シャワーの水圧が低いのは方式が原因?マンションの給水方式を解説!
マンションのシャワーを使っていて、「水圧が弱いな」または「水圧が強いな」と感じたことはありませんか?実はその原因は、マンションの給水方式にあるかもしれません。
今回の記事では、マンションの給水方式の種類とその特徴を解説します。マンションにおすすめの給水方式や、給水方式を変更する際の注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
シャワーの水圧が弱い・強い原因は?
シャワーの水圧が弱すぎたり強すぎたりするときには、次のようにさまざまな原因が考えられます。
原因1:シャワーの目詰まり
シャワーヘッドとホースの間には、ストレーナーという名称のフィルターがあり、ゴミなどの固形物を取り除く働きをしています。長年シャワーを使ううちに、ストレーナーにゴミやサビがたまると、水が出にくくなってしまうことがあります。
またストレーナーではなく、シャワーヘッドの水が出てくる穴が水垢などによって目詰まりしているケースもあるでしょう。
原因2:止水栓が閉まりすぎ・緩すぎ
シャワーを含む水栓器具の周辺には、止水栓という水圧調整器具がついています。ここが閉まりすぎていると水圧が弱く、緩すぎると水圧が強く感じることも。ドライバーなどで回して調整してみましょう。
原因3:給湯器の容量不足
お湯を沸かす給湯器には「16号」「24号」などの容量があり、数字が大きいほどたくさんのお湯を沸かせます。家族の人数や使い方に対して容量が小さすぎると、お湯の出が悪く感じる場合も。また給湯器が劣化している場合も、水圧が下がることがあります。
お湯のみ水圧が弱い場合は、給湯器もチェックしましょう。
原因4:給水方式に問題がある
マンションの給水方式は、大きく分けて「受水槽方式」と「水道直結方式」の2種類。両者の違いは、水道水を貯めておく「受水槽」の有無です。
・受水槽方式:水道本管の水を1度受水槽に貯めてから、各家庭に給水する方法
・水道直結方式:水道本管の給水管を分岐して、直接各家庭に給水する方法
マンションが採用している給水方式によって、水圧が弱かったり強かったりするケースもあります。例えば屋上の高架水槽から重力を利用して給水する場合、上階ほど落下距離が短いためシャワーの水圧が弱くなりがち。一方、水道直結方式の場合、水道使用量が多い夏の時期や圧力が低いときには水圧が低下しがちです。
マンション全体でシャワーの水圧が弱くて困っている場合、給水方式を切り替えて対応するケースもあります。
マンションの給水方式(受水槽方式)
受水槽方式をさらに分類すると、「高架水槽方式・ポンプ直送方式・圧力タンク方式」の3種類があります。それぞれ詳しく解説していきましょう。
高架水槽方式(高置水槽方式)
高架水槽方式は、水道本管の水を1度受水槽に貯めてから加圧ポンプで屋上の高架水槽に送り、水が自然に落ちる力(重力)を利用して各家庭に給水する方式です。高経年マンションで多く用いられており、停電時にも水が使えるメリットがあります。
ただし受水槽が屋上と地上階の2箇所にあることから、水質汚染のリスクは高くなるでしょう。
ポンプ直送方式
近年の新築高層マンションでよく採用されているのが、ポンプ直送方式です。1度受水槽に貯めた水を直送ポンプユニットを使って加圧して、各家庭に給水します。
受水槽は1つなので、2つの受水槽を経由する高架水槽方式に比べて水質汚染のリスクは低くなります。
圧力タンク方式
圧力タンク方式は、1度受水槽に溜めた水を、加圧ポンプを使って各家庭に給水する方式。ポンプ直送方式とほとんど同じ仕組みですが、直送ポンプユニットではなく加圧ポンプを使用します。
主に小規模マンションで採用されますが、小規模マンションは直結増圧方式の採用も可能なため、圧力タンク方式が採用されるケースはあまり多くありません。
マンションの給水方式(水道直結方式)
続いて、水道直結方式について解説していきましょう。
水道直結方式は、「直結給水方式・直結増圧方式」の2種類に分けられます。
直結給水方式(直結直圧方式)
直結給水方式とは、受水槽やポンプを使用せず、水道本管から送られてくる圧力をそのまま利用して各家庭に給水する方式です。一戸建て住宅では一般的に用いられる給水方式であり、マンションでは3~5階建ての低層マンションで採用されます。
水道本管から直接各家庭に給水されるため、水質汚染のリスクはほとんどありません。また水道本管の給水圧力さえ問題がなければ、停電時も給水が可能です。
直結増圧方式
直結給水方式とは、水道本管で足りない分の水圧を増圧ポンプで補って、各家庭に給水する方式のこと。直結給水方式と同じく、受水槽を使用しないため水質汚染のリスクが少ないのが特徴です。
一般的には中規模マンションまでが対象ですが、増圧ポンプを直列や並列に設置することで、高層マンションや大規模マンションでも採用できます。水道直結方式なので停電時も下層階は給水可能ですが、増圧ポンプは停止するため高層階では断水になる可能性が高いでしょう。
マンションの給水方式は何を選ぶべき?
