者に頼むといいでしょう。
「防犯ガラス」を使った窓は簡単には破られない

窃盗犯に窓ガラスを割られるのを防ぐには、防犯ガラスを採用した窓を設置するという選択肢もあります。
防犯性能試験をクリアした製品がリスト化された「防犯性能の高い建物部品目録」に収録されている防犯ガラスは、2枚のガラスの間に特殊な膜が圧着されており、衝撃を受けた際にガラスの飛散を防ぎます。さらに、ガラス自体の強度も高く、簡単には破られない構造となっています。
「忍び返し」は見た目上の抑止効果大

窃盗犯がベランダに侵入するのを防ぐために、侵入防止の忍び返しを設置しているマンションもあります。
忍び返しとは、外部からの侵入を防ぐために塀やフェンスなどの上に設置する、釘のように尖った形状をした防犯用品です。元々は江戸時代の頃に忍者が城に侵入するのを防ぐための仕掛けだったそうで、その名残から名称に「忍び」が使われています。
忍び返しの存在をアピールすることで、防犯カメラと同じように、犯罪の抑止効果に期待できるでしょう。
忍び返しは一般的にフェンスの上や雨樋などに設置します。ホームセンターなどで購入できますが、個人で取り付ける際には、誤ってケガをしないように注意が必要です。
害鳥だけでなく不審者も防ぐ「防犯ネット」
不審者や鳥獣の侵入対策として、「防犯ネット」と呼ばれる製品も市販されています。ベランダの開口部を覆うように配置すると、不審者はネットを破壊、もしくはかいくぐらなければならなくなるので、侵入に手間取る、時間がかかるなどの効果が期待できます。
ほかにも、ベランダに設置するネットには、子どもの落下、虫の侵入、ペットの脱走などの防止を目的としたものもあります。
ガラス割りのハードルを上げる「補助錠」
窃盗犯が窓ガラスを割って侵入するのを防ぐには、従来から窓に設置されている鍵に加えて、補助錠を設置することも有効です。
従来からある鍵とは別の位置に取り付ければ、窃盗犯は窓を2箇所割らなければ屋内に侵入できなくなります。犯行に時間がかかることから、犯罪を事前に抑止する効果も期待できるようです。
補助錠は窓の上部か下部に設置するのが一般的です。設置は業者に施工を依頼する方法のほか、ホームセンターなどで購入した補助錠をDIYで取り付けることもできます。
窃盗犯に狙われやすいベランダの4つの特徴
ベランダにゴミを置く家主は「犯罪意識が低い」??

窃盗犯に目を付けられやすいとされているのが、家主の防犯意識が低そうに見える住まいです。
ベランダに使わなくなった家具などのゴミが放置されていると、家主の防犯意識を疑われることに。さらに、ゴミが死角となって周囲の目から逃れられることから、窃盗犯のターゲットになりやすいといえます。
高い塀や電信柱が窃盗犯の侵入ルートに!
周囲に高い塀や庭木、電信柱、雨樋などがあると、窃盗犯がそれを足場によじ登り、ベランダに侵入する恐れがあります。窃盗犯によっては、一度屋上まで上がってから、ベランダ沿いに住戸に侵入するケースもあるようです。
4階以上の共同住宅でも窃盗被害が報告されている以上、例え高層階でもベランダから侵入される可能性はゼロではありません。侵入の足場になりそうなものがないか確認し、防犯装置を設置するなどの対策をしましょう。
目隠しフェンスは窃盗現場も隠してしまう

フェンスが高く、外部からの視認性が悪いベランダは、プライバシーが守られますが、一方でそれだけ犯行が周囲の目に付きにくくなります。
築年数が古いマンションほど、ベランダがコンクリートの柵で覆われているケースが多くみられます。しゃがむだけで周囲の目から隠れられるため、窃盗犯に狙われやすいといえます。
「女性の一人暮らし」と思わせない工夫が必要
空き巣などの窃盗犯は、犯行前に下見をすると言われています。このとき、家主が女性の一人住まいとわかれば、犯行のターゲットにされる可能性が高まるでしょう。
かわいいデザインのカーテンを設置したり、女性物の洗濯物を干したりしていると、窃盗犯に「家主が女性だ」と察知される恐れがあります。性犯罪やストーカーなどの被害に遭う恐れもあるので、隠す工夫を施すか、犯罪抑止につながるような防犯対策をしてください。
侵入を5分手間取らせれば窃盗犯が退却する!?
「住まいる防犯110番」に掲載された調査結果によると、侵入に2分〜5分手間取ったときに、窃盗犯が犯行を諦める確率は68.5%とされています。防犯装置を駆使して窃盗犯に侵入を手間取らせるほど、家屋への侵入を防げそうです。
また、窃盗犯に犯行を諦めさせるためには、目に付く位置に防犯装置を設置するのも効果的でしょう。さらに、ベランダに不要なものを置かないなど、住人の一人ひとりが工夫をすれば、犯罪の抑止効果を高められます。
ただし、防犯装置のなかには、設置に管理組合の許可が必要なものもあるので、あらかじめ管理規約を確認してから導入を進めましょう。