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マンションの通信速度を上げるには？ 改善方法や配線方式を紹介
2024.02.01
複数の居住者が一度に利用することもあるマンションのインターネット回線。使っていると、通信速度の遅さや不安定さが気になるときもあるかもしれません。
そこで、今回はインターネットの通信速度が遅くなってしまう原因や改善方法を紹介していきます。
マンションで採用できる配線方式は3種類
マンションのインターネット回線は、戸建と同様に近くの電柱から光ファイバーケーブルを引き込んで利用します。戸建と異なる点は、
引き込む先が共有部分である点です。専有部分でインターネットを使用できるようになるためには、共有部分から各部屋にそれぞれ回線を引く必要があります。専有部分への配線方法は大きく分けて3種類です。
【方式1】光配線方式
光配線方式とは、共有スペースから各部屋までの回線をすべて光ファイバーケーブルで繋ぐ接続方式です。
光配線方式最大のメリットは通信速度の速さです。一般的に、1ギガの契約で回線速度は下りで600〜800Mbs出ます。同時に接続している人数が多いと速度が下がる場合もありますが、後述する他の配線方式と比較すると速度が下がりづらく、安定している点もメリットです。
早さと安定性のメリットから、新築マンションでは最初から光配線方式で導入されているところも多くあります。
一方、光ファイバーケーブルは高価なため、新規導入する際は高額な費用がかかります。また、衝撃に弱く、震災などの災害時に破損が発生しないか懸念される点もデメリットです。すでに別の方式でインターネットが配線されているマンションにとっては導入ハードルが高いといえるでしょう。
【方式2】LAN配線方式
LAN配線方式とは、共有スペースから各部屋までの回線をLANケーブルで繋ぐ接続方式です。簡単にインターネットを利用できる点が、メリットといえるでしょう。
通信速度は下りで最大1Gbps出ますが、設備やケーブルの品質によってはそこまでの速度に対応していない場合も多いです。一般的な速度は60〜90Mbpsですが、利用人数が増えるほど通信速度が低下します。
全ての回線を光ファイバーで引いている光配線方式に対し、LAN配線方式は1本の光ファイバーケーブルをLANケーブルで複数の部屋で共有している形式のため、光配線方式と比べて安定性に欠ける点がデメリットです。
【方式3】VDSL方式
VDSL方式とは、共有スペースから各部屋までを電話回線を利用して繋ぐ接続方式です。すべての部屋に電話回線が繋がっていれば、新たに工事をせずにインターネットを導入できる点がメリットです。インターネット回線を導入していないマンションの場合は、VDSL方式での導入を検討している場合が多いかもしれません。
ただし、ほかの2つの方式と比べて通信ロスが生じやすく、通信速度は30〜90Mbpsと大幅に遅くなります。さらに、安定性も低いため、同時接続数が多い場合は30Mbpsを下回ることもあります。
通信速度の確認方法
マンションの通信回線の速度が遅いと感じている場合は、まず速度を計測しましょう。
Webサービスであれば、無料でインターネット回線のスピードテストを行えます。代表的なサービスとしては「Fast.com」「Speedtest」「みんなのネット回線速度」などがあります。サービスによって正確性が異なり、計測数値に振れ幅があるため、複数のサービスで確認すると良いでしょう。
通信速度が遅い原因
【原因1】居住者同士で回線を共有している
マンションでインターネットの通信速度が遅くなる最大の原因は、居住者同士の回線の共有です。
マンションタイプの契約の場合、時間帯や曜日で同時に接続している人数が異なると、通信速度に大きな違いが出ます。混雑しない日中や深夜にインターネットを利用すれば、回線速度は安定しやすくなります。
【原因2】速度が遅い配線方法を採用している
前述したように、マンションが採用している配線方式によって最大速度が異なります。LAN配線方式やVDSL方式の場合は、どうしても光配線方式よりも最大速度が低くなってしまいます。
根本的に改善するためには、光配線への変更が必要です。
ただし、光配線を導入するためには、部屋まで光ファイバーを引き込む工事をしなければなりません。管理組合で契約する場合も居住者が個人で戸建プランを契約する場合も、工事の前に管理会社から許可を得ましょう。
