自治会で起こりがちなトラブルとは? 事例も紹介!
各地域住民によって組織・運営を行う任意団体である、自治会。加入について義務ではないためか、具体的な規則やルールが明示されていないことがよくあり、トラブルに発展してしまうことも少なくありません。
この記事では、そんな自治会で起こりがちなトラブルや対処法を解説していきます。
自治会で起こりがちなトラブル事例
自治会への参加は本来任意とはいえ、会費を納めなかったり役員を断ったりすると、思わぬトラブルに遭遇することもあります。以降では、考えられるトラブルを改めて整理してみました。
【トラブル1】知らないうちに自治会役員に……
自治会の役員になると、定期的に開催される会議に出席するなど、業務面で負担を感じることもありそうです。そのため、役員をやりたがらない人が多いのも現実ではないでしょうか。
役員の担当が輪番制になっているならまだしも、特に高齢化が進む地方の自治会だと役員の業務をこなせるだけの気力体力がある人が少ない傾向にあるためか、若い世代が優先的に役員に選ばれるといったことも少なくありません。
任意団体であるにも関わらず加入を強制されてしまい、住民なら参加をするのが当然と考えてきた世代と、そうではない若い世代の間でトラブルに発展してしまうケースもあるようです。
【トラブル2】高額な寄附金を要求される
自治会の活動は多くの場合、会員から集めた会費で運営されます。ところが、活動内容や支払った会費の使用用途に意義を見出せないなど、出費を負担に感じる住人の方もいるのではないでしょうか。月に換算すると数百円から数千円程度の出費とはいえ、会費の滞納がトラブルの火種に発展する可能性もあります。
また、なかには公民館の新設工事のためなどで一世帯数十万円もの高額な寄付金を要求され、断ったら自治会から強制的に退会させられる(=ゴミも出せなくなる)と脅されるトラブルが発生したケースもあるようです。
【トラブル3】入会を断ったらゴミ出しを制限された!
自治会への入会を断ったら「ゴミ出しをさせない」と、ゴミ集積所の使用を制限されてしまい、トラブルになった例があります。自治会側の言い分としてはゴミを出す集積所は自治会に加入する全員で管理しているため、自治会に入らないと、集積所を使えないということ。この例では確かに自治会側は集積所の掃除当番を持ち回りで担当し、カラス対策のネットの購入などをしているケースもあります。とはいえゴミ集積所の使用を制限されては、入会を断った当事者は普段の生活に支障をきたしてしまいます。
なお、このトラブルではゴミ出しを制限された当事者と自治会役員、さらに自治体の職員を加えて話し合いが持たれました。自治会の役員などの活動は免除するものの掃除当番などできることはきちんと負担することで、集積所を利用できるようになったそうです。
自治会でのトラブルは自治体に相談してみよう
トラブルが発生した場合、自治会の代表者へ相談をする方法も考えられますが、とはいえ役員や自治会自体がトラブルの原因になっている場合はそうもいきません。
そのため、もしトラブルに遭遇したら自治体(役所)へ相談するといった流れが基本となるでしょう。自治体へ相談しても解決しそうにない場合は、弁護士への依頼も検討したいところ。弁護士に相談するのであれば、過去に自治会絡みの案件を担当した実績があるかどうか、事前に確認しておくと良いでしょう。
トラブルが起こり得る自治会は本当に必要?
慣習で行われる行事や不明瞭な目的の会合などに、不満を持つ住人も少なくありません。自治会を不要と感じている若い世代もいるでしょう。しかし若い世代が自治会へ加入・参加しないとなると、会員の高齢化が進み、運営が滞るといった事態にもなりかねません。
では、改めて自治会の役割とは何か?
例えば、自治会に参加して地域の方々と親睦を深めておけば、万が一の災害時などでも助け合うことができます。地域の人と普段からコミュニケーションを取っておくことで、良好な人間関係を保てられれば、無用なトラブルも回避できるのではないでしょうか。
また自治会は地元の幼稚園や小学校と連携した交通安全活動のほか、子ども会やお祭りなどのイベントを企画・運営していることもあります。学校以外で子どもたち同士が接する機会を作ることができますし、先生や親以外の大人との接点が増えることで、地域全体で子どもを育てていくことにもつながるでしょう。
行政の手の届かない高齢者のケアを行う意味でも、やはり住みやすい町づくりには自治会が必要だといえるのではないでしょうか。
自治会も時代に合った形へと改善する必要がある
若い世代に加入してもらうためにも、やりたくない人に「これはやってきたことだから」「前からのやり方だから」と押し付けるのではなく、自治会も時代に合ったかたちに改善していくことを検討したいところ。
例えば「ITの活用で回覧板や広報紙の配布を最小限にする」「そこまで必要性を感じない行事や会合の実施を見直す」「加入を自由化する」など、若い世代が参加しやすい仕組みを整えていきましょう。
人が暮らしていく以上、コミュニティの存在は大切
これまでの慣習から強制的に役員を担当させられたり、高額な寄附金を請求されたりと、トラブルに発展してしまうケースもある自治会。
一方で人が暮らしていく以上、自治会のような地域住人と接点を持てるコミュニティの存在はやはり必要ではないでしょうか。自治会を運営する側は加入の自由化やこれまでの行事・会合の見直しなど、若い世代が負担なく参加できるような環境を整えていくことも検討していきましょう。