自治会が抱える問題点って? 加入するメリットは本当にあるの?
地域住民の親睦や防犯・防災の場として機能している自治会。どういった問題点を抱えているのでしょうか。
この記事では自治会の現状を踏まえて、問題点を改めて考えてみました。
自治会の現状とは?
自治会の問題について考える前に、まずは現状を整理してみました。
【現状1】加入率は減少している
近年ではSNSの普及で手軽に趣味や世代といった括りでつながりやすくなり、プライベートを縛られたくないなどの理由から、加入率が下がっているという自治会。
東京都が実施した「東京の自治のあり方研究会最終報告」によると、自治会加入率は年々右肩下がりであることを示すデータもあるようです。
インターネット上では町内会の活動に対して「道路のゴミ拾いは行政がやればいい」「回覧板が面倒」などとの意見も出ており、「不要論」も飛び交っているといいます。
また、会員の高齢化が進んでいることで若い世代に向けた発信が難しいこともあり、そもそも自治会の存在が認識されていないケースもあるようです。
【現状2】高齢化による担い手不足
自治会会員の高齢化が進み、会長や役員の担い手が不足している地域もあります。若い世代の会員が不足することで、自治会の活動も縮小せざるを得ない現状もあるでしょう。
自治会が抱える4つの問題点
会員の減少や担い手不足という現状があるなかで、こういった状況に陥ってしまった自治会の問題点とは何なのでしょうか。
【問題点1】役員に負担が集中している
自治会の役員になると、どうしても活動の負担は重くなります。休日が潰れるだけでなく、平日に会合が行われる場合は、仕事との両立も難しくなってくるでしょう。
また、なにかあるとすぐに電話がかかってきたり、突然自宅を訪問されたりするようであれば、なかなか気持ちも休まらないといえます。
【問題点2】高齢者に合わせた古いルールのまま
会員が少ない自治会などでは、毎年決まった人が役員になる傾向があります。
特に高齢者の役員がいる場合は連絡手段が対面や電話、紙の回覧板などに偏ることが多く、デジタルネイティブと呼ばれるインターネットやIT機器に当たり前に接してきた世代からすると、面倒くさく感じる部分も多いでしょう。
【問題点3】任意団体にもかかわらず加入を断れない
自治会は任意団体のため、本来加入の義務はありません。しかし加入しないとゴミ出しを制限されたり、ご近所付き合いに支障をきたしたりするケースもあり、仕方なく自治会に入る人も多いといえます。
また、会員になると役員への就任が当番制で決まっていたり、イベントへの参加を強要されたりするなど、なかなか断れないケースもあるようです。
さらに、地域の神社や赤い羽根共同募金などの寄付金を強制的に取る自治会も存在し、トラブルに発展するケースもあります。
【問題点4】お金の流れが不透明
会費の使途・管理が不透明な自治会も珍しくありません。会計に関する書類の作成や公開を、会員に行わない自治会もあるくらいです。なかには、管理しているお金の横領が起こったケースもあるといいます。
会員にとっては会費が適切な使われ方をされないのであれば、自治会そのものが不要と考える人もいるのではないでしょうか。
問題点も多い自治会……本当に加入するメリットはある?
ここまで紹介してきた現状や問題点を踏まえると、自治会への加入に疑問を抱いてしまう人はいるかもしれません。
とはいえ、自治会にはもちろんメリットもあります。
【メリット1】災害時にお互いを助け合える
とくに災害時には警察や消防の助けが行き届かないケースも多いといいます。そのため日頃から自治会主導で避難場所の確保や防災訓練を行っておくことで、万が一の災害時にも地域住民の生存確率を上げるきっかけにもなるのではないでしょうか。
自治会のなかには「災害の初期には行政に頼らず自分たちで乗り切る」をモットーに、日頃から防災意識を高めているケースもあるほどです。
【メリット2】日常生活の安全を確保できる
自治会を通して地域住民同士が顔見知りになっておけば、老人や子どもの見守りにつながることもあるでしょう。また、加入者同士で不審者情報を共有し合うことで、防犯意識を高めるきっかけにもなるかもしれません。
【メリット3】幅広い世代との交流が社会性を身につけるきっかけにも
1人暮らしの方のなかには、生活を干渉されたくないと思う方も多いかもしれません。
ただ子どもにとっては、学校以外のコミュニティで幅広い世代の大人と触れ合うことで、社会性を身につけるきっかけにもなります。家庭だけでなく地域全体で、これからの未来を担う子どもたちを育てていくことにもつながりそうです。
自治会も時代に合わせて変化していく必要がある
SNSの普及や活動の負担を重荷に感じる人の増加などの背景から、自治会への加入者は減少傾向にある現在。とはいえ、災害時に行政の手が行き届かない部分を補う役割や、地域全体で子どもたちを育てていけるなどの機能もあります。
そのため特に若い世代が参加しやすいように、自治会の運営方法を見直すことも検討していきましょう。