自治会はもう時代にそぐわない!? 「いらない」と言われる理由
近年ではプライベートを縛られたくないなどの理由から、加入率が下がっているという自治会。東京都が実施した「東京の自治のあり方研究会最終報告」によると、自治会加入率は年々右肩下がりです。「道路のゴミ拾いは行政がやればいい」「回覧板が面倒」という意見もあり、「自治会不要論」がさまざまな角度から出ている現状もあります。
では、本当に自治会はいらないのでしょうか?
「不要」と言われてしまう理由を、改めてまとめてみました。
自治会が「不要」と言われる4つの理由
これまで、地域住民の親睦や防犯・防災活動の場として機能してきた自治会ですが、どういったところに「いらない」と言われる理由があるのでしょうか。
【理由1】SNSの普及で人とつながることが容易に
同じ地域に住んでいるからといって、当然ですが価値観が一致する人ばかりとはいえず、現在はSNSの普及によって手軽に趣味や世代といった括りでつながりやすくなりました。そのため、わざわざ地域での交流を必要としなくなったのは、理由の1つかもしれません。
【理由2】仕事の事情を理解してもらえない
最近ではテレワークなど働き方の多様化により、自宅でも仕事ができるようになりました。
“自宅で仕事をする”ということを理解されない地域では、「家にいつもいるから」と、仕事の時間まで自治会で干渉されてしまった結果「自治会なんていらない」と感じるケースもあるようです。
【理由3】本来は自治体がやる仕事
道路や公園などの草むしりといった、環境美化を行う自治会もあります。しかし本来は公共施設を管理するのは自治体であるため、自治会でやる仕事ではないという意見もあるようです。
自治体の下請けという側面を持つ自治会も珍しくなく、会員の負担が大きくなってしまうことに不満を抱く方も多いといいます。自治会が担っている業務は、行政が負担したほうが良いなどの理由から「自治会はいらない」と考えている方もいるのではないでしょうか。
【理由4】お金に関するトラブル
自治会では会計がオープンにされていないことも多く、役員の旅費や飲食代など不明瞭な出費があったり、管理しているお金の横領が起こったりすることもあるといいます。そのため会費が適切な使われ方をされないぐらいであれば「いっそのことなくしてしまったほうが良いのでは?」という意見もあるようです。
今の時代、自治会に入るメリットは本当にあるの?
ここまで紹介したように「自治会は不要」という声も少なくありません。ただ町内美化や災害時の助け合いなど、自治会が存在したほうが良いメリットももちろんあるでしょう。ここでは、あくまでも一部分ですが、自治会に加入するメリットを紹介していきます。
【メリット1】地域の環境美化につながる
自治会が草むしりやゴミ拾いなどの清掃活動を行うことで、地域の美化につながっているのは確か。つまり自治会のように住民主導で環境を整備する組織があることで、地域への愛着が生まれ、住みやすさが保たれている側面もあるでしょう。
【メリット2】防犯対策になる
地域内で犯罪被害に遭わないよう、防犯講習や住民パトロールを行っている自治会もあり、空き巣や強盗などの防犯対策として機能している側面もあります。
また、加入者同士で不審者情報を共有し合うことで、防犯意識を高めるきっかけにもなるといえるでしょう。
【メリット3】万が一の被災時の助け合いにつながる
自治会に参加することで地域の方々と親睦を深めておくと、万が一の災害時においても互いに声をかけやすくなるのではないでしょうか。災害時には自治会主導で物資の供給や避難場所確保などを行っていることも多いため、こういった取り組みの恩恵も受けやすいといえます。
「不要」という声はあるもののメリットはちゃんとある
SNSの普及で人とつながる手段が増えたことや「行政が本来はやる仕事ではないのか」といった意見などから、自治会不要論も増えている現在。とは言うものの防犯・災害対策、地域の環境美化など、自治会があるおかげで地域の住民が安心して暮らせる側面もあるでしょう。
もちろん自治会は任意団体で加入の義務はないため、メリット・デメリットを踏まえたうえで、加入を検討してみましょう。