大きく分けて「受水槽方式」と「水道直結方式」の2種類があるマンションの給水方法。それぞれメリット・デメリットがありますが、どのように給水方法を選んだらいいのでしょうか?
自治体は水道直結方式を推奨
受水槽方式と水道直結方式の違いは、受水槽があるかどうか。受水槽があると水質汚染のリスクが高くなるため、自治体は受水槽のない水道直結方式を推奨しています。
水道本管の圧力が低いマンションでは水道直結方式の採用は難しくなりますが、近年は自治体も水道本管の圧力を高める取り組みを行っています。段々と水道直結方式を採用しやすい環境が整ってきているといえるでしょう。
災害時に備えるなら受水槽方式
新鮮な水が手に入りやすい水道直結方式が採用数を伸ばし、受水槽を撤去するマンションが増えてきました。しかし水道直結方式にすると問題となるのが、停電時や水道本管にトラブルがあったときの断水です。東日本大震災を機に、受水槽方式でいざというときのために水を貯めておくことの重要性も見直されてきました。
今せっかく受水槽があるなら、定期的なメンテナンスをしながら水を貯めておくのも一つの手。受水槽や高架水槽は、法律で定期的な点検・清掃が義務付けられているので、適切に実施しましょう。
高架水槽方式から直結増圧方式へ変更するときのポイント
高経年マンションでは、高架水槽方式から直結増圧方式へ変更しようと考える管理組合も多いのではないでしょうか。高架水槽方式から直結増圧方式に変更すると、受水槽の点検・清掃が不要になり、新鮮な水を素早く各家庭に給水できるようになります。受水槽を撤去することで、空いたスペースを駐車場や駐輪場などとして有効活用できるかもしれません。
給水方式を高架水槽方式から直結増圧方式に変更するときに注意したいのが、配管内の水圧が高くなるということ。配管が水圧に耐え切れないと漏水事故を起こす可能性もあるので、事前に既存配管の耐圧試験を受けなければなりません。さらに採用の条件は各自治体によっても異なるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。
マンションの給水方式を変更するなら条件確認を
マンションの給水方式は、「受水槽方式」と「水道直結方式」の2種類。マンションで採用されている給水方式によっては、「シャワーの水圧が弱い・強い」といった不具合が生じるケースもあります。
受水槽方式は受水槽に水を貯めるので災害時に水を供給できますが、水質汚染のリスクが高くなります。一方水道直結方式は受水槽がないため、受水槽方式のように災害時に水を供給できませんが、新鮮な水を各家庭に届けられる点で注目されており、自治体も推奨しています。
マンションの給水方式を高架水槽方式から直結増圧方式へ変更するときには、既存配管の耐圧試験を受ける必要があります。自治体によって採用の条件は異なるため、事前に確認しておきましょう。