駐車場の使用料、消費税はどうとらえればいいのか?
マンションの駐車場を利用する場合、賃貸、分譲にかかわらず使用料を支払う必要があります。ではこの使用料に消費税はどうかかるのでしょうか。
今回は駐車場代に消費税がかかるケースとそうでないケースを、賃貸と分譲マンションの違いも含めて解説。駐車場の使用料を設定する際に、消費税を加味するかどうかの判断基準にもなります。
駐車場代に消費税は基本かかる! でも非課税のケースも……
駐車場代に消費税は、一般的にはかかるとされていますが、かからない場合もあります。
例えば、整備された駐車場は消費税の課税対象となります。
整備とは、
・駐車スペースが明確に区切られている
・フェンスで囲われている
・地面をアスファルトや砂利で舗装している
といった特徴を指します。この場合、駐車場という施設を貸し付けることになり、駐車場の使用料には消費税がかかります。
一方で、駐車場として貸し付ける土地が、駐車場としての体をなしていない場合は消費税はかかりません。「体をなしていない?」と疑問が湧きますが、国税庁のホームページでは非課税取引に該当するものとして「土地の譲渡及び貸付け」という記載があります。つまり区画が整理されておらず、雑草が生えているなどの土地は駐車場という施設の貸し付けではなく「ただの土地の貸し付け」となるため、非課税の取引とみなされるのが一般的です。
消費税が「かかる」「かからない」の基準は賃貸か分譲かでも変わる!
マンションが賃貸なのか、それとも分譲として利用されているかによっても、消費税がかかるかどうかの基準は変わります。ここはちょっと複雑なので、内容を整理しながら少しずつ説明していきましょう。
賃貸マンションでは駐車場と建物が一体になっていれば非課税
賃貸マンションにおいて駐車場代に消費税がかかるかどうかを、表で整理してみました。
マンションの敷地以外の場所に駐車場を確保して居住者に貸している場合、消費税がかかります。
一方で賃貸マンションの駐車場代は、駐車場が建物と一体になって貸し出されているのであれば非課税になります。また原則として家賃に消費税はかかりませんから、家賃の中に駐車場代が含まれている場合、この原則の適用を受けるため非課税となります。
分譲マンションは支払先が「管理組合」なら消費税はナシ!
分譲マンションでは駐車場代の支払先が管理組合の場合、消費税はかかりません。駐車場代の支払先については、契約時に確認しておくと良いでしょう。
しかし、管理組合が組合員である区分所有者以外の人に駐車場を貸すとなった場合、駐車場代に消費税がかかります。管理組合によっては管理費や修繕積立金の不足分を補うために、空いている駐車スペースを外部に貸し出すこともあり、この場合は消費税がかかることになります。
そのほかにも、マンションの敷地以外で管理組合が一括して借り上げている駐車場を貸し出す場合や、敷地以外の駐車場を契約する場合などは消費税がかかります。
消費増税にともない駐車場代を値上げをするときの注意点
2019年10月に消費税が8%から10%へと増税されました。増税によって駐車場代の値上げを検討するところもあるかもしれません。
値上げを実施する場合、まず「賃貸借契約書」の内容確認が必要です。「消費税率が変更になった場合、変更後の税率で計算」「公租公課(国や地方自治体に納める金銭的な負担)の変更などにより、賃料の増額を請求できる」などといった記載があれば、値上げは可能です。
ただし注意点として、駐車場代の表記が消費税込になっていたり、消費税が「無し」と記載されたりしている場合は既存の契約者に事情を説明し、値上げの承諾を得る必要があります。
経過措置で、消費税が8%のままとなるケースも!
食料品に適用される軽減税率のように、駐車場代の消費税も8%のままとなるケースがあります。
それが、以下の要件に該当する場合。
・2013年10月1日〜2019年3月31までに締結した契約で、2019年10月1以降も駐車場を貸している
・「貸付期間」及び「期間中の駐車場代」が定められている
・家賃の金額変更ができない
契約書を確認し、上記の要件に当てはまる場合、駐車場代の消費税は8%のままとなります。
消費税で迷ったら税理士に相談してみよう!
原則として消費税がかかる駐車場代。しかしマンションであれば、駐車場代の支払先が管理組合になっている場合は非課税となります。なお非課税となる条件は前述した通り、マンションが賃貸か分譲かでも異なります。契約時に、賃貸借契約書などで内容を確認しておきましょう。
なお、消費税がかかるかどうかの相談は、税理士など専門家に依頼できると安心です。