自治会の会計担当の業務は? 基本からトラブル回避方法まで紹介!
住民から納めてもらった自治会費などを管理することになる、会計担当者。この記事ではそんな会計担当に初めて就任する方に向けて、業務内容やトラブルを避けるための方法などを紹介していきます。
会計担当者の主な業務内容とは?
自治会の会計担当に就任したものの「何をするの?」という方に向けて、まずは業務内容をまとめてみました。
【業務1】旧会計から新会計への引継ぎ
会計担当になった場合、最初に旧会計担当からの引き継ぎが行われるかと思います。業務内容の引き継ぎはもちろん、会計帳簿や通帳、印鑑なども預かることになるでしょう。
また旧会計担当者から引き継いだ内容は、いずれ次の会計担当者に引き継ぐことも忘れないように。お金の管理以外にも任期中に感じた注意事項などをその都度メモしておき、次の担当者にスムーズに引き継げるような準備をしておきましょう。
【業務2】収入・支出を帳簿で管理する
会員に納めてもらう会費や寄付金などの「収入」だけでなく、総会で承認された予算に基づく「支出」なども帳簿で管理することになります。
厳格には定められていないものの帳簿を通じて取り扱うことになる、収入と支出の項目については以下でまとめてみました。
なお、一口に帳簿といってもさらに「現金出納帳」「預金出納帳」の主に2つに分かれます。現金出納帳はすべての現金取引における収入や、支出金額などを記録する書類。今お金がいくらあって、いつ何のために使ったのかを見える化していきます。領収書をもとに、日付や金額などを記載していきましょう。
一方で預金出納帳は、銀行の口座別に入金・出金のすべてを記録していくための書類。預金通帳と金額が一致するように、定期的に情報を更新していく必要があります。
これら2つの分類があることも、あわせて覚えておきましょう。
【業務3】「決算報告書」や「収支予算書」の作成
そもそも「決算報告書」とは、1年間に「いくらの収入があり、どのような活動にいくら支出したか」を報告する書類。1年間の会計の状況を伝えるだけでなく、今後の活動について計画するためにもなくてはならない書類といえます。
会費がどのように使われているか、お金の入出金が適正か、年間を通して赤字か黒字かなどの確認に使用することになるでしょう。なお自治会のような比較的規模の小さい組織では、収支の記録や予算使用項目などを記した、シンプルな決算報告書であることが一般的です。
また、これから1年間の活動予定をもとに、何にどこまで予算を振り分けるのか把握するための書類を「収支予算書」といいます。決算報告書も参考にしながら、収支予算書に次年度の予算配分について記載していくことになるでしょう。
【業務4】総会での会計報告
マンションと同様に自治会でも、年1回程度の頻度で総会が開催されます。総会では、作成した決算報告書をもとに会計報告を行うのも会計担当の役割です。
なお自治会によっては、定期的に会計監査を実施する場合もあります。会計監査では決算報告書や収支予算書、帳簿や領収書など会計に関わるすべての書類を準備。そして会計監査を実施する人に必要書類を提出し、自治会の会計担当者は質問を受けたら答えるなどの役割も担います。
会計トラブルを避けるために事前にできることは?
自治会退会者との行き違いや使用目的が不明な支出など、会計時のトラブルを避けるためにも事前にある程度の対策を実施しておきたいところ。以降で、事前対策を4つ紹介していきます。
【対策1】自治会費のルールを決める
自治会などの任意団体は、法律で定められた規則は存在しません。そのため支払いトラブルを未然に防ぐためにも、自治会ごとに会費に関するルールを明確化しておきましょう。以下で主なルールをピックアップしてみたので、ぜひ参考にしてみてください。
・1人あたりの会費の金額
・年度途中の新規加入者について、いつから会費を払ってもらうか
・1年払いの場合、年度途中の退会者について払い戻しを行うか
・会費を納めてもらえないケースはどのように対応するか
1人あたりの会費の金額などはどの自治体でもおそらく決めているかと思いますが、会費を納めてもらえないケースの対応まで明確化しておくと、滞納者が増えてしまうといった事態も防げるでしょう。
【対策2】領収書を渡す・受け取る
支払いの有無を明確にするために、会費を受け取った後は領収書をその場で渡すようにしておきましょう。このとき発行者の「署名」または「捺印」を行い、正式な領収書であることを証明します。なお、集金した自治会費は共通の口座ですぐに預け入れを行うこと。手渡しではなく振り込みを利用すれば、通帳で取引履歴を確認することもできます。
また自治会が管理するお金を使う場合、使用目的が把握できるように、出金を依頼した者から領収証やレシートを受け取ることも忘れずに。管理しているお金を使用する前に、出金依頼書を通して出金の理由や金額、出金を承認する第三者の氏名なども記載してもらえると安心です。
【対策3】引継ぎは第三者に立ち会ってもらう
会計の引継ぎではお金を管理するために大切な通帳や印鑑などの受け渡しも行うため、万が一の不正がないように、第三者の立会いのもと実施しましょう。その際、前任者とともに帳簿と通帳の金額が合っているかどうか、確認することも大切です。
【対策4】自治会費を納めやすい仕組みつくる
会費の支払いにおいては、支払わない人や遅延する人もなかにはいます。そういった支払いを渋る人が可能な限り負担のないよう、自治会費は一度にまとめず、四半期・月別で分割して支払うといった仕組みの導入も検討したいところ。
会費の支払いを渋る人には、集めたお金の使い道を説明するなど、自治会費の目的を理解してもらうための取り組みも行っていきましょう。
お金を扱うからこそ事前対策を慎重に
自治会の会計担当者は住民から集めたお金を管理し、流れを見える化するための大切な仕事です。万が一のトラブル発生を見越して、会費に関するルールの明確化や領収書の受け渡しの徹底、また引き継ぎでは第三者に同席してもらうなど、事前対策も忘れずに実施していきましょう。