自治会への加入を強制された! 拒否するとどんな問題が起きるの?
自治会への加入を巡っては、「活動が面倒」「会費が高い」などの理由で本当は入りたくないが、半ば強制のように勧誘されて困るという声もあります。
今回は自治会への参加はそもそも義務なのか、また加入を拒否するとどんな問題が起こるのかについて解説していきたいと思います。
自治会への加入は義務ではない!
地域の自治会は、あくまでも「任意団体」という位置づけです。そのため、該当する地域で暮らしていたとしても、加入の義務はありません。もちろん一度加入したあとで、自由に退会することもできます。
なお自治会に加入すべきかという判断は、地域の事情や家族構成によっても大きく変わります。都市部など、自治会活動が活発ではないエリアの一人暮らしや、転勤がある方であれば、影響は少ないかもしれません。しかし、子どもがいて今度もずっとその地域で暮らすという場合は、入会した方が住みやすくなるケースも多いでしょう。
もし迷ったら、「どんな活動をされていますか? 少し考えてからでも良いでしょうか?」といったん保留し、しばらく地域の様子を観察してみるのもおすすめです。
裁判でも「加入は強制できない」と認められている!
自治会の加入に関する自由は、過去の判例でも認められています。
今回は裁判で「自治会は一方的に退会できる」「過度な加入の強制は慰謝料の対象」と認められたケースを見ていきましょう。
【判例1】自治会の退会は自由と認められたケース
まずは平成17年、最高裁により「自治会は自由に退会できる」と認められた事例です。
この「自治会費等請求事件」は、埼玉県営住宅の自治会と住民の間で起きたトラブルです。当初、住民は自治会費を払っていましたが、役員への不満から不払いとなり、結果的に退会を申し入れました。しかし自治会側は退会を認めず、未納分の自治会費の支払いを求めて、裁判所に訴えたのです。
結果的に最高裁では、「退会宣言前の自治会費は支払わなければならない」としたものの「一方的な宣言であっても自由な退会を認める」としました。
公営住宅での事例ですが、一般の自治会でも同様の判断が下される可能性は高いといえます。
【判例2】過度な強制に対して慰謝料が命じられたケースも
さらに別の事例では、自治会加入に関して執拗な勧誘が行われたとして、慰謝料の支払いが命じられたケースもあります。
福岡高裁平成26年2月18日判決では、「自治会加入強制により、精神的苦痛を与えられた」という判断から、不法行為責任が認定されました。慰謝料の金額は5万円です。
この事例では、「居住する資格がない」といった内容の文書を渡すなど、執拗な勧誘が行われたそう。
一般的な勧誘が問題となるわけではありませんが、自治会側は「加入は自由意思」という前提を頭に入れて勧誘しなければなりません。
自治会の加入を拒否するとどんな問題が起きる?
自治会に加入したくないとはいっても、加入しないと何か不便が生じるのではないかという不安もありますよね。
自治会に加入しない場合、どのような問題が起きるのか念のため見ていきましょう。
【問題1】ゴミ集積所の使用を制限される
自治会への入会を断ったところ、「自治会がゴミ集積所を管理しているから、使わせない」と言われてトラブルになった例があります。
もし自治会が管理しているゴミ集積所の場合、市などの自治体から「非自治会員も捨てられるように」と指導してもらうのは難しい現状があるようです。
しかし各市町村では、自治会への加入状況にかかわらず、住民のゴミを回収する義務があります。そのため自治会のごみ集積所が使えない場合、市町村に直接収集の依頼をするなどの方法が考えられるでしょう。
【問題2】自治会主催のイベントに参加できない
非会員の場合、自治会主催のお祭りや子ども会のイベントなどに参加しにくくなるという悩みも。
大人にとってはデメリットに感じられないかもしれませんが、小学生くらいのお子さんがいる場合は、友達と遊べないことで悲しい思いをさせてしまうかもしれません。
また、自治会によっては子どもの入学祝い金などのリターンがあるケースもあるといいます。
自治会入会の判断基準は地域によっても異なる
自治会に加入すべきかという判断は、地域の事情や家族構成によっても大きく変わります。
都市部など、自治会活動が活発ではないエリアの一人暮らしや転勤がある方であれば、影響は少ないかもしれません。しかし、子どもがいてこれからもずっとその地域で暮らすという場合は、入会した方が住みやすくなるケースも多いでしょう。
もし迷ったら、「どんな活動をされていますか?少し考えてからでも良いでしょうか?」といったん保留し、しばらく地域の様子を観察してみるのもおすすめです。
自治会の活動内容をよく調べてから加入を検討しよう!
自治会への加入は強制ではなく、自由に退会もできます。しかし、子どもの地域への参加やご近所との関係を考えると、やはり加入するメリットもあるでしょう。自治会の事情をよく調べてみて、活動内容に納得したうえで加入すべきか判断することが大切だといえそうです。