理事・管理

賃貸借契約の更新料は家賃の1~2ヵ月分が相場! 地域性にも注目

2023.03.31
賃貸借契約の更新料は家賃の1~2ヵ月分が相場! 地域性にも注目

マンションの区分所有者であっても、転勤などさまざまな理由で引っ越しを余儀無くされる状況は起こり得るでしょう。この時、住戸を売却するという選択肢以外に、住戸を賃貸物件として他人に貸し出すという選択肢もあります。

賃貸オーナーになるなら、賃貸借契約の基本を押さえておきたいもの。今回の記事では、その中から「更新料」について解説していきます。

賃貸借契約更新のために「更新料」がかかる場合がある

契約条件に更新料の設定があれば契約時に更新料が発生

「更新料」はマンションの賃貸借契約で発生する費用の1つです。契約条件に更新料が設定されている物件では、入居者は賃貸借契約を更新する際に更新料を支払わなければなりません。

マンションやアパートの賃貸借契約では、一般的な契約期間は2年間です。これは、借地借家法第29条で「期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす」と定められていることが影響しています。

期間の定めがない建物の賃貸借では、「賃貸借契約の解約は1ヵ月以上前に申し出なければならない」といった解約のルールを定められません。そうなると、不動産会社やオーナーにしてみると、入居者が退居した後に次の入居者を見つけるまでの準備期間がとれなくなるなど、非常に不利な契約条件となってしまいます。そのため、ほとんどの物件が契約期間を1年に設定するのを避けており「契約期間=2年」が主流となっています。

更新料の相場は家賃の1~2ヵ月分

更新料の支払いは、法律によって定めらているものではありません。そのため、更新料の金額はオーナーが自由に決められます。

国土交通省が実施した「令和3年度住宅市場動向調査」によると、「更新料の金額は家賃の1ヵ月分である」という回答が最も多く、更新料の支払いがある賃貸物件全体の80%を占める結果となりました。

また、更新料の有無もオーナーの判断で決められます。そのため、なかには更新料の支払いがない物件も。

更新料は、地域によって扱いに差があるものです。地域別にみてみると、更新料の支払いがないのが普通とされる地域や、更新料は取るけれども、金額が家賃の1ヵ月分よりも安かったり高かったりといった違いがあります。

例としては、東京では更新料が発生する賃貸物件が大多数を占めていますが、大阪ではほとんどの物件に更新料がかかりません。

更新料を受け取るのはオーナーだが、管理会社へ手数料の支払いが必要

賃貸借物件のオーナーが自分で入居希望者を募るのは、手間もリスクも大きいもの。そのため、ほとんどの場合は賃貸管理会社に、入居者対応や住戸のメンテナンスを依頼します。

入居者が支払う更新料は、物件のオーナーが受け取れます。しかし、オーナーもまた、管理会社に対して更新手続きの事務手数料の支払いが必要です。

賃貸借契約の期間満了時期が近づくと、管理会社は「更新確認書」という更新の有無を確認するための書類を作成して、入居者宛に郵送します。入居者が更新を希望する場合、管理会社は新たな契約書類の発行など諸々の手続きをしなければなりません。

事務手数料は、このような更新手続きに関連する事務作業にかかる費用で、金額の相場は家賃1月分の半額とされています。

入居者が支払った更新料は、管理会社によって事務手数料分の金額を差し引かれたうえでオーナーに支払われるのが一般的です。

更新料を設定するなら契約条件への記載が必要

賃貸借契約書に更新料の支払いについての記載がなければ更新料を請求できない

前述の通り、更新料の支払いはオーナーが独自に設定するもので、法律上の義務ではありません。そのため、賃貸借契約書に更新料の支払いについての記載がなければ、入居者に更新料を請求できません。

2年に1度が一般的であるため、頻度は多くありませんが、家賃1月分という金額は家計への負担が大きいもの。そのため、賃貸借契約に更新料を設定しない場合、入居者への物件のアピールポイントになります。

空き室リスクが心配なオーナーは、更新料を設定しないという選択も1つの手といえるでしょう。

更新料が家賃滞納への備えとなる

オーナーが更新料を設定するメリットは、収入の増加です。家賃滞納や入居者が退去した後に空き家期間が発生してしまうと、オーナーが想定していたよりも毎月の家賃収入が不足してしまいます。更新料の受け取りは、そのような状況への金銭的備えとなるでしょう。

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が2021年4月~2022年3月に実施した「賃貸住宅市場景況感調査」によると、賃貸物件で支払い期日の30日以降も入金されない「1ヵ月滞納」の滞納率は全国平均で0.9%となりました。これは賃貸物件の約110件に1件滞納が起きているということです。滞納が決して珍しいものではないと考えられるのではないでしょうか。さらに、60日以降入金がない「2ヵ月滞納」も0.4%程度という結果となっています。

さまざまな事情によって、入居者が突然家賃を支払えなくなる可能性は否定できません。唐突な収入の減少を不安に思うオーナーは、契約更新料を設定しておくと安心につながります。

ただし、更新料が一般的ではない地域では、更新料を設定してしまうと入居者獲得への障害となってしまうかもしれません。地域の傾向に合わせて検討しましょう。

更新料の設定は地域性を指針に行うと安全

今回は賃貸物件の更新料について解説してきました。

更新料には法律上の定めがないため、金額や支払いの要・不要はオーナーの意向で決められます。

賃貸オーナーにとっては魅力的な更新料ですが、地域性がある点も見逃せません。地域の相場から、かけ離れた設定をしてしまうと入居者探しに苦労するかもしれないので、十分検討しましょう。

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