【管理会社・貸主向け】入居審査はどこを見るべき? 断るコツも紹介
マンションの住戸を第三者に貸し出す場合、入居者によって家賃の滞納や住民トラブルなどの問題が引き起こされるリスクが考えられます。
そのような事態を招かないためには、入居審査で入居希望者にトラブルの原因となるような要素がないか、しっかりチェックしておくことが重要です。
この記事では、入居審査で見るべきポイントを解説していきます。
管理会社・貸主が入居審査で見るべきポイント
貸主と入居者との間でトラブルが起きないためにも、貸主は入居者が部屋を貸しても問題ない人物かどうかを事前に審査しておく必要があります。
審査では、どのようなポイントが重要となるかみていきましょう。
【ポイント1】支払能力
入居審査でチェックするべき最も重要なポイントは、入居者に家賃を支払う能力があるかどうかです。「入居者の年収は家賃に見合っているか」「収入が安定した職業であるか」といった内容を重点的に見ておきましょう。
目安となる年収の基準は、家賃の36倍とされています。例えば、家賃が10万円の部屋では、入居者の年収が360万円以上あることが望ましいでしょう。逆に、年収がそれを下回る場合は要注意です。
また、「勤続年数が短い人は、転職によってすぐに退居する可能性がある」という意見も聞かれます。勤続年数が長い人であっても、転職で退居する可能性はありますが、1つの考え方として参考にしておきましょう。
【ポイント2】連帯保証人の支払能力
近年では、賃貸契約に賃貸保証会社の利用を必要とする物件が増えてきています。
賃貸保証会社とは、物件のオーナーに対して、入居者の家賃支払いを保証する会社です。入居者の家賃滞納が発生した場合、入居者に代わって賃貸保証会社がオーナーに家賃を立て替えて支払います。当然、立て替えた金額を入居者から回収するのも業務の1つです。
オーナーに安心を与えてくれる賃貸保証会社ですが、入居希望者の年収が低すぎると、加入審査が通らない場合も。
そのような場合は、もしもの時に入居者に代わって家賃を支払ってくれる連帯保証人を立ててもらいましょう。
連帯保証人は、誰でもOKという訳ではありません。支払いが可能な十分な収入を持ち、確実に連絡が取れる人物が望ましいでしょう。
多くの場合、入居者の親や兄弟、子供などの親族が連帯保証人になります。連帯保証人の場合も、家賃の36倍が年収の目安です。
【ポイント3】年齢・家族構成
できるだけ長く住んで欲しいのであれば、入居者の年齢にも注目しましょう。
地方から進学してきた学生の場合は、卒業と同時に転居するケースが多いため、2〜4年で退居する可能性が高い傾向です。
30〜40代の子育て世代と呼ばれる年齢層の家庭は、子供の転校を避けたがる傾向があるため、比較的長期の入居が見込めます。ただし、子供のいない夫婦の場合は、その限りではありません。
また、高齢者は孤独死のリスクや金銭への不安から入居を避けるオーナーが多く、借りられる賃貸物件の数が少ないため、一度入居すると長く住む傾向が見られます。
【ポイント4】入居形態
結婚していないカップルの同居や、ルームシェアといった入居形態も考えられます。このような形態で入居する人々は、一般的な家族と比較して、ルームシェアの解消による退居が起こりやすい傾向です。
ルームシェアが解消されると、それまで複数人で支払っていた家賃を残った人数では支払えなくなるという事態が起きるかもしれません。
対策としては、連名契約による締結が考えられます。連名契約とは、入居者全員を契約者とする契約方法です。
通常の契約では、契約者1名のみが入居審査の対象ですが、連名契約では全入居者に対して審査を行えます。さらに、全入居者に連帯保証人を立ててもらえるため、オーナーにとって安心度の高い方法です。
【ポイント5】人柄
入居者の人柄もチェックの対象です。
マンションでの暮らしは、騒音などによって他の住民とトラブルが起こり得るもの。態度が横柄であるなど、人柄に問題がありそうな入居希望者には十分注意しましょう。
また、反社会勢力とつながりを持つ人物が入居を希望する可能性もあるので、「もしや?」と思う入居者に対しては厳重なチェックが必要です。
入居者に求める提出書類
入居審査では、審査に使用する書類の提出もお願いしましょう。
提出してもらう書類は、「身分証明書」「収入証明書」「住民票」「印鑑証明書」などが一般的です。
実際に提出を求めるべき書類の種類は、入居希望者の属性によって異なります。属性ごとに、どのような違いがあるのかをみていきましょう。
フリーランス・自営業
入居希望者が会社員であれば、源泉徴収票で年収を確認できます。しかし、フリーランスや自営業で働かれている人には、源泉徴収票を発行する義務がないため、会社員と同じようにはいきません。
フリーランスや自営業の入居希望者には、源泉徴収票の代わりとなる書類として、確定申告書の写しや納税証明書を提出してもらいましょう。
納税証明書を確認すれば、正しく納税しているかどうかがわかるので、オーナーにとって安心材料となります。
無職
入居希望者が無職であっても、適正な支払い能力が確認できるのであれば、入居を許可しても良いでしょう。
審査時には、預金通帳のコピーや残高証明書などを提出してもらって、支払いが滞りなく行えるかを判断しましょう。
高齢者
高齢者は、若い世代と比べて病気や事故などのリスクが高い傾向です。入居者が単身の場合は、孤独死が発生してしまう可能性も考えられます。
孤独死が発生すると、オーナーは部屋に残された遺品の取り扱いに困ってしまうでしょう。遺品の取り扱いに迷う時は、処分などを行ってくれる連帯保証人がいると安心です。
高齢者との契約で、孤独死の不安を感じる場合は、賃貸保証会社の利用がある場合であっても連帯保証人を立ててもらうようにしましょう。
外国人
外国人から入居希望を寄せられる場合も考えられます。
外国人の入居審査をする際は、どのくらい日本に滞在する予定なのかもしっかりと確認しておきましょう。
中長期在留者を対象に発行される「在留カード」は、ある程度の期間日本に滞在すると判断できる書類です。
また、日本の永住権を取得している人物であれば、長期間の居住が期待できます。在留カードの在留資格が「永住者」となっていれば、永住者に該当すると判断可能です。
滞在予定を確認できる公的書類が一切ない場合は、不法滞在者である可能性も考えられるため、しっかり確認しましょう。
入居を拒否するときの対処法
入居を断る場合、希望者に対してその旨を通知する義務はありません。しかし、後々トラブルを招いてしまうかもしれないので、断りの連絡は入れておいた方がベターです。
入居を断られた希望者は、それを機にまた別の物件探しを再開させる可能性が高いので、入居希望の拒否を決めたら、なるべく早く希望者に連絡しましょう。
また、審査のために提出してもらった書類も返却手配を行います。書類には、個人情報が記載されているので、取り扱いには十分な注意が必要です。
長く住んで欲しいなら支払い能力以外の要素もチェック
今回は賃貸住宅の入居審査について解説しました。
入居審査では、第一に入居希望者に十分な支払い能力があるかどうかが重要となります。できるだけ長く住んでもらいたいのであれば、年齢や家族構成などにも注目して審査を進めましょう。
入居を断る場合は、できるだけ早い連絡と書類の返却手配もお忘れなく。