【原因3】ルーターの性能が低い
回線の利用時間帯や配線方式以外に通信速度が遅くなる要因として、ルーターの性能が挙げられます。
ルーターには規格がいくつかあります。例えば、規格が「IEEE 802.11a/b/g/n」の場合は、最大速度は450Mbpsまでしか出ません。
なお、現在の最新の規格は、2022年9月に認可された「Wi-Fi6（IEEE802.11ax）」です。古いルーターを使っている場合は、買い替えを検討しましょう。
【原因4】電波干渉が発生している
機器以外の問題として、電波干渉が発生している可能性もあります。
電波干渉とは、無線LANや電子レンジなどの機器同士で電波がぶつかり、お互いに影響を与える現象です。電波干渉が発生するとネットワークの通信速度が通常落ちたり、接続できなくなるケースがあります。
電波干渉発生の原因は、無線電波で同一のチャンネルを利用しているためです。そのため、干渉しあっている機器の片方を切り替えれば改善するかもしれません。
無線電波には2.4GHz帯と5GHz帯の2種類があります。
2.4GHz帯は周波数が低く、電波が遠方まで届きます。電子レンジやBluetoothなど、多くの家電が利用する周波数帯です。
一方、5GHz帯はWi-Fi専用の電波です。壁などの障害物があると弱まりやすいですが、他の家電の電波と干渉しません。
2.4GHzを利用している場合は、5GHzへの切り替えを試しても良いでしょう。
配線方式の変更以外で通信速度を改善する方法
【改善方法1】ルーターを再起動する
最も簡単に試せる通信速度の改善策は、ルーターの再起動です。
通常、ルーターは24時間365日動作し続けており、機器に不具合が発生しやすくなっています。通信速度の遅さや不安定さの原因がルーターの不具合にある場合は、機器の再起動で改善するかもしれません。
再起動は電源ボタンやリセット用のスイッチを押して行います。スイッチのないルータの場合は、コンセントを抜いて1分程度経過してから再起動できます。なお、再起動後は、通信できるようになるまで数分かかる場合もあります。
【改善方法2】ルーターの設置場所を変える
2つ目は、ルーターの設置場所の変更です。
とくに、5GHz帯の電波は障害物があると遮断されたり弱まったりします。そのため、ルーターから遠い場所でインターネットを使用すると、通信が不安定になりやすいです。
ルーターの設置場所として、金属や鉄筋コンクリートの壁越しや、電子レンジなど他の家電製品の近くを避けるだけで、通信速度が改善する可能性があります。
【改善方法3】通信方式を変更する
そのほかにも、通信方式を「IPv6」に変えることで通信速度が改善するかもしれません。
通信方式には、「IPv4（PPPoE方式）」と「IPv6（IPoE方式）」の2種類があります。
IPv4は従来の通信方式で、インターネットに接続するときは必ずネットワーク終端装置という機器を経由します。通信量が増加すると、ネットワーク終端装置が混雑してボトルネックとなってしまい、通信速度が遅くなってしまうのです。
一方、IPv6は新しい通信方式で、ネットワーク終端装置を経由せずに直接インターネットに接続できる仕組みです。IPv6であれば、通信量が増加しても速度を落とさずインターネットを使えます。
どちらの通信方式で接続しているかは、スピードテストで確認できます。ルーターの不具合が原因ではない場合は、通信方式の変更を試してみましょう。
マンションの状況と予算に合った改善策を取ろう
マンションのインターネット配線方式には「光配線方式」「LAN配線方式」「VDSL方式」の3種類があります。LAN配線方式やVDSL方式は通信速度が遅く、安定性も低い方法のため、通信速度が遅い場合は光配線方式への切り替えを検討しましょう。
工事が難しい場合や、光配線方式を利用していても通信速度が遅い場合は、他の改善策を試してみましょう。
ルーターが原因なら、再起動や設置場所の変更で解決する可能性があります。性能自体が落ちている場合は、買い換えが必要になるかもしれません。
ルータ以外の原因としては、電波の周波数や通信方式が考えられます。どのような方法で接続しているかを確認し、安定した速度でインターネットを使えるようにしましょう。
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