駐車場で当て逃げ発生! 事故後の対応や修理費は誰が負担するの?
駐車場ではドアパンチ(車のドアを開けた際に隣の車にぶつけてしまう)のような軽微な被害から、車体が凹むような大きな被害まで、さまざまなレベルの当て逃げが起こり得ます。被害に遭ってしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?
今回は事故発生後の対応はもちろん、修理費は誰が負担することになるかなども含めて、当て逃げ事故との向き合い方を解説していきます。
当て逃げされた! まずすべきことは?
駐車場でも公道と同じように、車の当て逃げが起こる可能性はあります。
では、万が一、当て逃げをされた場合はどういった対処をすればいいのでしょうか?
具体的には、まずはすみやかに以下の行動を起こすことが大切です。
・管理組合や管理会社の協力を得る
・警察に連絡をして被害届を提出する
・保険会社に連絡をする
それぞれのアクションについて、以降で詳しく解説していきます。
【行動1】加害車両を特定する
もし当て逃げされたところを目撃したのであれば、まずは加害車両のナンバーをメモ。といっても突然のことなので紙やペンもすぐには出ないでしょう。こんな時はスマホのカメラで写真や動画を撮影しておけば十分です。
あわせて、加害車両の特徴なども記録しておきたいところ。車種(セダン、バン、など)やメーカー、ボディーカラーなど、可能な限り情報を記録しておくと後々の加害車両特定もスムーズにいきます。
加害車両を目撃していない場合、駐車場内に設置してある防犯カメラや被害車両にドライブレコーダーがあれば映像が残っていないかを確認してみましょう。
防犯カメラのチェックや加害者を目撃した人を探す呼びかけなどは、管理組合や管理会社に相談し協力を得ましょう。
【行動2】被害届を提出する
私有地であるマンションの敷地で起こった当て逃げには、「警察は対応してくれない」と思う人もいるかもしれません。しかし、私有地でも「不特定多数の者が自由に行き交うことができる」ところは道路交通法が適用される可能性があり、罰則を受けるケースも。道路交通法の適用がある場合の当て逃げには加害者に刑事罰として一年以下の懲役又は十万円以下の罰金が課されることがあります(道路交通法117条の5第1号)。
そもそも当て逃げのような物損事故は、警察に報告する義務もあります。その報告を怠った場合は、3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金を課されることもあります(道路交通法119条1項10号)。
警察には事故証明書の発行をお願いし、こちらからは被害届を提出。事故証明書は後述する保険金を受け取る際などに必要となります。被害届の提出は警察に加害者を探してもらうため。前述した防犯カメラやドライブレコーダーに残っている情報や目撃情報などを合わせて提示すると、加害者探しに役立ちます。
【行動3】損害費用を保険でカバーできるか確認
加害者がしばらく見つからずまずは修理費用を自己負担する場合、自分の自動車保険の車両保険の契約内容によっては負担を軽減できることもあります。
車両保険を契約している保険会社に確認をしましょう。
ドアのへこみの修理費用はどのくらい?
ドアのへこみなどの修理費はどれくらいかかるのでしょう?
車の修理などを行う「カーコンビニ倶楽部」によると、車種や損傷の程度で変わるもののドアのへこみの修理費用は大きさが10cm×10cmくらいでおおよそ3万円程度だそうです。へこみの範囲が大きければ、修理費用はさらに高額になる可能性があります。
加害者を特定できれば修理代は負担してもらう
修理代は加害者に負担させる場合と、被害者が支払う場合があります。
加害者が見つかれば、修理代は加害者に負担させることもできます。具体な手続きとしては、加害者が加入している自動車保険の対物賠償責任保険で対応できるケースが一般的。ただし加害者が対物賠償責任保険の契約をしていない、もしくは物損に対しては補償しない自賠責保険にしか加入していない場合は、示談交渉によって賠償金額を決定しなければなりません。
残念ながら加害者に支払い能力がない場合、修理代は被害者が負担するしかないケースもあります。
加害者不明の場合は自分が加入している車両保険で支払う
前の文でも紹介した通り、加害者が見つからないときは被害者が修理費用を負担することになります。自身が車両保険に加入していれば、契約内容によってはその保険を利用して修理代をカバーすることもできます。
ただ、自分の車両保険を使ってしまうと、等級が下がり翌年以降の保険料が値上がりしてしまいます。理不尽ですが、自分には落ち度がなくとも保険を使って修理をすると、保険料アップが避けられないことも覚えておきたいところ。車両保険が使える場合、少し面倒ですが保険等級が下がることによる保険料の増加分と、自己負担で修理する場合にかかる金額を比較してどちらが経済的かを確認しましょう。
また、加入している車両保険のタイプにも気をつけたいところ。例えば「一般型」と「エコノミー型」に分かれている場合等があります。エコノミー型は一般型より保険料が安い分補償の範囲が狭く、当て逃げによる被害が補償されないケースもあります。また免責額が設定されている場合もあります。
保険料の増加額や補償範囲については、保険会社に連絡すると教えてくれます。
万が一車を損傷させてしまった場合は警察への報告を
当て逃げで加害者が特定できない場合は、自分が加入している車両保険を確認すること。保険で車の修理代が補償されることもあります。
なお万が一他人の車を損傷させてしまった場合は、軽微な事故であっても報告義務を怠ると懲役や罰金を課されるケースもあるため、まずは警察に報告しましょう。