管理会社の変更には8つの手順が必要! 変更のお知らせの例文も紹介
マンションの管理会社に不満があるなら、委託先の変更を検討しましょう。
管理会社の変更をスムーズに、失敗しないように行うためには、正しい手順で進めるのが重要です。この記事では、マンション管理会社変更の手順について解説します。
管理会社を変更する理由は?もっとも多いのは「サービスへの不満」
多くのマンションでは、共用部分の清掃や設備の点検など、さまざまな管理業務をマンション管理会社に委託しています。総会や理事会のサポートも行ってくれる、管理組合にとっての頼れるパートナーともいえる管理会社ですが、もしもサービスに不満があれば別の会社へ変更が可能です。
管理会社を変更する理由は「管理会社や担当者の対応に不満がある」という内容が多くみられます。具体的には、「実務内容に対して管理費が高額過ぎる」「修繕工事の見積もり依頼を1社だけにしかしてくれていない」といった理由があるようです。
似たような不満が自分のマンションの管理会社にも当てはまるのであれば、管理会社の変更を検討をしてみてもいいかもしれません。
管理会社変更のための8つの手順
管理会社の変更は、総会で管理組合の承認を得られれば実施できます。ただし、現在の管理会社に不満があるからといって、闇雲に変更するのはおすすめできません。なぜなら、一層質の悪い業者に当たってしまうリスクも考えられるためです。
ここからは、失敗やトラブルを避けるための管理会社の変更手順を紹介していきます。
【手順1】現在の管理会社の問題点を確認する
まずは、現在委託している管理会社の問題点の洗い出しから着手しましょう。この点が明確にできていないと、「せっかく管理会社を変更したのに改善がみられない」といった状況に陥ってしまうかもしれません。
「どのような点に不満を感じるか」「どのようなサービスを持つ管理会社なら改善が期待できるか」といった内容を明確にしておくと、後で新規の管理会社を選定する指針となります。
より詳細に問題点を把握するために、管理組合全体に向けて管理会社に対する満足度をアンケートで聞いてみるという方法も有効です。
【手順2】管理会社の選定・見積もり依頼
現在の管理会社の問題点が把握できたら、次は新しい管理会社の選定です。さまざまな管理会社のホームページなどをから、問題改善に期待ができる業者を吟味しましょう。
ある程度まで候補が絞れたら、気になった管理会社に対して見積もりを依頼します。見積もりは1社だけではなく、必ず複数の業者に依頼して、良かった点・悪かった点を比較できるようにしておくのがポイントです。
管理会社が見積もりを作成するためには、マンションの現地調査をしなければなりません。理事会役員など、管理会社変更の担当者は、現地調査に立ち会うために管理会社との日程調整が必要です。
また、見積もりを依頼する際に、現在の管理会社との管理委託契約書や直近の総会議事録などの書類の提出を求められる場合もあります。
【手順3】管理会社の選考・決定
現地調査から一定期間が経過すると、管理会社から提案書、見積もり書などの書類が送られてきます。
ここまでくれば、次は最終選考です。各社の資料を吟味して、残った候補に最終選定のためのプレゼンテーションを依頼しましょう。プレゼンテーションの結果を受けて、理事会から推薦する新規管理会社候補の1社が決まります。
理事会以外から意見を聞きたい場合は、必要に応じて管理組合員にプレゼンテーションへの参加をお願いしましょう。
【手順4】管理会社変更の総会準備
新しくお願いしたい管理会社が決まったら、総会の準備をします。どうしても急いで管理会社を変更したいのであれば、臨時総会を開くという手もありますが、そうでなければ年に1度の通常総会で決議すると手間が少なくなるでしょう。
準備する内容は、総会議案書の作成と全組合員に向けての配付です。議案書には、管理会社変更についての議案を記載しておきましょう。
議案書の作成は、一般的に変更前の管理会社が行います。ただし、対応に不満があるため任せるのが不安であったり、「これから契約解除するのに頼みづらい」と感じたりする場合は、新しい業者にお願いするのも手です。
【手順5】総会にて重要事項説明・変更の審議
総会当日は、あらためて管理組合変更についての議案提出に至った経緯などを説明し、新しいマンション管理会社候補に関わる重要事項の説明を行います。現在の管理会社から変更すると、どのようなメリットに期待できるのかが、正しく理解してもらえるように説明しましょう。
説明後に、議案の決議にうつります。管理会社の変更議案は、総会参加者全体の過半数から賛成を得られれば可決となります。
なお、理事会で管理会社の変更を決めてから総会で決議されるまでにかかる期間は、4ヵ月程度が平均です。
【手順6】現行の管理会社と管理委託契約を解約
総会で無事に変更が可決されたら、現行の管理会社に正式に解約通知をします。
一般的に、管理会社との業務委託契約を解約する場合は、実際に解約する3ヵ月前までに通知が必要です。そのため、通知後も少なくとも3ヵ月間は、現行の管理会社への管業務委託が継続します。
ただし、通知期間の条件は契約内容によって左右されるため、この限りではありません。解約通知期間について契約書に記載がないかを事前に確認しておきましょう。
【手順7】管理会社と管理委託契約を締結
新しい管理会社との委託契約の締結も必要です。
契約書の内容を確認して、想定していた条件と齟齬がないか確認しましょう。後々大きな問題になりかねないので、不明瞭な箇所がある場合はそのまま放置せずに、担当者に質問して明確にしておくことが重要です。
不安がある内容については、契約書へ追記する形で明文化できないかも相談してみましょう。
【手順8】新管理会社に引継ぎ
実際に管理会社が入れ替わる前に、引き継ぎをしておかなければなりません。引継ぎの内容は、これまでの修繕記録や管理会社が管理する書類、共用部のカギの引き渡しなどがあります。
ほとんどの場合、引き継ぎは管理会社同士で行う場合が多いですが、理事会もしっかりと立ち会って、不安な箇所がないかをチェックしておくと安心です。
管理会社の変更をマンション全体へ通知
管理会社の変更が正式に決まったら、マンション居住者への周知も行わなければなりません。
大きいマンションでは特に、変更後になって「知らされていない」といった声が出される場合が懸念されるので、実際に変更されるおよそ2ヵ月前までには、全住戸に対して案内を配布しておきましょう。
管理会社変更のお知らせ例文
お知らせには以下の4つの要素を入れるようにしましょう。
・簡単な挨拶
・変更日
・新管理会社
・お問い合わせ窓口
どのように書いたらいいのかわからなければ、以下の例文を参考にしてください。
【例文】
「管理会社変更のお知らせ」
この度、日々の管理業務を委託している管理会社が、現在の○○社から△△社へ変更することとなりました。令和x年x月x日から、変更となります。管理会社の変更についてご不明点がある方は、以下の連絡先にお問い合わせください。
変更日 : 令和x年x月x日
変更後管理会社 : △△社
お問い合わせ : □□□-□□□-□□□
現在の管理会社への不満を踏まえて選ぶ
今回は管理会社の変更について解説しました。
変更する際には、事前に現在の管理会社に対して不満に思う点を洗い出して、改善に期待ができる業者を選ぶようにしましょう。比較して選ぶためにも、見積もりの依頼は必ず複数の業者に依頼するというのも重要なポイントです。