マンションで表札は出すべきか? それとも出さない方がいい?
新しく入居した人の多くが一度は意識したことがあるかもしれない、マンションで表札を「出すか」「出さないか」問題。どうしようか迷われている方に向けて、この記事では表札を出すメリット・デメリットについて解説していきます。
マンションでは表札が2ヵ所出せる!
マンションで表札を出す場所としては、主に郵便物の受け取りで利用するエントランス部の集合ポストか、各戸の玄関ドアのどちらかとなります。
しかし近年では、マンション全体で玄関や集合ポストに表札を出さないケースも多いと言われており、どうしたらいいのか判断がつかない方も多いかもしれません。
なおオートロック設備のあるマンションの場合、通常、外部者は住民か管理員の許可がないと入れないセキュリティになっています。そのため「部外者に名前を知られる可能性も低いわけだから、表札を出しても良いのでは?」と考える人も多いようです。
表札を掲げる人はどのくらいいるの?
表札の始まりは江戸時代の商家の看板と言われていますが、広く普及したのは、大正12年に発生した関東大震災がきっかけと言われています。被災によって移住したり、行方不明者の安否確認のために表札が掲げられたりといった背景を受けて、広く一般に浸透していきました。ちなみに海外では表札を出すことはなく、隣家の名前や家族構成もわからないケースも多いようです。
郵便物をスムーズに受け取るために、表札を出す方も少なくないと言われます。宛先の住所だけの場合、部屋番号が一つ間違っていただけで郵便物は届きません。こういったことへの対処として、表札の掲示は有効といえます。
なお高齢の世代では表札を出す習慣が残っており、慣習的に表札を出すという方も多いようです。対して若い世代では、プライバシー保護の意識が高く、表札をつけないことが多い傾向にあります。
若い世代が表札を掲げない理由って?
表札を掲げない理由として多く声が上がるのが、前述したようにプライバシーに関する不安です。セールスのために、表札に書かれている名前を呼ばれ、しつこく勧誘されるという可能性も考えられます。
また、外からマンションへ入るときに不審者などに付けられて、表札に掲げられた名前からそのほかの個人情報を特定される可能性もあるでしょう。女性に限らず、子どもがいる家庭ではやはり不安要素となり得ますよね。
ほかにも表札を掲げない理由として、部屋番号でも郵便物はちゃんと届くから表札を出す必要性を感じない、といった場合や、入居以来、気に入ったデザインが見つからず、表札を設置するタイミングを失ったという理由もあるようです。
マンションで表札を掲げるメリットは?
ここでは表札を掲げるメリットについて、改めてまとめてみました。
【メリット1】間違った場所への配達が軽減される
表札があれば、部屋番号だけでなく名前もわかるため、郵便や宅配便などの誤配が少なくなる可能性はあります。慣れていない配達員でも、住所と名前で配達先を二重に確認ができるので、間違って投函してしまうミスを軽減できるでしょう。
また、郵便物に限らず知人などが初めて訪問するケースでも、部屋番号だけでなく名前があったほうがわかりやすいかもしれません。
【メリット2】ご近所さんに名前を覚えてもらいやすい
表札があれば、ご近所さん同士で名前を呼び合うなど、声はかけやすくなるかもしれません。お互いの苗字だけでも知っていれば、ただ挨拶をするだけでなくちょっとした世間話などへも発展しやすくなりそうですよね。
長くマンションで暮らすことを考えると、表札を掲げて名前を覚えてもらう工夫をしているほうが、良好な人間関係を保てるかもしれません。
また、日頃のコミュニケーションは非常時に必要になることも予想されます。例えば、表札が広まった背景にあたる関東大震災では、被災地の行方不明者の安否確認として表札の名前を確認したといいます。災害発生時に名前がわかっていると、住民同士でも声を掛け合いやすく、スムーズな安否確認が実現可能といえます。
【メリット3】資産価値が上がる可能性も
前の文でも紹介したように表札を掲げることで、ご近所同士声をかけやすくなれば、良好なコミュニティ形成の第一歩となるかもしれません。
特に建物の資産価値の評価基準には、マンションのコミュニティが良好かどうかも試算の対象に入ります。マンションの管理運営は居住者の持ち回りで行われることが多く、住民同士の協力体制が整っていると、建物の修繕や管理も円滑に進みやすいといえるでしょう。
同じマンションの住民同士で良いコミュニティが築けているかどうかは、住みやすさに関わってくるのです。
マンションで表札を掲げるデメリットとは?
一方で、表札にはデメリットも存在します。
【デメリット1】防犯上の不安がある
苗字だけとはいえ、実名を外部に向けて掲げるわけですから、知らない人にも見られます。そのため、部外者や不審者に名前を覚えられてしまう可能性もあるでしょう。
特に子どもがいたり女性の一人暮らしだったりする場合は、表札の名前で声をかけられたり、そのほかの個人情報漏洩につながったりするリスクもあるため控えたほうが良いケースもありそうです。
【デメリット2】訪問販売の対象になりやすい可能性も
表札で名前がわかり、そのほかの個人情報も検索されてしまうと、訪問販売の対象にもなりやすいと言われています。特に苗字だけではなく、家族の氏名もすべて記載している場合、家族構成などから世代を予測されてセールスの対象と判断されることもあるようです。
表札を出す場合でも苗字だけを表記するなど、外部に必要以上の情報を漏らさないようにしましょう。
家族構成やほかの居住者を参考にして決めよう!
マンションでは、玄関と集合ポストの2ヵ所に表札を掲げることができます。表札があると、近所とのコミュニケーションや郵便物の配達が円滑に行われやすくなるなどのメリットはありますが、防犯面や訪問販売などのデメリットがあることも覚えておきましょう。
ただ、基本的にほかの居住者が表札を掲げている場合は、それに倣って表札を掲げる方もいるかもしれません。とはいえ子どものいる家庭や一人暮らしの女性などは防犯上のリスクもあるため、自分の状況に合わせて表札を掲げるかどうか検討してみましょう。